ビンゴ大会(下)
ビンゴ大会も終盤。
果たしてジャンヌはビンゴ出来るのか!?
「ベンゴ……じゃなくてビンゴ!」
わざとらしく間違えたのは、まく朗だった。
リーチが早かった割にビンゴに辿り着いたくのは遅いと言うのはよくありそうなパターンだ。でも、最初にはしゃいでた者達は、私の読み通り、結局皆ビンゴ出来ていないことを考えれば運が良いと言えよう。
「まく朗さん、おめでとうございます! 賞品は……ブリブリ君クッションです!」
女将さんの持ってきたのは、遠まわしに言うと、こげ茶色のソフトクリームのクリームの部分みたいな形のぬいぐるみだった。正直、色といい形と言いアレにしか見えない。まく朗はこれをおもちゃを買ってもらった幼稚園児の様に嬉しそうに貰った。
「ジャンヌさん、やたーです! うれしいなぁ、これすっごく欲しかったんです!」
たしかにまく朗が欲しがりそうなものだ。今日会ったばかりなのだが良くわかる。しかし、自分の欲しがっている物がこうも都合よくピンポイントで貰えたあたり、彼女の運はある意味神がかっている。私としたことが、何だかちょっぴり悔しくなった。でも、この景品は絶対にいらない。
さて、これで景品は残すところ2つになった。
その1つも今、<暗黒開闢魔王ルシファス>が持って行ったのであと1つだけだ。
「さぁ! いよいよ最後の景品を賭けての戦いです! 皆さん、最後まであきらめずに頑張ってください!」
だから、頑張りようがないんだって。
しかし、最後の景品って何だろう? まさか、最後の最後にとんでもない景品がもらえると言うサプライズがあったりするのだろうか? まさか……でも、ジルは一等にハワイ旅行を用意するような男だ。もしかすると……そう思うと、また少しビンゴに興味がわいてきた。
「では、次の番号は……」
おぉ。
おぉぉ。
おぉぉぉ!
「……ビンゴ……!」
私は、平静を装っていたが。内心胸が高鳴った。
メインの人物が最後の最後にビンゴするとは何というドラマティックな展開だろう。会場からも拍手と、ジャンヌーと言う叫び声が聞こえた。
「流石はジャンヌ=ダルク! 見事、最後に決めてくれましたね! では、賞品ですが……」
こんなにどきどきしたのは、オルレアンでの切り返し以来と言っても過言ではない程久しぶりだ。さて、一体、何が貰えるのだろう?
「おめでとうございます! ジャンヌ様には、このジャイアントカプリコを差し上げます!」
女将さんに手渡されたのは、円錐型のチョコレート菓子一個だった。
ああ、そうだよな。こんなものだよな世の中と言うのは。
まあ、このチョコレートは結構美味しいから別に嫌では無いし、帰ったら美味しく頂こう。
こうして、波乱のビンゴ大会は大盛況のうちに幕を閉じた。