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コンコン


「こんにちわー春名ですー」


「あ、こんにちわ。今日はこちらにどうぞ。」


「え?」




事務所の隣にある会議室に通すと

明らかに不満な顔をした。





だって、径くんに言われたんだもん…




「あなた、山風くんの恋人?」


「へ?あ、はい…」


「ふーん…まぁ、あなたの仕事内容なんて、

誰にでもできることだしね。

私が代わりになったって構わないわよね。」




…え?





「恋人が他の女と密室で二人きり。

しかも、場所はアトリエ。

ずいぶん余裕がないみたいね?」


「…っ」


「あなたみたいなお子様より、

大人に私の方が、彼の助けになると思うけど?」





…大丈夫、大丈夫


径くんを信じてるもん…





「あの、お話は以上ですか?

山風が待っていますので、どうぞ会議室に。」






冷静に言うと、態度が面白くなかったのか

先ほどの余裕な顔とは一変した。


彼女がまた、口を開きかけた時

会議室のドアが開いた。





「はーい、そこまでにしてくんないかな?」


「け、いくん…」


「美琴さん、俺の大事な大事な彼女ちゃん、

虐めないでくれる?」




あくまでも、にっこりと。

いつもの彼だ。




「今日で取材終わりでしょ?

俺のこと、しっかり書いてよ。

彼女がいたから、ここまでこれたんです、って。」




嬉しくて、嬉しくて


涙が出そうだった。






「確かに、美琴さんは大人だし

縛られるのが嫌いな俺には楽な相手かもしんないけどさ、櫻は別なんだよ。

我儘も、重たいのも、束縛も、俺にして許されるのは櫻だけ。櫻だけの特権なんだよ。


あんまさ、櫻のこと虐めて泣かせで傷つけるようなことしたら…俺、なにするかわかんないよ?」




にっこりとほほえむ。


彼女の顔がザァッと青ざめた。




「ほんじゃ、取材はじめっか。

和ーお茶よろしくー」




のんびりとした径くんの声に


「はぁ⁉︎嫌だよ、自分でいれなさいよ、それくらい!私は今忙しい!」



と事務所から和ちゃんの声。




径くんはケラケラ笑っていて、


沙耶ちゃんが慌ててお茶を持ってきた。























「やぁ、スッキリしたわーあの女。

2度くんなっ!」


「ちょ、和ちゃん…」


「で、珍しくカッコつけたおじさんは?」


「あぁ、なんか創作意欲が湧いたみたい。」


「そっか。」




ポンポンと、和ちゃんが肩を叩いて

「良かったね。」って微笑んだ。





たまにヤキモチ妬いちゃうこともあるけど、

ずっとずっと大好きだよ、径くん。





fin

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