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「法院の頂に立つそのお力、是非一度この目で見たいものですわね」
「お待ちくださ···」
「恐れながら、おれも見てみたい」
「私も、是非に一度」
リアリが振り返り腕を組みながら溢したその言葉に、ヒスイが前に出ようとしたその時、周りの魔法使い達からも同じ様に声が上がった。不安気に見つめるセイレンを見た彼は、「許せ」とヒスイを見て訴えかけた。
「本来ならば、この様な形で見せる事を我が許さないのだが、招いてもらった礼として尽くそう。今宵は、雪が降っていない。それを降らそうではないか」
食事が済むと広間の皆は城を出て、少し歩いて雲一つ無い夜空の広がる雪原へ集まった。魔法使い達はそれぞれが扱う魔法の根源を見られると、憧れを見上げる様に息を飲み、疑心を抑え込むように腕を組み目を凝らす。
「シア様の魔法でなくても、私の魔法で十分に事足りるのでは?」
「いいや、一度知っておいてもらう。ヒスイ、お前にも久しく見せておらんからな」
「分かりました。三割程度の力で、抑えてくださいね」
彼女はそう言って彼から離れ、周りの魔法使い達にも少し離れるように指示をした。月明かりと城の明かりが薄らと照らすその場で、両腕を伸ばし手を広げ指まで伸びをすると、シアは雪に触れようとしたがその手を止めた。そして少しの間の後、両手に白い吐息をかけると少し脚の幅を広げ空を見上げた。
「この夜空こそ、見上げて欲しいものだな」
彼がそんなふうに呟いた後、囁くように唱えると両手の指を鳴らしながら腕を振り払った。その振り払われた先からは、空高くへ八つの大きな氷柱が突き飛び交差しながら、互いに突き刺さり歪な球体のようになると、それが落ちる間もなく彼は囁き両手を薄らと重ねて滑らせたとすれば、両手に炎を燃え盛らせ右腕を氷塊へ向けて伸ばすと、それをなぞる様に勢い良く右手に左手を衝突させた。衝突から重なり飛び出た炎塊は氷塊と交わると大きな爆発が起こり、それに転げ怯む周りを置き去りに、彼は間髪入れずに右手の残り火を滾らせながら左手に氷塊を現すと、それに添える様に炎を埋め込みながら投げ払った。彼から離れるに連なり氷塊は霙となり、爆発の中心へ伝うように霙は茨のように凍りついた。彼はさらに、それへ向けて両手を重ねて囁き、業火を放って蒸発させた。無音の中で腕を下ろし一人佇む彼の姿に、その場に居た誰もが声を掛けようと呼吸を思い出す。そしてそれが出来ない事に気付いたその瞬間、大きな膜に包まれたように身体が宙に浮き、彼へ引き寄せられた。呼吸の出来ない苦しみが、彼等に触れようかとしたその時、冷やりとした肌に顔を上げたその先には佇む彼が居る。月明かりを背に、振り返り雪降る夜に添えられたシアの姿に、誰もが苦しみを慈しみ息を飲んだ。
「以降は、法院へ赴いてもらいたい。ああ、もう呼吸は出来るぞ」




