危険な薬 キケンナヤク
初めての短編小説です。
眠いので寝ます。
今日はクリスマスだというのに、最高気温が25度もあった。今年はスキーのゲレンデも雪不足でオープン出来ないらしい。
しかし彼は、それより大きな問題を抱えていた。28歳から一人暮らしを始めて、8年間ぼっちクリスマスを過ごしているのだ。
悲しみに浸りながらテーブルの上の小さなクリスマスツリーを眺めていると、データ量がお釈迦になってしまったスマホが鳴った。女の子からの電話かどうかドキドキしながら画面を覗いた。そこには「バイト兄さん」(バイト兄さんとは、彼に様々なバイトを紹介してくれる心優しい大学時代の先輩なのである。)と表示されていた
女性からの電話では無かったという落胆と同時に急いで電話に出た。
「あっもしもし佐藤くーん?今空いてる?」
「はい空いてますけど」
「良かったわー今から家来て貰える?」
「はい、分かりました。今向かいまーす。」
「あっ つまみも持って来てねー」
「了解でーす。」
電話を切ったあと急いで残ったカップラーメンを頬張って家を出た。バイト兄さんの家には徒歩10分の最寄り駅から6駅のところにあるが、もう終電は終わっているのでチャリで飛ばして30分でついた。
彼は僕を心良く家に入れ、ビールとつまみに鮭フレークを出してくれた。自分もちーかまを持ってきたので華やかなクリスマス晩酌となった。
飲み始めてから1時間後、バイト兄さんから家に呼ばれた本当の理由が告げられた。
「それで、一つバイトを持って来てるんだよねー。」
「えっどんなバイトっすか?」
「薬を飲んで、どうゆう作用が出たかレポートするバイトなんだけどどう?」
衝撃のバイトだった。悪くても下水道の掃除とかだと思ってたが、こんな怪しいバイトだとは思わなかった。しかし、いつもお世話になっているバイト兄さんの誘いを断ることができなかった。
「はい。分かりました。いくら貰えるんですか?」
「1錠5000円。」
「スゴイっすねー。じゃあ始めましょうか?」
「オッケー。 はいこれね」
一つ目はどす黒い赤色をしたカプセル状の薬だった。
ごくり。薬を飲み込んでもなにも起こらない。
「なにも起こらないです。」
「えっ?もっと詳しく調べてみて?」
「はい。」
体をくまなく調べていると「グニャ」という感触がした。
「せっ先輩… 変化ありました。」
「おっなになにー?」
「右手の親指が360°回ります。」
「ふっっなんだそれー見して見してー?」
俺はバイト兄さんにその光景を見せた。
「うわっきもっ!!」
「怖いですよね。関節溶かしたんですかね?この薬。」
「だな。じゃあ次これね」
次の薬はオブラートに包まれた粉薬だった。
ごくり。今回は飲んですぐに足に痛みが走った。
「足がっ足が痛いですっ」
「おーそうかそうか頑張れー。」
足の痛みが退くとそこには驚きの光景が広がっていた。
「さっ佐藤くんあっ足が」
「えっ えーーーっ」
右足と左足が逆になっていた。俺たちは顔を見合わせて同時にこう言った。
「もうやめよう。」
あのバイトをやってからもう2年が経っていた。俺は未だに右手の親指が360°が回り、足の左右が逆になったままで、歩きにくいし、クルクル回るし、不幸なことだらけだが、今とてもあのバイトをして良かったと思っている。
なぜなら、俺はこの変化のおかげでお金ががっぽり入ったからだ。あれは今から2ヶ月前のことだ。
眠りから覚めてぼーーーっとテレビを見ていると「ビックリ人間大集合」という番組がやっていた。
なんとビックリ人間No.1になると10億円貰えるというものだった。
俺は応募ホームに自分に起きた事を書いて応募したら、スルスルと審査を通過して優勝してしまったからだ。
そして俺の長年の悩みであった平凡人間というコンプレックスは無くなり、ビックリ人間No.1の称号と10億もの大金手にいれた人生の勝ち組になったのだった。
バイト兄さんは俺の成功を羨んで薬を飲んだがスライムのようにドロドロになってしまった…10億あれば治るのだろうか?そう考える今日この頃であった。
完
どうだったでしょうか?
もしよかったらレビュー書いてってください。
鮭フレークって美味しいよね