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暗闇のトンネルから異世界へ  作者: 犬のしっぽ
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竜貴、泥棒三人組を子分にする。

屋外からかすかに伝わる、不自然な空気の動きと害意に竜貴は目覚めた。


外では三人組が「金を持っている奴は、二階の階段正面の部屋だ」入るのは玄関からだ。「玄関からってなんでだよ」仲間の一人が聞いている「こう言う建物の玄関は障害物が少なくて、意外と入りやすいからさ」「経験者は語るってか」ゴスッ。

一人が頭を抱えて悶えている。

竜貴は素早く武装し、音も立てず部屋を出て暗闇の二階の廊下に立つ。真昼の様にとまで言えないが、意外と屋内が良く見える自身に驚いた。それに「俺って、落ち着いてるなぁ」と、そう思ったり。侵入してこようとしている人数は三人、一人一人の動きを探るが夜盗にしては動きが悪い。




泥棒の成り立てかな、そんな事を思いながら剣に触って居た手を離し「抜くまでも無いな」そう呟く。武装を解いて床に置き「どこから入るつもりなのかな~」と、動きを探って居ると。以外にも正面から「う~ん、障害物の少ない正面からそろって入って来る」利口なのか、素人だからの正攻法なのかとも。そう言う風に考えられる自分になって居る事自体、竜貴は気付いていない。




「これで今晩は、お邪魔します」なんて言って入って来たら爆笑だねぇ、などと思って居ると。器用に音も立てずに扉を開けて入って来る、その中の一人が「今晩は、泥棒ですが入ります」と、呟くのがかすかに聞こえた。竜貴は笑いのツボを刺激され、必死に口を押さえて声が漏れるのを抑えるが、肩が振るえるのは仕方がないだろう。




お茶目な奴らだなぁ~、等と呑気に構えている竜貴。階段を上る音を立てない様に、階段の端を一人一人上がって来る三人組。竜貴は気がついた、この三人魔法魔術は使えないみたいだなと。階段を上がりきった一人の襟首をつかみ、竜貴は階段を飛び降りて上ろうとしていた奴に叩きつけ。残った一人の頭上には勢いに任せかかと落としを喰らわせた。振り返ってみると、どうやら二人は打ちどころが悪かったらしく気絶している。




物音に目覚めたらしく、ナミバさんにジュケットがあたふたと駆けつけて来た。ナミバさんは「竜貴、泥棒でも入って来たのかしら」と、床に目をやると、三人組が倒れていてピクリともしない。「運の悪い泥棒だぜ」と、ジュケットは言いながら三人組の状態を確かめる。どういう風に竜貴にやられたかは分からないが、気絶しただけだから縛って朝まで置けば目は覚めるさ。




ナミバさんは「なんだ、丈夫な三人組だねぇ、だったらわたしはもう一度寝るわ」。俺もこいつらを縛ったら寝るよ、竜貴ももう一度寝たらいい、ここは俺がやっておくからさ。竜貴はそう言うジュケットに礼を言って部屋に帰り、ストンと又寝てしまった。



どうやら竜貴は性格が少し変わった様だな。







竜貴は三人組の喚き声で目が覚めた、ベッドの上で大きくのびをしてから起き上がり。ベッドを下りて洗面用具を持ち部屋を出て、階段下を見ると獣人三人が縛られて転がっている。あっ、そうか、ただぶん投げて蹴りをいれて、後始末は任せて又寝たんだっけ。「頭がいてぇ~、体中がいてぇ~と喚く三人組は元気だ」竜貴が階段を下りてゆくと三人組は。声を揃えて「俺達ゃ~女の子にやられちまったのかぁ~」と又喚く。




竜貴は女の子との声にイラッ、傍にあったテーブルを片手で掴んで三人組を軽くボコってやった。そこに奥から朝食を持ってきたナミバ親子、落ちそうなほど目を見開いている。目の玉を大きくまん丸にして見ていた訳は、竜貴が片手で持っているテーブルは親子二人で持たないと。動かせない位の重量だからだ「どこにそんな力の元があるんだよ」と、ジュケットが言うと。ナミバが「あれだよ、話に聞いた事が有る身体強化魔法じゃないか」成る程と、納得顔のジュケット。





洗面所で顔を洗い出て来た竜貴が食事の席に着くと、ナミバは心中「男の子と言っているけど信じがたいわ、母親似なのかねぇ」等と思って居る。ジュケットは「あっちゃ~・・・、このままギルドに連れて行ったらやっぱ大騒ぎになるな」等とも。食事の臭いで目が覚めた三人組、腹減った、痛い、腹減ったの大合唱。竜貴は五月蠅いのでナミバさんに、あの三人を子分にするからご飯食べさせて欲しいと言うと。




五人はその場で固まってしまった。

ナミバは竜貴に「どうしてこの三人を子分にするって言うの」。竜貴が言う「ん~、馬鹿っぽくて頼りなく、ひ弱で俺なんかに玩具にされる。ただ、いままで生きていたのが不思議な位悪運だけが強い」そんなだからかな。まぁ「悪運の強さを買った」って言う所かな。ジュケットは「この三人、悪運強いとどうして言える」そう聞くと。だってよく見ればわかるでしょ、ギルドの人達やジュケットにもあちこち傷が有る。でもこの三人、見た目どこにも傷が見当たらないもの。それだけ悪運も強く無ければこの世界、生きては行けそうに見えないしね。




三人組の一人が「この世界ってどういう意味だ、おかしな言い方をするじゃねぇか」そう言うと。竜貴は、ん~・・分からない?って言うか知らないよ。五人はがっくり肩を落とす、ジュケットは「ああそうだったな、リューキは記憶がまばらだったんだっけ」そう呟いた。三人組のもう一人が「記憶がまばらって」ジュケットは、俺が川原に魔石拾いに行った時この子にあったんだよ。でもよ、魔石どころか魔法も知らなかったんだ、戦い方は身体が覚えて居たようだったがな。言っておくけど見た目で判断するなよ、魔獣になった草原オオカミを一人で四頭も倒したんだからな。





そんなの俺達ゃ身をもって知ってるよ、何も出来ずに一撃でやられたんだぞ。「はいはい妙な事を威張らない」等といいながら立ちあがって三人組に近づいた竜貴は、三人を縛って居るロープを握り引きちぎってしまった。「あれま、出来るかなとためしたら出来ちゃったよ」と、ジュケットの方を見て笑ったが。ジュケットは三人組に「リューキには悪い事は言わない逆らうなよ、逃げても無駄だワイバーン見たいに撃ち殺されるぞ」。ワイバーンて、昨日市場に街から飛んできた業者が、俺が俺がと買いいれていた奴かよ。「ああ、多分あの日のワイバーンは一頭だけだったらしいからな」。





それを聞いた三人組は「親分、お頭、親方」等と喚き始めて、絶対服従しますから子分にしてくだせぇと大騒ぎ。ナミバが持ってきた三人分の朝食を見て、竜貴は「まず食べれば」と、三人に言い静かにさせると。一旦奥に入っていったナミバを追い、「ナミバさん、突然で御免なさいと謝り。これは三人組を含めた下宿代です」もちろん食事代込みですがと昌貨を一本だして渡した。ナミバはそれを遠慮せずに受け取り「一年は大丈夫だからね、そう言って笑い」頼りないのに子分にした訳は他にもあるでしょうと言うが、竜貴は言葉を濁して退散した。





竜貴は、あの三人組を子分等とは言ったが、なにか遠い記憶の奥底にある懐かしさを覚えていた。

それがなんなのかは今の竜貴には分からない事、チームを率いる、その責任の重さをも。

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