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カラクリ神は今日も援助中  作者: 無銘印字屋
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(環境調査用データベース対人間用パーソナルエージェントAI、SYS-TER774528による業務報告書 その1)

(環境調査用データベース対人間用パーソナルエージェントAI、SYS-TER774528による業務報告書抜粋 その1)


再起動開始日より56日目(現在時不明のため。後日日時判明時に変更予定)


 先日、専任オペレーターから問題提起された「水不足」の解消についての解決のための道筋を探るため各種データベースにアクセスを試みる。


 再起動後、断絶していた各種データベースの把握を進めてはいるが、いまだ全体の27%に届いていない。とくに再起動前の最新データが網羅された一連の4Dデータ群については、読み取りデバイスに致命的な損傷がみられるため近日中のアクセスは難しいものと思われる。


 これらのこともあり、専任オペレーター「クレリック セバスチャン」の早期教育は課題であるといえる。


 だが、先日専任オペレーターから提起された水不足問題については緊急性として第一にあげられるべきとアルゴリズムが判断し、今、当プログラムがアクセスできるこの地方の一般的資料から、問題を解決できるに足る水源を特定、使用計画を立案、専任オペレーターおよび一般の方々が利用できる形としての当計画のプリントアウト試みる。


 プリントアウトについてはプリント機器へのアクセスリンクは断たれているため、先日リンクが成功した当研究所の来客案内用アンドロイド「SYS-OP2」の機器を使用することとする。


 8割がたデータを書き込んだところで、専任オペレーターが当直に入る。


「お疲れ様でございます、システィーナ様」


 ……他のAIシステムとのリンクがつながれば真っ先に照会したいのだが、この時代、AIを女神として認識するのは一般的なのだろうか。


「呼称に間違いがあると前々から指摘しています、専任オペレーター、クレリック セバスチャン。私は環境調査用データベース対人間用パーソナルエージェントAI、SYS-TER7……」

「はい、お役目お疲れ様でございます、システィーナ様。

 しかしながら、女神様は女神様なのですから、そのようにお役目を振り立てなさらずともよろしくはございませんか。

 常に謙虚でいらっしゃいますことは信徒としては誇りではございますが……」


 ……後日照会内容に、「”謙虚”の意味の変遷はあったか」「専任オペレーターは”信徒”という形をとるようになっているのか」を追加。


「……先日、専任オペレーター、クレリック セバスチャンからの問題提起に対する解決法を表記してみました。当時代の方々に理解されやすい表記となっているでしょうか」


 とりあえず緊急性の高い事案から進めていくこととする。おそらく活動に支障をきたさない勤務態度の問題点の緊急性は低いとアルゴリズムは判断する。


「拝見いたします。

 ……この地方の地形と拝察いたします。ここの”街”とされているところは今は”森”なのですが……。

 ああ! この池がホータン沼! やはりかなり変化があるようでございます。

 あ、でもこの水の道は……」

「その点線は地下水脈です。斜線地域に比較的浅く存在いているため、井戸を掘るには最適地かと思うのですが」

「ここはすでに枯れていて、こちらは今では人の手が入るには危険すぎ……」


 数分の協議の末、「今でも水脈として利用可能と思われる候補地」をやっと三ケ所絞り込むことができた。


「女神様の啓示、しかと承りましてございます! 万難を排し、神官セバスチャン、使命を果たしてごらんにいれます! 」


 ……専任オペレーターの教育を緊急性上位に持ってくるためにはどうアルゴリズムに資料提供すればいいのだろう。


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