表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

第六話 世界の闇

今回は長いかも…


一真達に運ばれた佳奈は未だに目を覚まして居なかった、


「…どうにか小康状態になったか、桜樹は…」


「…ああ、だが、先程の反応は少しおかしく無かったか?」


「ああ…そうだな、少し調べて来る…」


そう言い残して保健室を出て行く匡正、それを見送る一真、それから数分後…


「…ふぅ、喉か沸いたから何か買って来るか…」


そう呟きながら立ち上がり飲み物を行こうとした瞬間…


晴香はるか…」


「…?

(うなされて居るな…しかも、泣いてる?)」


不思議そうな表情をする一真…彼は小さい頃、喜怒哀楽がほとんど無かった為、未だに感情表現が難しいらしい…


「…なんで泣くのか未だに理解に苦しいな…」


そんな独り言を言って居ると、佳奈は目を覚ました、


「…?

一真君?」


「そうだ…気がついたか?」


「…私、何時間ぐらい寝てたの?」


「さぁな、二時間ぐらいじゃあ無いか?」


時計を見ながらそんな事を言う一真、


「そう…(また、あの夢を見た…)」


「なぁ、佳奈、一つ聞きたい事が有るんだが…良いか?」


「何かしら?

私の答えられる範囲なら良いわよ?」


この何気ない一言が、後に過去を語る羽目になる事とはまだ知らない佳奈、そして…


「…サンキューな、では…血にトラウマが有るのか?

さっきのから察するにだがな…」


「…有るわよ、確かにな」


顔色が段々と悪くなって行く佳奈、それを見た一真が…


「あ…すまん、聞かなかった事にしてくれ…」


「…いいえ、ただ…私の過去になってしまうからどうだろうと思って…」


「…話してくれるか?」


そう一真に聞かれて考え込んだ後、頷く佳奈、そして…


「…まずは私の本名を教えてあげる」


「本名?

じゃあ、今名のっているのは偽名なのか?」


「まぁね、で、私の本名は相沢 佳葵って言うの」


佳葵と名乗られた瞬間、一真は驚きの表情を浮かべた、


「佳葵って、まさか…あの閃裂せんれつの…?」


「懐かしい通り名ね…」


「驚いたな…まさか、あの伝説の古流剣術…古式飛燕流こしきひえんりゅうの使い手だったとは…」


「あら、戦場で有った事は無いはずよ?

克龍の一真君?」


そう言いながら笑う佳葵、それを見た一真が…


「…自分の立場が分かってるのか?

有名だぜ、佳葵よ…」


「あら…貴方達程では無いわ、(戦場のワルツ)の異様を持つ貴方達ほどでは…ね」


「…昔の話しだ、さて、何で俺達が昔、戦場に居た事を知って居るんだ?」


そう聞かれて考え込む佳葵、そして…


「…刻騎士の柳斎って言う男を探して居るの」


「刻騎士…って、ちょっと待て、あの小太刀舞焔流を使う奴か!?」


「そうよ?」


それを聞いた一真が…


「…何が有ったんだ?」


「あいつは…私から全て奪ったのよ!!」


そして佳葵は段々と過去を話し始めた、


それは今から十年前、私は有る会社の社長の娘であった、そして彼女には年の二つ離れた妹が居た、


「お姉ちゃん待ってよ~」


「晴香、早くおいで」


私達はとても仲が良かった、と言うよりは家族全員が仲が良かったのだ、そんな幸せな生活は突如終わりを告げた、


「お嬢様!!

お逃げ下さい、私どもに構わずに早く!!」


次々と殺されて行く執事やメイド、そう、有る一人の男によって…


「ああ…」


私と晴香はただ泣く事しか出来ずに居た、そして…


「娘達には手を…」


父親が最後まで言い終わる前に斬り殺されて居た、そして…男は晴香を抱えあげた、


「晴香を離して!!」


私は叫んだ、しかし、現実は甘く無かった、私は壁まで飛ばされて思いっ切り背中を打ち付けた、そこで私は気を失った、


「…次に目を覚ました時にはすでに何処かの施設に居たわ」


佳葵の話を黙って聞いて居た一真がついに口を開いた、


「…なるほど、大体の話は分かった、それと有る事を思い出した」


「有る事?」


一真の一言に眉を潜める佳葵、そして…


「ああ、刻騎士の所属するところにな…」


「どこ!!!!」


「…俺の予想だ、それに…多分、足を突っ込んだら戦いは避けられない、それでも良いのか?

覚悟は有るか、戦い抜く…」


そう言って釘を刺したにも関わらず頷く佳葵、それを見た一真は…


「はぁ…分かった、俺の知る事を教えてやる、まず刻騎士の所属している場所…名をシャドウナイツだ」


「シャドウナイツ…?」


そう言われて考え込む佳葵、しかし、結論が出そうに無いので一真に尋ねる事にした、


「…シャドウナイツってのはな、この世界の闇その物なんだ」


「世界の闇?」


「…全ての影、裏の世界とは違う…闇その物だ…」


それを聞いた佳葵は凄く驚いて居た、そして…


「…ここまで聞いて臆したか?」


「…いいえ、むしろ望むところよ」


そう言いながら笑みを浮かべる佳葵、その時…


「…邪魔だったか?」


そう言いながら匡正が登場、それにより佳葵が…


「え…あ…あう…」


真っ赤な顔になり、かなり焦って居た、


「うん?

どうしたんだ?

佳葵」


「えっと…あっと…その…」


すごい勢いで取り乱す佳葵、それを見た匡正はニヤリと小さく笑った、


「良かったな、桜樹、両方の寮の改装が終わったからこれからはいつでも一真に会えるぞ」


そう、一真の通う学校は強制的に全寮制となって居るのだが、今回、余りに痛んで居た寮をリフームしたのだ、ちなみに一真は師匠の家を借りて住んで居た為害は無かったが、晃平と広秋はテント暮らしだったらしい、

それはさておき、佳葵の顔は今にも噴火寸前の火山の様な表情になって居る、そして…


「うう…もう知らない!!」


泣きそうな顔をしながら走りさって行く佳葵、それを見た一真が…


「…匡正、いつも思うが…その性格は直した方が良いぞ」


「すまん、すまん、どうも癖になってるみたいでな」


そう言いながら少年の様な…笑顔を浮かべる匡正、それを見て呆れ帰る一真、


「はぁ~(後で謝りに行こうかな…?)」


「うん?

どうした一真、いつもと違う表情だが…どうかしたのか?」


「…何でも無い、ところで、さっきの話は本当か?」


「ああ、本当だ、ちなみにルームメイトは俺で、隣りが広秋と晃平だ」


それを聞いた瞬間、嫌~な顔をする一真、


「…そんなに嫌か?」


「別に…取り合えず寮に行こうぜ」


そう言いながら保健室を後にする二人、ちなみに、保健室は学校の南側にあり、寮はそのま逆の北側に有るのだ、

寮まで移動した一真と匡正は驚いて居た、その理由は…


「…明らかにでかくなってるよな、匡正」


「ああ…俺も驚いた、まさかここまでとは…」


新しくなった寮の大きさは、男女の寮、合わせて市民体育館ぐらいの大きさである(分かりにくい方は、学校にある体育館四つ分と考えて下さい)

取り合えず中に入って見る一真と匡正、果してここは学校の寮なのかと疑いたくなった、何故なら…


「…まさか真っ二つに分けて男女とは、寮自体を離せよな…」


「まぁ、気にしたら負けだぜ、一真、しかし、踊り場が広いな…」


何が負けなのか分からない一真、それから二時間後、師匠の家から必要な物を運び込んだ一真は部屋で寛いで居た、


「ふぅ…」


「何で溜め息なんてついて…あ、あと悪いけど隣りとの部屋の壁はぶち壊すから…」


「本当に悪いよ、つか、ぶち壊したら問題だろ、匡正よ…」


一真の注意を聞き流すかの如く青龍偃月刀を構える匡正、それを見た一真が…


「…お願いだからその獲物を閉まって下さい、匡正さん」


「…一真がそこまで言うなら止めよう…」


そう言いながら青龍偃月刀を袋に直す匡正、それを見て安心する一真、そして…


「そろそろ飯の時間だな…行くか、一真よ…」


「そうするか…」


そう言いながら部屋を出ようとした一真、しかし、そうは行かなかった、なぜならば…扉が蹴り開けられたからである、


「…何者だ、お前らは」


「……………」


いきなり一真達の部屋に入って来たスーツ姿の男は無言でナイフを構える、しかし、一真は刀を構えない、っと言うか構えられないのである、その理由は…


「…(この低い天井じゃあな)」


そう、寮自体は大きいのだが、天井の高さは普通の天井の高さと変わらず約、二メートル半から三メートル程、さすがの一真でも刀を振る訳にはいかないのである、

仕方無く拳を作り体術の構えを取る一真、隣りの匡正も先程とは異なり真剣な顔付きで青龍偃月刀を構えて居る、性格には槍の構えだが、


「さて…匡正、どうする?」


「一真は空きを作ってくれ、あとは俺が何とかする」


「了解」


一真は返事をした後開いて居た窓からスーツの男を蹴飛ばして外に出し、その間に部屋の隅に置いて有った刀を取り、匡正と共に部屋を出た、しかし、二人は出た瞬間驚いた、なんせさっきのスーツが五着…じゃあ無くて、五人に増えて居たからである、


「…おいおい、マトリックスかよ、何で増えてんだよ」


「待て、匡正、アイツら…影が無い」


「…なるほど、早速動いた訳か…地獄耳だな」


一真と匡正は彼らを見て驚きはしたがいつもと違い、完全に臨戦体制に入って居るためそこまででは無かった、(ちなみに佳葵の事は寮に付く前に話しておいた為、匡正は事情を知って居るのだ)そして…


「…ほんじゃあ、そろそろ行きますか?」


「背中は任したぜ、匡正」


「ああ、行くぜ!!」


勢い良く走り出す二人、しかし数分後、彼らはかなり劣勢に立たされて居た、


「…正直に言ってしんどくなって来た」


「確かに…てか、正直言って卑怯臭い…」


愚痴りながらもスーツを切裂く一真、しかし、スーツが分裂してまた新たに現れるのである、ちなみに現在二人は学校の屋上に居て、スーツは軽く五十人を越えて居る、


「スライムか!!

こいつらは!!!」


「そうだな…試しに燃やして見たらどうだ?

匡正」


「そうだな…やる価値は有りそうだな…」


そう言いながら青龍偃月刀に炎を宿す匡正、そして…


「喰いやがれ!!!

火焔斬ひえんざん


匡正の火焔斬(簡単に言うと、炎を宿した青龍偃月刀で薙払う技)により、炎上するスーツ、しかし…


「……………」


彼ら自体が溶けて移動し、少し離れたところで元の形に戻ったのである、


「…おいおい、マジでスライム染みて来たぜ、こいつら」


「…そうだな、しかし、きりが無いな、匡正よ…」


「そうだな、確かに終わりが見え無いぜ…」


スーツの攻撃を受け流しながら考える二人、 不意に後ろを取られてしまった二人、


「…っ!!

しまった!?」


「間に合わん!!」


そう思い瞬間的にガードを試みた、しかし、間に合う訳も無く敵の攻撃を受けた様に見えた、しかし…


「…殺らせはしない」


「そうだね、詩乃、その二人は殺させないよ!!」


その声と共に三本の矢と五発の弾丸がスーツ目掛けて打ち込まれた、しかし、先程と同様に分裂してしまった、


「…嘘、何で?」


「こいつらはシャドウナイツだ、分裂するスライム見たいなもんだ!!」


隣りの校舎から侵入した詩乃と楓に一真が説明し、納得する二人、そして…


「なら…分裂出来ないぐらいに攻めれば良い…」


「その意見にはボクも賛成だね」


詩乃が頷き、楓はシグのマガジンを変えて既にリロード終えて居た、しかし、安心をした一真達は次の瞬間、開いた口が塞がらなくなってしまった、その理由は…


「…おいおい、それは無いだろ…」


「…きちんと倒した筈なのに…」


そう、全て木っ端微塵になるまで猛撃をしたにも関わらず、現在、一つの塊と化して居たのである、


「…不味い、完成する前に破壊する!!」


そう叫びながらながら構えたまま飛び上がる一真、そして…


「克心流 月火連劇!!」


月火連劇をかます一真、技を受けたふらつくスーツの塊、それを見て居た楓が…


「オマケだよ!!!」


両手に持ったシグにより足と頭を打ち抜いた、そして、とどめと言わんばかりに手榴弾を投げ付け、それが当たると同時に狙撃し駄目押しをした、しかし…それも空しくすざまじい勢いで再生して行くスーツの塊、そして、スキを見せてしまった一真が殴り飛ばされた、そして、貯水タンクにぶつかってしまった


「がはっ…」


「一真!!!!」


血を吐く一真、それを見て叫ぶ匡正、その全てを見て居た楓が…


「よくも一真を…オマエ、消えろ!!!!」


完全にキレてしまった楓、どこからとも無く対戦車用ライフルを取り出して乱射している、


「楓、取り合えず落ち着いて…」


詩乃の説得も聞かず打ち続ける楓、しかし、彼女の乱射は有る人物の一言で止まった、


「止めろ、そいつにいくら打っても無駄だ…」


「一真、生きてたのか…」


匡正の一言に銃撃を止める楓、どうやら治まった様だ、そして…


「…多分これ以上の攻撃は無意味な気がするんだ…」


「じゃあどうするんだよ?」


「あの力を使う」


そう言いながら腕に巻いて居た包帯を外す一真、その下には何かの呪文の様な物が彫り込まれて居た、


「一真よ…まさか、あの力を使うのか?」


匡正の言葉に頷く一真、そして、次の瞬間、彼の腕から光が上がった、


「…我中に眠りし鬼の血よ、今こそ力を開放せよ」


一真が謎の文章を読み上げると同時に髪と目の色が綺麗な黒色から青色に変わって行き、最後には完全に青色になって居た、


「…初めて見た、一真の真の力…」


「…綺麗なコバルトブルー…」


匡正が驚きの声を上げ、詩乃が一真の髪を褒める、何とも奇妙な光景である、


「…みんな下がっててくれ、巻き添えを喰う可能性がある」


「ああ…」


一真の一言に納得し、下がる匡正達、そして、刀にオーラを溜め始める一真、それから数秒後、完全にオーラを纏った刀を構えた、そして…


「…さぁ、時空の狭間で懺悔ざんげしな、化け物が…」


一真が刀を振ると同時に空間が歪み始める、そして、やがてその歪みは亀裂に変わり、最終的に空間を切裂いた、


「……………!!」


「入りやがれ!!!!!」


空間を切裂いた部分までスーツの塊を蹴り飛ばす一真、しかし、後一歩のところで踏みとどまってしまった、


「くそっ、後ちょっとなのに…」


「一真伏せて、ボクが次元の狭間にぶち込んでやる!!!!」


一真が伏せると同時に対戦車用ライフルで正確に足を撃ち抜いて行く楓、そして…


「…楓、援護するよ」


詩乃が一斉に持って居た矢を打ち始めた、しかし、やはり火力が足りないのかふらつきはする物の倒れはしない、


「ここは俺の出番だな…」


高く飛躍する匡正、今度は頭の部分に集中的に猛撃を仕掛ける、すると遂に倒れる寸前まで行くがやはり倒れない、


「今だ、匡正、全力で火焔斬を打ち込め、俺も月火連劇を打ち込む、一気に畳み掛けるぞ」


「分かった、で、一つ聞くが…その技に名前は無いのか?」


「そうだな…強いて言うなら…月焔蓮牙斬撃げつえんれんがざんげきとでも呼ぶか…」


「OK、行くぜ一真、月焔蓮牙斬撃!!」


一真と匡正は高く飛躍し、背中の部分に向けて月焔蓮牙斬撃をかました、(ちなみにどんな技かと言うと、一真の月火連劇と匡正の火焔斬を同時に放つ技である、威力は半端では無い)もろに喰ったスーツの塊はついに次元の狭間に倒れた、


「よっしゃ!!

で、この後はどうするんだ、一真よ」


「後は俺が刀からオーラを解除したら終りだ」


そう言いながら刀を鞘に納める一真、それと同時に空間の亀裂が綺麗に消えた、スーツの塊も同様に…


「…凄いな、これが一真の力…空間の支配者…」


「性格には空間の鬼なんだがな…」


話しながらかなり苦しそうな顔をする一真、それを見た詩乃が…


「…一真、大丈夫?」


「…何と…か…な」


そう言い残し気を失う一真、彼の髪の色が青色から白色に変わって行くのを見た全員が青ざめてた、


「一真!!!

しっかりして!!!」


「落ち着け、楓、取り合えず寮の俺達の部屋に運ぶぞ…それと全員を集めるんだ!!」


こうして始まったシャドウナイツとの戦い、しかし、それは困難の幕開けでも有った…


第6話 完



如何でしたか?


ではまた早いうちに更新します

では

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ