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教室に入ってみれば
教室に入ると、何時もに増してクラスが騒がしい。
教室に入るや否や、クラスメイトの一人──男子生徒の谷崗──が、声を掛けて来た。
谷崗
「越宮、左手の甲を見せろよー」
何が何だか分からない私は、谷崗に言われるままに左手の甲を見せてやる。
谷崗
「お前は青かー。俺は黄色だ」
何時もより一割増しなテンション高めにカミングアウトしてくれた谷崗に対し、『お前』と呼ばれてイラッとした私は、谷崗の頭を叩いた。
何時もつるんでいる友達の元へ行くと、手の甲に書かれている数字についての話題に花を咲かせていた。
左利きのユッコは右手の甲に数字が書かれていた。
他にも何人か左利きの子が居るが、同じらしい。
私と同じ青色の数字が書かれたクラスメイトは残念ながら居なかった。
ちょっぴり寂しさを感じたのは、私だけの秘密だ。