私の…
「あ~もーイヤッ!」
がちゃーん。。。嫌な物音がする。
「あんたも片付けなさいよ!」
私は12歳。そしてエミという。
私の名前を呼んでくれたのは、大地震の時だけだった。
チラッと横目で時計を覗く。
現在夜6時33分。
「お母さん…仕事は…?」
「イヤーン、伸ちゃんが来ちゃうー♡♡
アンタ、外に出ときな!」
チャリン。500円ほどのお金を投げられる。
「…うん」
1枚1枚拾い上げる。
いいんだ、もう慣れっこだ。
ペダルに足をかけ行くあてもなく漕ぎ進む。
コンビニでサラダとおにぎりを買おうとしたとき。
カッターが目に入った。
これでお母さんを殺せば…?
私は幸せになれるんじゃない…?
そんな思いで一つだけ買った。
おにぎりとサラダを無表情で食べ進めた。
ふと、レジ袋の中のカッターが目に入った。
特に何も思わなかった。
「おかあさーん、おかしかって~」
小さな男の子が駄々をこねている。
「駄目よ、家にまだまだあるでしょ」
男の子からお菓子を取り上げ棚に戻す。
こんなふうに希望も取り上げられていくのかと思った。
でも、少しお母さんに会いたくなった。
こんなふうに愛してくれるかな…って。
自転車に乗り帰路についた。
一軒家の家。でも、つるが巻きついたり散々な家だ。
きぃぃ…
「しんちゃぁん、♡一緒にお風呂はいろぉ?」
バタン。
一言目で私は扉を閉めた。
そして、駆け出した。
愛されているかもなんて、考えた私が悪かった。