ビンゴ大会(中)
白熱するビンゴ大会……
最初のビンゴするのは誰?
「ビンゴォ!」
会場がどよめく。
遂に一番乗りが現れた。
「おぉ! 出ましたっ! 最初にビンゴしたのは<クワムラ>さんです!」
クワムラは、中年の女性だ。
チーターの絵が描かれた服を着ていて、大阪にでもいそうな感じの人だ。ただ、さっき通りがかった感じだと大須も結構そういうおばちゃん向けの服の店が多いから地元っぽい人とも言えるかもしれない。とにかく、そのおばさんがビンゴして立ちあがった。
「おめでとうございます! 栄えある一等賞の景品は、ハワイ旅行です!」
え?
今、何て言った?
ハ・ワ・イ旅行ぉぉぉぉ!?
これには私も驚きを隠せない。こんな小さなオフ会の中の小さなゲームの景品が事もあろうにクイズ番組で難問に次ぐ難問に正解した挙句にしかもらえない、あのハワイ旅行だとは。女将さんが封筒みたいなものを持ってきたが、あの中に入ってるとは、全く信じられない話だ。嘘だったら承知しないぞと思ったが、クワムラおばさんがすぐに中を見せてくれたので、それがどうやら本物らしいとわかった。皆がどっと驚く中、ゲームは続く。
「ビンゴ!」
2等賞は、小柄な青年<聖騎士ランスロート>だった。
商品は……SVB! これまた最新型の家庭用ゲーム機ではないか。私は、世の中には興味を無くしていたが、物欲は失っていない。欲しかった。正直、ハワイ旅行よりこっちが欲しかった。貰えたら「テスガイア4」買ってしばらくゲーム三昧だっただろうに。実に、くやしい限りだ。それにしても、今回のオフ会の会費って確か2000円だったよな? 私は免除されてるし、食事代だけでも足が出そうな気がするが、もしかしてジルが全部自腹を切っているのだろうか? だとしたら、奴はとんでもない金持ちなのかもしれない。
3着あたりからは、やっと普通の景品になってきた。それでも、ミニ掃除機とか、鉛筆削りとかまずまずだ。しかし、さっきから女将さんが賞品を持ってきているが、タイミングが絶妙すぎる。ずっとどこかで、ビンゴするのを見ているのかと思う程に、ジルが景品名を言ったあとにすぐさま部屋に入ってくる。恐るべし……やはりこの女将、戦場でも活躍できるに違いない。
さて、私だが、やっとリーチまでこぎつけた。
隣のまく朗はWリーチなのに一向にビンゴしないのが可哀そうだ。
「ジャンヌさん! お互いビンゴ出来るといいですね!」
「そうだな、まく朗。あまりいい賞品は望めないけれど、何かは貰って帰りたいな」
賞品も、ジルの言うところだと、あと3つを残すのみらしい。
いよいよゲームも終わりに近づいたということだ。まく朗にはああ言ったが、正直もう景品にはあまり期待していない。十分楽しんだし貰えなくても良いかなと言うのが本音だった。
「では……次の番号は……10です!」