表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

いざ玉野屋


 オフ会会場へ向かうジャンヌ=ダルク(十字 まもり)。

 メンバーは果たして集まっているのだろうか?





 ぶらぶら大須を歩く事20分。

 玉野屋は大須観音の近くのちょっと目立たない場所にあった。

 料亭の様な、なかなか古風な建物だった。かなり昔からあるのだろう。

 信楽焼か何かの、大きな狸の置き物が私を出迎えた。


 果たして、本当にここで良いのだろうか?

 不安だった。本当に、ブログに来てくれる皆は来てくれるのだろうか?

 もし、ジル=ド=レイ誰も来てくれなかったら、私は未来永劫人間を信用するのはやめにしたい。一生、家の中でひきこもってでもいようかと思う。


 入口は手動だった。

 私は、何か重苦しい、まるで決戦前夜のような感覚でガラガラとその扉を横にスライドさせる。

 

 思わず瞑ってしまった目を開ける。

 玄関は、人気が無かった。しかし、すぐにトタトタと足音が聞こえてきた。


 「いらっしゃいませ」


 出てきたのは4~50代の女性だった。

 この店の女将さんか何かだろう。着物姿でちょっと威厳がある。まあ、ナポレオンが称賛したと言うかつての私の威厳程では無いと思うが。


 「え-と、お名前は?」


 女将さんは優しげに名前を聞く。普通なら、今の名前を言うものだろうが、オフ会なのでそうはいかないのだ。現世の名前を言うわけにはいかない。だから、答えは勿論こうだ。


 「……ジャンヌ=ダルクです」

 

 言うしかなかった。明らかに変だけど言わざるを得ない。

 神より賜りし神聖な名前なのだが、ここで言うと恥ずかしいのはなぜだろう?

 恥じる事はない。恥じる事は無いはずなのに。おぉ……申し訳ありません守護天使様。このような私を見ておいでなら随分とお嘆きの事でしょう。


 「ああ、<ラ・ピュセルを愛する会>の方ですね! どうぞこちらへ。」


 私は唖然とした。

 この女将さんは、私の名前にもCOSPOで買ったアニメチックな衣装にも動じず、爽やかに私を部屋に案内するではないか。これには、まことに驚いた。少しばかり感心してしまった。悠然と私の前を歩く様もまた、どこか優雅だ。


 案内された部屋は「十五夜」という名前だった。

 お座敷で、座布団と机がおおよそ30人分程の為に並べられていた。そして、その机の一つに既に座って何かメモの様なものを見ている男性がいる。


 多分、彼だろう。彼に違いない。

 私は、やや硬い動きでその男性に近づくと、彼はさっとその場で立ちあがった。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ