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3話
講堂に静寂が落ちる。
高い天井から差し込む光の中、
一人の青年が壇上の中央に立つ。
金髪。蒼い瞳。
隙のない、完璧な所作。
「ヴァルディア王国王太子、アルベルト殿下よりご挨拶をいただきます。」
幽閉から解放された日。
開かれた扉、差し伸べられた手。
そして――
『もう、大丈夫ですよ。』
あの優しい声が、忘れられない。
(アルベルト殿下。)
心臓が、わずかに跳ねた。
壇上で語られる言葉は穏やかで、希望と未来について話している。
けれど。
ほんの一瞬。
白い手袋の指が、胸元を押さえた。
その動きはあまりに小さい。
だが、なぜか目が離せなかった。
(今のは……?)
この人に、救われた。
この人に、恋をした。
春の陽気の中、
胸の奥だけが、湖の水のように冷たく揺れた。




