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第九話 語られた過去 ~月明かりの元で~

昨日は仕事が忙しかったので投稿できませんでした、


取りあえず投稿します

空から降って来た少女を見て過去の記憶が蘇って来たのである、


「話してくれませんか?

一真さん…」


「ああ…だがその前に…出て来たらどうだ?

佳葵よ…」


「え…?」


美夜が驚いた、男子寮と女子寮は基本的に異性侵入禁止なのである、理由は言うまでも無いだろう…


「どうして私が居るって分かったの?」


「…そうだな、強いて言うなら足音かな?」


「…驚いたわ、良く数日しか会って無い私の足音が覚えられたわね…」


「昔の習慣でな…敵の数や持って居る獲物、そして大体の体重と性別が大方では有るが分かるんだ」


戦場で育った一真にとってその環境下に置いて、今、自分の置かれて居る現状と自分の成し遂げ無ければならない事、そして、そこで敵対する者が何人居るかなどの判断を叩き込まれて居るので有る、


「…一真君は辛い人生を送って来たんだね、幼い頃から戦場に立たされて…」


「そこまででも無いよ…それにまだ何も話して無いしな…」


「でも、私は親が殺されてお師匠様に拾われて剣術を習ったけれど、一真君は生まれた時からいなっかったんでしょ?」


「…頼むから勝手に過去を改竄かいざんしないでくれ…」


飽きれた表情を浮かべる一真、そして少しずつ語り出した、


「…俺は鬼の姫である母と退魔師である父の間に生まれたハーフなんだよ…」


「やはりそうでしたか…一真さんから感じたオーラは人間の者とは少し違って感じたのはやはりそうだったんですね…」


「やっぱりって、美夜さんは聞いて無いの?

一真君に…」


「聞いて居ませんよ?

と言うか、話したくも無い事をむやみに聞き出したくは無いですし…」


基本的に一真の過去を語りたがらない、と言うか絶対に過去を語ろうとしない、それは一真が友人にすら語ろうとしないので皆も聞かない、


「まぁ、あんまり楽しい過去じゃあ無いし…ただ、昔、一人だけ話した奴が居たんだ、仲が良かった奴だったけど…でもそいつは話しを聞いて最後に一言だ、(この人殺し、人でなし、犯罪者)だとな…」


「…本当に何が有ったの?

一真君、そこまで罵られる理由が分からない…」


「そうですよ…私なんて180歳の化け物ですよ…一真さん」


「二人の過去を知って、俺の過去を話さないのは不公平だしな…」


こうして遠回しになって居た一真の過去が明らかになるので有った、


「あれは今から十五年の冬、丁度クリスマスで雪が降ってたな…」


「ホワイトクリスマスね…懐かしいな、家族でパーティーしたな…」


「あの夜は父さんと母さんと俺の初めての外食の帰りだった…」


「素敵な光景ですね…」


ところどころ会話が入って居るが特に気にしないで話しを進めて居る一真、


「…その時に事件が起った…」


「事件って…まさか…」


「…結構有名な事件だ、夫婦の変死体が都心の真ん中で発見されたんだ…」


「…あの内臓器官が丸ごと無くなって居たと言う…?」


美夜が意外そうな顔をしている、それを見た一真が…


「良く知ってるな、てか、組織に掴まってたんじゃ無いのか?」


「…あれは掴まる一年前だったんですよ」


「そうだったのか…」


「話が横道に反れて居るんだけど…で?

何でその夫婦の変死体に一真君が関係して居るの?」


「ずれて居たか…でだ…両親の内臓を消したのは俺だ…暴走した俺の力を封印するために立ちふさがった二人を俺が殺したんだ」


一真の一言に驚いて居る二人、それを見た一真が…


「…瀕死の二人は最後の力をふり絞って俺の力を封印した…」


「…………」


「だから俺はこの腕に刻まれた方術陣は親の魂の宿った物だと信じて居る…」


「………うそ」


「…ふっ、軽蔑したければ軽蔑してくれて構わん、人殺しと罵りたければ罵ってくれ、人でなしと言いたければ言ってくれて構わん」


悲しげに笑う一真を見て居た二人には笑える状態では無かった、


「……んで」


「うん?」


「何で…何でそんなに悲しい過去を笑いながら語れるの?

おかしいよ、一真君は一切悲しくないの!?

そんなのおかしいよ!!」


「なら……泣いて喚いたら俺の罪は消えるのかよ…悲しんで父さんと母さんが生き返るのかよ!!!」


「……それは」


いつにも無く怒って居る一真の憤りにさすがの二人も驚きと気負いで言い返せないで居た、


「……謝って二人が生き返るなら謝る、死んで詫びろと言われたら死んでやる……」


「……一真さんの馬鹿!!!!」


美夜のビンタをもろに受ける一真、それを見て居た佳葵がビンタを張ったあとに後ろから押さえ込んだ、


「お…落ち着いて美夜さん」


「離して下さい佳葵さん、こんな事…簡単に死ぬ何て言う一真さんなんか大っ嫌いです!!!」


「貴女の気持ちも分からないでも無いけど…一真君の気持ちも考えて上げて…一番辛いのは一真君だと思うし…」


「…構わないよ、元はと言えば俺がいけないんだからな…それに、親を殺したさいに俺なんて消えてしまえば良いと…生まれるべきでは無かったと考えてしまうんだ…」


「……私には分かるな、その気持ち…私も目の前で両親が殺されて、妹が連れて行かれた時にどうして私一人置いて行ったのか、何故生きて居るのかって考えた。

でも、私達は生きて居る…これって何かしなければならないって事じゃあ無いのかな?」


「……一真さん、私と約束しましたよね?

決して私を置いて行かないって…信じてますから、だから簡単に死ぬなんて言わないで下さいね…」


美夜はそう言って後ろを向いてしまった、多分彼女は泣いて居るで有ろう…そう感じとった一真が…


「……すまなかったな、美夜…」


「……どこに行くんですか?

一真さん…」


「……少し散歩がてら飲み物を飲んでく来る…本当にすまなかったな、二人とも…」


「あ…一真君」


佳葵が呼び止めようとしたがすでに外に出て居た、


「なにが言いたかったんですか?」


「いえ…ただ、すでに消灯時間は過ぎて居るから外出は許さないって言おうと思っただけ…」


「……仕事熱心なんですね、佳葵さんは…」


「あら…そんな事は無いわよ、ただ規則は守らないとね…」


(そう言うのを仕事熱心って言うんですよ、佳葵さん)


佳葵が意外にも天然で抜けて居るとところが有る事を思い知った美夜で有った。



一方その頃一真は、寮から少し離れた自販機のコーナーに居た、


「ふぅ…何か今日一日で半年分の力を使った気分だよ…」


紙コップに入って居るコーヒーを一口飲んでそんな事を愚痴って居た、そして、有る事に気付いた、


「……?

彼女は確か…俺達が助けたはずの…」


そう、そこには一真達が助けた少女がそこに居た、


「……何を探して居るんだ?」


不審に思った一真は彼女に近付き話し掛けて見た、


「ちょっとそこの君、もう外出時間はとっくに過ぎてるぞ」


「…貴方こそ、人の事言えないんじゃあ無いの?」


「確かにな、でもな…ここの生徒ですらない君がここいらをうろついてたら捕まるよ?」


「なら…貴方を消し去るまで…」


「へ?」


一真がいきなり間抜けな声を出した次の瞬間には少女は一真の目の前に来て居た、そして懐から有る物を取り出した、


「……記憶が飛ぶのが先か死ぬのが先か、前者を祈る事だね…」


そう、少女が懐から取り出したのはトンファーである、


「…それは確実にどちらか選ばないと行けないのか?」


「選ばなくても良いのよ、なる様にしかならないからな…ね!!!」


話終える前に攻撃を仕掛けて来る少女、狙うわ一真の顎、普通の人なら避けきれずにすでに砕けて居てもおかしく無い速さである、しかし、これはあくまで常人の話である、能力の使える一真にとってそれをかわすのは容易である、


「おっと…危ないな、女の子がそんな危険な物を振り回すもんじゃあ無い!!」


「知らないね…もう前者を諦めた方が良いよ!?」


「残念ながらどちらも無いから安心しな!!!!」


全力で攻撃を躱し続ける一真、しかし、途中で腹部に蹴りを思いっきり受ける、


「くぶっ…………」


「ふふん、痛いだろ?

今楽にして上げるよ!!!」


トドメと言わんばかりにトンファーを回しながら一真に迫って来る少女、痛みで動けない一真は避ける事が出来ない…しかし、確実に当たるはずのトンファーは彼をかすりもしたかった、


「……人に向けてそんな物を降るなんてどんな了見だね?」


「……何なの貴女は、そんなに彼を苛めたいのか?」


「いや、むしろ逆だな…今君がしようとしている事はただの殺しだ、それに…彼にはまだ生きてもらわねば困るのでな…」


「なら…まずは君から…消えてもらうよ!!!」


再びトンファーを降る少女、しかし、途中で割っては入って来た高坂も小太刀で応戦する、すると…


「……克心流 双翔打そうしょうだ


(説明しよう、双翔打とは、腹部に掌打しょうていを打ち込み、そこにさらにもう一度、掌打を同じ場所に打ち込む技である。)


双翔打を受けた少女はもろに喰ったため吹き飛んで居た、


「もう立ち上がって大丈夫なのか?

錬条君」


「あんまりよくは無いな、内臓が逝かれるかと思ったよ…」


そう言いながら血を吐き出す一真、意外にもそこまで苦しそうな顔をして居ない、


「頑丈だな、君は…」


「そりゃどうも…しかし、彼女はもう復活してるぞ」


「確かに…しかも、君以上に頑丈な様だな…」


「しかも先程以上に嬉々として走って来てるし…」


半ば呆れ気味にそんな事を言う一真、しかし、彼女は止まる訳でも無いのだ、


「ちっ…仕方無い、能力を解放して…」


「待ちたまえ…私が行こう…」


高坂はそう言いながら力を開放した、それと同時に真夜中の様に黒かった髪が一瞬にして紅蓮に燃える様な朱色に変わった、


「……高坂も何かの能力者だったのか?」


「私は…天照大神の血を引き継ぐ者だからな…まぁ、操れるのは温度と炎ぐらいしか無いがな…」


「俺や美夜以外にも居たのか…」


「まぁ、能力者は十数人居るらしいがな…それと西江君も能力者らしいな…」


「やはりか…まぁ、薄々気付いては居たが…」


一真と高坂が会話して居る間に至近距離まで詰め寄られて居る二人、しかし…


「ふっ、私を見縊みかぎら無いで貰いたい物だな…」


左手に炎を溜める高坂、そして、その手を少女の腹部で爆発させる、


「……燃え尽きたまえ」


「……かなりエゲツないな…」


一真の反応はいたって普通のはずなのに今は普通に見えないのところが凄い…


「ふぅ…死ぬかと思った…」


「……何?

確かに焼き付くしたはずなのに…」


「化け物かよ…うん?

破れた服の隙間から…」


「どうした?

素肌が綺麗でなおかつへそが見えてラッキーと思いながらもやはり美夜君か咲夜君の方が良く、見たら萌え~と叫びながら校内を走り回りたそうな顔は…」


「そんな事するか!!!

てか、むしろそんな事したら自殺するわ!!!」


「ふむ…やってくれたら楽しいものの…で?

実際には何が見えたのだね?」


冗談が通じない場面のはずなのに冗談を言ってノリツッコミに発展する辺りが凄い…


「……鱗だよ」


「鱗と言うとあの鱗かね?

錬条君」


「その通りだ、つまり彼女は…」


最後まで一真が話終える前に彼女は突撃して来て一真の顔面に目掛けてトンファーを降り下ろした、直撃を防ぐために右に避け用とした…しかし、完全に避け切れずに左目に直撃した、


「っ!!!!」


「大丈夫か!!?

錬条君」


「……チッ…(完全に失明してるな…)」


左手で左目を隠す感じの体制を取る一真、その隙間から大量の血が出て居る…


「まさか……失明したのか、錬条君」


「……ああ、完全にな」


「そうか……分かった、彼女は私が何とかしよう…」


「ふふん?

彼はそこまで強くなかったけど、果して貴女は我を満足させられるかな?」


「舐められた物だな、ならば…見せてやろう…」


彼女の燃える様な瞳がさらに赤く染まって行く、そして…


「…我が剣よ、全てを焼尽くす刃とかせ…私は君を許さない、この炎剣 フランベルジュで焼尽くしてやろう…」


「ふふん?

遂に本気を出す訳かい?

なら、我も本気で行くよ」


高坂の持って居た小太刀は呪文によって炎の剣と化し、少女の武器もトンファーから黒色の槍に変わって居た、どうやら少女も能力を発動させた様だ、


「君の能力を知って居て我の能力を知らないのは不公平だな…教えておこう、一言で言うとベクトルだな…」


「ベクトル…つまり、力に関する能力か…厄介だな…しかし、錬条君の無念は晴らさしてもらうぞ」


「……いや、俺は生きて居るから…」


「おや、休んで無くて良いのか?」


「まぁ…な、方術で止血はした、でも…完全に失明したからタイムリバースですら治らないだろうな…」


一真が言って居る事が理解出来ない高坂、普通に聞いたら治りそうな感じなんだが、それは出来ないので有る、


「……能力による物では無い、一種の呪いだな…そうだろ?

君」


「ご名卒、でも…我にも解けないぞ、それは龍の呪い…聖帝ジークフリードでないと解くのは無理だからな…」


「やはり昼間戦った龍だったか…」


「とりあえず休んでいたまえ、後は私がやる」


「素直にそうさせて貰う、今は武器も無いしな…」


「うむ、素直に言う事を聞く人は好きだよ」


「そりゃどうも」


近くの壁にもたれ掛かりずり落ちる感じに倒れる、


(情けないな…こんな事でへばるなんて、やはり戦場を離れてから時間が立って居るからな…鍛練は欠かさずにしていたんだが…実戦をあまりしないからか…)


そんな事を考えて居ると正面から二人の人影が現れた、


(…チィ、新手か?

新手ならやるしか…)


「うん?

おい一真、大丈夫なのか?」


「一真…凄い血の量…どこか怪我してるの?」


「ああ…ちょっとな」


そう言いながら目を押さえて居た左手を取る一真、その目を見た二人の表情が一転した、


「…一真よ、その目を誰が潰したんだ?

そいつはまだ居るのか?

居るんなら…殺す」


「落ち着け隆司、アイツを殺したところで何が変わる訳でも…って、居ないし…」


「一真…ごめん、私も今回ばかりは我慢は出来ない…」


詩乃と隆司は一真の怪我を見た瞬間に少女を敵と認識してしまったのである、


(くそ…厄介な事になったぞ、あの二人の乱入は正直予想外だ、正直言ってあの二人を止めないと…学校が崩壊する!!

仕方ないな…)


一真は能力を発動させ、空間の歪みに手を入れる、そして…


「…有った」


彼が取り出したのは何と…


「これさえあれば痒いところに手が届く!!!」


天高々と掲げたのは孫の手である、


「って、阿呆な事してる場合じゃあねぇよ!!!」


そして、孫の手を投げ捨てて、再度空間を歪めて、今度こそ部屋に置いて有った刀を取り出した、


「よし…後は高坂と連携してあの子を何とかするだけだな…」


こうして歩き出す一真、どうも高坂達は戦闘しながら移動したらしい、


(チィ…あいつらどんな戦いしたらこんなに移動出来るんだよ)


彼女達は最初は自販機の前、次に校舎前、最後にグラウンドまで移動して居たのである、


「おい、隆司と詩乃、お前らは下がってろ!!!」


「一真か…止めてくれるな、こいつだけは…くぼぁ!!!!」


「……さっさと下がりやがれこの阿呆が…」


隆司を蹴り飛ばした一真、半ギレ状態なので完全になりふりなんて考えて居ない様だ、


「……詩乃も大人しく下がっててくれ…」


「…分かった」


素直に従った詩乃には何もしなかった、と言うより彼は基本的には女性に対して暴力を振るったりはしないのである、


「…さて、高坂よ、さっさと彼女を静かにさせるぞ」


「了解した、して策は有るのかね?」


「一応な」


「ほぅ…では聞こうか?

錬条君」


「簡単な事だ…彼女の獲物を弾き飛ばしてそのまま気絶させる、そしてそのまま彼女を捕縛する」


「ふっ、軽く言ってくれるな、錬条君」


不敵な笑みを浮かべる高坂、それを見た一真もまた不敵な笑みを浮かべた、


「当たり前だ、これ以上の策は無いからな…」


「はっはっはっ、確かにな、で?

どちらが縛り上げるのだね?」


「何で高坂はそう言う言い方しか出来ないんだ?」


「はっはっはっ、気にしたら負けだ」


「そうなのか?

なぁ、本当に気にしたら負けなのか?」


「まぁ、余り気にしない事だな」


一真の疑問に対して軽く受け流す高坂、聞いて居た一真は少しショックを受けて居る…しかも、何もしていないと言わんばかりの顔付きで有った、


「…まぁ、今回は別段、分の悪い賭けでは無いしな…」


「そうだな…よし、行くとしますか」


「ああ…」


こうして一真と高坂は走り出したので有る、果して彼等の運命は如何に…to be continue


第9話 完


如何でしたか?


ではまた

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