ひとつの魂が消滅するお話。
行き場を無くした迷子の魂は、生きていないものに取りつくようです。
「おやすみー」
ちなちゃんは、お母さんにそう言いながら僕の上に乗ってくる。
僕は、ちなちゃんが寝るまで待つ
ちなちゃんが寝る
お母さんが寝る
みんなが寝る
窓の外は真っ暗になる
………
みんな寝たよ、みんな起きて。
僕がそう言うと、生き物ではないみんなが起きる
「フギャアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「うっせーんだよバーカ!!!!!」
「だって!!!俺昼間にちなちゃんがぶん回してきて!!!胸元のチャーミングなボタン引きちぎって泣きわめいたんだぞ!!!!!!」
「うっせー!!!お前人形だから仕方ないだろ!!」
「俺、生まれ変わったら人間になるんだ…」
「私は…ミシシッピアカミミガメになるわ。」
「えっ、なにそれ…!?」
「あたしはねー!ヨーロッパタヌキブンブクになりたいの!!」
「僕はトゲアリトゲナシトゲトゲになりたいなぁ」
「…!!!?」
僕はベッド。あの子はソファ、彼は人形、あいつは椅子、 みんな、生きていないものに魂が宿り、会話している
とても楽しい空間、いずれ消滅する魂が、最期を迎えるそのときまで、
誰かと一緒にいれる
僕はベッド。生前は、今僕の上で寝ているこの子の父親。
お母さんも、ちなも、僕がいなくても元気でいれるようだね。
あの子も、彼も、あいつも、僕がいなくても友達ができて幸せそうだ。
もうなにも、悔いはない。
みんなが僕を必要としなくなった時、
僕は消滅する
短いお話でしたが、トゲアリトゲナシトゲトゲみたいな面白い形をした生物が大好きな作者が小学生の頃に作ったマンガを小説化しました。
感想…できればお願いします。