ビンゴ大会(上)
会も終盤に差し掛かる。
ジルが取り出したのは……
歌も一段落したところで、ジルがまた立ちあがった。
「えー、盛り上がっておりますところをすいません。これから、このオフ会の一大イベント<ビンゴ大会>を始めようと思います!」
そう言うと、女将さんが待ってましたと現れて、古臭い抽選マシンを持ってきた。
皆がそれに、おぉと声を上げて拍手をする。ジルは、そんな彼らに一枚ずつビンゴ用紙を渡して行った。勿論、私も貰った。
「今回は、このジル=ド=レイが皆さまの為に沢山の賞品をご用意いたしました! 是非ともビンゴしてくださいね! 最初にビンゴした方にはなかなか素晴らしい物をプレゼントしますよ」
ジルも偉く奮発したものだ。
長らく会っていなかったのにここまでしてくれるとは良い人間だ、深く感謝せねばならない。やはり、人は見た目で判断してはいけないと実感する。
「ジャンヌさん。一等賞の商品って何でしょうね?」
「何だろう? 楽しみだな。まく朗は、何だと思う?」
「えーと、<おしり型ヘルメット>だったらいいなー」
まく朗に聞いた私が愚かだった。
確かに、それは聞いたこといがあるがそういうものは「罰ゲーム」とかで貰える品だ。
「では!」ジルが手を上げる。
「抽選スタート!」
ボタンを押すと電子音で「おら死んじまっただ」が流れ、電光掲示板の数字がチカチカ動いた。皆はそれをじっと見つめる。私も、景品が気になるので表示される数字は気になった。
「はい……36!」
会場で「よっしゃ!」とか「やった!」声が上がる。
まだ始まったばかりなのにハイテンションだ。こう言うタイプの人間って何となく、途中でぱったりと運の流れが止まってしまう気がするのは気のせいだろうか。
45
8
27
18
次々と数字が発表される。
しかし、私はまだ1つもビンゴ用紙に穴が開いていなかった。前世は運命に愛されたことがあった私も随分と見放されたものである。
「リーチ!」
そして、そんな私を尻目に早くもリーチしたものが現れた。
それは、カクガリの男<madara>だった。
「おお、遂にリーチが出ましたね! でも、まだです! 皆さん頑張ってください!」
ジルはそう言うが、頑張れるところが1つも無い。全部運だ。
ただ、やっと1つ22のところに穴が開いた。まだ追いつける可能性はある。
隣のまく朗を覗きこむと、彼女は既に4つ穴が開いていた。どうやら運は良い方らしい。
手に汗握る展開は暫く続いた。ビンゴは、なかなか出ない。
しかし、その争いも23の数字が出た時、遂に節目を迎えた。