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径side
いつもなら、パタパタと音が聞こえて
超絶可愛い笑顔で「おかえり」と言ってくれる
愛しのハニーが来ない。
「櫻〜?」
明るいリビングに行っても
櫻の姿は見当たらず、その代わりテーブルに紙が置いてあった。
"大きな像によって水が冷やされる"
「…なんだぁ?」
意味不明な文章を見ながら、手を洗って水を飲むべく冷蔵庫を開けた。
「…あっ」
大きな像…蔵、冷蔵庫?
によって冷やされるんだから、冷凍庫か?
半信半疑で氷の入った場所を開けると
引き出しの横に張り付けられた紙と氷に紛れてチロルチョコが入ってた
「…し?」
チロルの上に し と書かれた紙が貼られている。
もしかしたら、全部集めて言葉になるとか?
ケースに張り付けられた紙を見ると
"数字が沢山並んでるけど、径くんの目には あまり止まらないね。記念日だって忘れちゃう"
記念日?俺の目には入らなくて数字…
記念日といえば、櫻がいつもカレンダーに…
「カレンダー!」
壁に掛けられた大きなカレンダーには
今日の日付に赤く丸がつけられていて
その上にまた紙、とトリュフチョコレート。
チョコには"て"と書かれていた。
"寂しいな、って思ってると いつも寄り添って、ギュって抱きしめてくれる特別な場所。
だけど、あなたはいつも寝てばかり"
寝る場所って言ったらもう、あそこしかない。