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暗闇のトンネルから異世界へ  作者: 犬のしっぽ
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母一人

竜貴の母美貴は、行方不明になった我が子の無事を信じ。


霞立つ朝靄の中、家から少し離れた密教系の社殿の前に立っていた。

美貴は祈りの後、匂いが途中で途切れたと言うトンネルに通って居る。


竜貴は父親を知らない、写真さえ一枚も見たことが無い。

聞かれれば、竜が二十歳に成ったら教えるとの一点張りだったが。

美貴は今、それを悔いていた、写真など有りようもないのだから。

美貴は昨日まで、トンネルの中を這うようにして地面ばかりを見ていたが。

今日はゴツゴツした岩肌を丹念に見ていた、ライトの角度を色々と変えて観察して行く。



竜貴はこの夏、寺社祭に参加するため二年前から髪を伸ばしていた。



この地方一帯には、千数百年前を発する竜鬼伝説が有る。何処から来たのか分からないが、悪鬼の如く暴れる竜が現れ。田畑を荒らし、建物を破壊し人を攫い一帯の住民を苦しめた。知らせを聞いて都から退治に来た武士団をも蹂躙し、もはやこれまでと住民の総てがこの地を離れようとした時に。


天神から、悪竜を倒すよう使わされたと言う少年が現れて。

太陽と月を、十をも見る事が出ない時の戦いが過ぎた頃、ようやく決着がつき。

今有る密教の、主神殿の傍に有る小さいな池に二体の竜の死した身体があったと言う。

見る間にその身体は少年に変わり、共に手をつなぎ浮かんでいたとも。


一体は黒い肌に白い髪の少年で、もう一体は白い肌に黒髪の少年だったとか。

顔は双子の様に瓜二つ、神に祝福された様な美少年たちだったと伝わって居る。


又時が十日過ぎた頃、このまま共に土葬にすべきか火葬にすべきかと。

住民の頭共と、社殿神官達が苦慮をしていると。

社殿の巫に神が降り。


神はこの二人は兄弟であり。


神世に攻め込んで来た、悪鬼悪魔魑魅魍魎共と神竜の子として戦って居たが。

世渡りの悪鬼が白き髪の竜を、この世界に飛ばしたと言う。

その時白き髪の竜の子は、神竜の力をゆがめられたのだとも伝えた。

ゆがめられた魂を持ってしまった神竜の子は、この世のこの地で荒れ狂ったのだ。



故に、我は止むなく片割れの黒き髪の神竜の子を戦い鎮めよと送ったのだが。

なれど、使わした黒き髪の神竜の子は、兄弟を倒し独り生きるを拒んだのだ。


神は、二つの身体を、我は共にこの池深くに沈めると伝えて来た。



この後に、この神殿で二つの魂を慰撫するならば。

白き髪の子は、お前達を悪鬼悪霊と疫病から守るだろう。

黒き髪の子は、豊作と豊漁、富と幸福をもたらすだろう。

そう神は伝えて去ったと言う。


祭礼はそんな伝説から、それにちなんだ鎮撫祭として続いているのだ。


竜貴は、その戦いの模様をあらわす舞を奉納する一人として四年前から決まって居た。





美貴がライトで岩壁を照らしていると、バイクが一台ライトを点けて対向してきた。

その時、美貴は長い毛が一本、岩肌から出て光っているのを見つけた。

バイクに乗って居る人物に止まってと声を掛け、毛が間違いなく岩肌から生えたようになっているのを確認した。

美貴は、見つけた、そう言ってバイクに乗って居た人物を引きずって来て毛を見せ。

美貴はそのまま号泣し、バイクに乗って居た人物は警察に知らせると走り去った。




これで解決する訳ではないと、泣きながら美貴は悟って又涙を流すのだった。






神隠し。

竜貴、竜ちゃん。貴方は異世界に旅立ったのねと、その目の涙には血の色が混じってる。



美貴は五歳の頃自ら神隠しに合って、又成人してからも、二度目にはお腹に竜貴が居た。


運命なのね、と美貴は呻き泣き崩れる。


批評可にしていたら、あー・・批難轟々雨あられってな所だなきっと。



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