1話
初投稿です。読みづらいと思いますがよろしくお願いします。
ピピピ...ピピピピ
静まった部屋に一つの電子音が鳴り響き、私は無理やり重い瞼を開けた。
「...ん。もう朝なの」
そして私はいまだに鳴り響く目覚まし時計を見て不思議に思った。普段寝るときは目覚ましをかけて寝ないのにそれは私の眠りを妨げるかのように鳴っていたのだ。目覚ましを止めるために起き上がろうとしたとき、ふと視界に入ってきたのは見慣れたはずの部屋ではなく全く知らない部屋だったのだ。
「えっ...ここどこ?」
すると突然目の前が歪みはじめ、そこから現れたのは人の姿をした男だったのだ。背は高く黒いローブで覆われてた姿をしていた。
「キャアアアアアアア」
「ちょっ...そんなに驚かないでくださいよ。」
「だだだだって急に目の前に現れたら普通誰だってびっくりするよっ」
「それについてはスミマセン。僕もこんな登場予定ではなかったんです。もうちょっとカッコよくするはずだったんですから。」
そう言って彼は頬を膨らませ拗ね始めた。でも彼のそんな態度を気にしていられないので私は戸惑いながらも彼に尋ねた。
「だっ誰?ってかどうやって」
「そうですねぇ、僕は死神と呼ばれるものです。今からあなたが疑問に思っていることを一つづつ話すのでとりあえず説明させてください。」
そう言って死神は机から椅子をひいて座り話し始めた。
死神の説明によると私はまだ死ぬ時期ではなかったらしい。けれど下校中だった私と車を衝突させてしまったみたい。そして私はまだ死ぬ時期ではなかったのに間違えて死なせてしまったようだ。そんなわけで罪滅ぼしのために私が死ぬ直前までやっていた乙女ゲームの主人公の中に転生させて幸せな人生を送ってもらおうということだった。
「ちょっと待って...頭がついていかないから整理させて」
どうしても死んでいることを受け入れることができなかったので私は必死に自分を納得させようとしたがどうしてもできない。そんな考えを振り払うかのようにこの部屋にある違和感のことを死神に尋ねた。
「私この部屋初めて見るんだけど本当にこの世界は私が好きだったゲームの中なの?」
「もちろんです。ここはあなたの好きだったゲームの世界です。間違っているはずがありませんよね?」
死神は自信満々に答えたがだんだんと確信が持てなくなったのか声が弱くなっていった。
「でも私本当にこの部屋見覚えがないんだけど...」
すると突然死神は焦ったようにローブの中からパソコンのようなものを取り出し調べ始めた。そして死神の顔はだんだんと青ざめていった
「本当に申し訳ございません。どうやらこの世界は『愛♡傘』というゲームの世界のようです。」
「えっ...」
「転生先を間違えたみたいです。」
「ふざけないでっっ」
私はたぶん今日一番の叫び声だっただろう。でも当然だ。間違えて殺された上に転生先まで間違っていたのだから。怒りは収まらないがまだ死神の話を聞き終えていなかったので少しづつ自分を落ち着かせていった。
「それでどんなゲームなの?」
「調べるので少し待っていてください。ええっと、卒業式の日に普段閉まっているはずの屋上が開いているので屋上に行き、そこで大好きな彼と相合傘を書くと幸せになれるというゲームのようです。そのために主人公の入学式から始まり運命の彼を見つけていくという内容です。」
「相合傘を書いたらハッピーエンドになって終わりなのね。エンディングが来たら私はどうなるの?」
「それは...あなたはもう思い残すことがないはずなので成仏すると思います。転生してはいますが一応あなたは死んでいるので...」
死神の言葉にやはり私は死んだのだと実感した。けれど今すぐに私がやるべきことは攻略することなのだ。他のことはまたその時に考えよう。私はそう心に決めた。