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初投稿です。
表現方法や、感情方法に稚拙な部分があります。
もし作品に目を通してくださいましたら、よかったらご指摘などを頂ければ参考にさせていただきたいと考えております。
宵闇に一つの黒い影が駆けてゆく。それはこの世界では2番目に忌むべきものとして住人からは認識され、また獲物となったターゲットからは恐怖の代名詞として広く知られている影であった。影は闇よりも濃密な黒をまとっており、しかも目に留まらないほどの速度を保ちながら城内を抜けていく。
影は依頼者によってもたらされた情報と、この城を支配する人物───城主のドム=バルクについて考えていた。城下町に住む住民他たちはバルクについての大体の総意は特に可もなく不可もなくといったものであり、それはわざわざ高い依頼料を払い、命を奪わなければならないかと尋ねられれば一部の住民を除き、首を横に振るだろう。
なのになぜ依頼人はバルクを殺そうとするのだろうか。
依頼人はこの城主の大臣と言った。名前などは思い出せない。酷く卑しい笑みを顔に浮かべこれからの生活についてニタニタと依頼内容を語っていた。話を戻すが大臣がバルクを暗殺する理由、それは突き詰めてしまえば城主の座を狙っているから。これに尽きる。
普通常としてはバルク、城主の息子やその親類縁者に継がれるが、バルクはそういった類の縁はすべて切り捨てていた。猜疑心が強く、自分の権力にしがみつき私服を肥やすために妻などは作らず、親戚の類はすべて絶縁していた。イメージとしては権力といってもたかが城主程度である。城の経費や運営費は城下街の住民から少しずつ徴収しており、その金額は微々たる物でも、最終的に城に集合する金は莫大なものとなる。バルク一人が贅沢をするのは充分であった。
大臣という職についてはバルクのほとんどの仕事が舞い込んでくるため、激務といえば激務だが、大臣についても部下にほとんどを押し付けているため、仕事内容に不満はなかった。給料の方も一般人以上に貰っており、上流階級の生活を危なげなく送っている。ではなぜ、城主の座を狙うのか。
わかり易く言うと「隣の芝生は青い」であろう。城主と大臣の生活を比べるのは些か問題があると思うが、大臣は今以上の生活を優雅に、豪華に強欲に暮らしていたいと考えていた。
隣の芝生が青いのは仕方ない。城主を殺した後は大臣が城主になる予定だった。その段取りも既に済ませており、そのための金も部下や周りの人間に握らせている。そして実行者と選ばれたのが闇にまぎれて駆けているアルバであった。
城主となれば通常の一般人よりも警備は厳重であり、それも暗殺というのは容易ではない。
しかも今回は突然死のように暗殺してくれという。少々変わった暗殺内容であったが、立場や城主という立場については目に見える形で殺されたという結果が残ってしまえば大臣にとっては後々がややこしくなるのだろう。
見回りの兵士を出し抜き、危な気なく城内に侵入し、アルバは城主のバルクの寝室の前に来ていた。アルバはそこで隠蔽魔法を発動する。この隠蔽魔法はアルバの得意魔法の一つであり、10メートルの範囲内での生物の認識を阻害する結界形移動範囲魔法である。この魔法は城内のどこかにある魔力探知装置にも引っかからないのが利点として挙げられ、隠密や偵察、今アルバが使っているような暗殺行動によく好まれていた。
普通はこのような魔法を探知するのが最優先とされるが、この隠蔽魔法はあまり一般的には知られておらず、また知識を持っているものでもその性質上あまり広まることはなかったのである。結果暗殺者にとってはこのような装置は無用の長物になることについてはアルバにとってもありがたい話ではあったが。
アルバは予め大臣から預かっていた鍵を持ち出し開錠、すばやく侵入する。別に魔法がかかっている時点でそんなことは必要なかったが、まあ、気分である。
アルバは目の前で寝ているバルクを見つめる。私腹によって丸々と肥えた顔の輪郭は既に顎と首と境界線を消していた。四肢もぶくぶくと膨らんでおり、時折何度も夢にうなされる様に手を振っている。悪夢でも見ているのだろうか。
アルバはそのまま認識魔法を10メートルの範囲からアルバだけを隠蔽するように狭めた。
「……」
そのままアルバは小刀を取り出し一気に城主の心臓部分に突き刺した。