西国(ウエスト)王宮-①
ウエストに限らず各国には結界があるだめ飛行魔法は使えない。だから俺達は正面突破で突入を開始した。
「シオンさん、これって王をぶっ殺せばいいんですか?」俺は走りながら隣のシオンさんに聞いた。
「殺さなくても脅して、負けを認めさせればいいんだよ。」
「なるほど、でも殺すほうが簡単な気が…。」
「二人とも物騒な話をしないでくださいっ!」少し後ろを走っているリンが言った。
「リン様は気にしないで良いですよ。それより結界の解析を進めてください。」
「そう言ったって、私がやるよりアズマ様がやった方が早いんじゃないんですか?」
「いやいや、魔法を学んできた時間が俺とリンでは断然リンの方が多い。いくら俺が才能あったってさ、長く精通している人には敵わないんだよ。」俺は持論を展開する。
「アズマの言う通りだと思いますよ。」シオンさんも俺の意見に賛成した。
「そこまで言うなら…。」
「おい!貴様ら!」走っていると後ろから声をかけられた。
「アズマ…!」シオンさんは俺に合図を送る。
「もう追っ手が…それに、相当な数いますね…。」リンが怪訝な顔をする。
「市民の皆さんは急いで避難所に逃げてください!!」追手の兵が周りに指示を出す。
「雑魚兵はこんなにいるのに、強い奴は少ないんだよなー、ここ。アズマ、リン様先に行ってください。」シオンさんが剣を構える。
「自分で雑魚兵って言ってるんですから余裕なんですよね!任しました!」俺は微笑し、シオンさんに雑魚兵の対処を頼んだ。
「王城遠いな…。」俺は呟いた。
「あと少しですよ。それに、そんなこと言ってたら王城に入ってからも大変ですよ…。」リンは苦笑した。
そういや話によれば、城に入ってからも長いとか言ってたな…。
そんな事を思っていると、王城の入口が見えてきた。
「見張りどうします?」リンが聞く。
「俺がやるよ。」俺は剣を鞘から出さずに持つ。
剣を両手で持ち二つに分けるような動きをする。すると、剣が二つになった。バイバイ・バイの絶加、倍。自身の身体能力、物質など、あらゆる物を倍にする。複製した物は元の物が新品として複製される。消したり、出したりするのも自由。
「貴様らっ…!」門番をしている二人の兵を剣で叩き気絶させる。
「アズマ様!凄いです!」リンは手を出す。
「サンキュー!」俺は片方の剣を消し、リンとハイタッチをした。その後、リンは立ち止まる。
「アズマ様!解析終了しましたっ!結界を破ります!」リンが言った瞬間、空に亀裂が入り結界が破れた。
「ナイス!流石リン!」俺はリンと再びハイタッチをした。
「スターリン様、早くしてくれよ〜。こんなに人が乗ってたらドーラが疲れちゃうじゃん…。」
「イラフ君、そんな事を言ってはいけません。君は結界の解析ができないでしょう?それに三人しか乗っていませんよ。」私はイラフ君をなだめる。
「いや、団長が……。」
「イラフよ、私がどうかしたのかな……?」団長は笑顔でイラフ君の肩を掴む。怒ってるやつだ…。
「いや!団長待って!まだ何も言ってない……!」怒る団長にイラフ君は慌てて言い訳をする。
「そうですよ、団長!」面倒くなりそうなので私も団長をなだめるのに協力する。
「"まだ"だろ?」これ、完全に終わったな…。さようなら…イラフ君……。
「ん?あー!!団長見てみて!結界が破れてるよ!」イラフ君がウエストの方を指をさす。
「そうだな……。今回は見逃してやる…。」イラフ君助かってよかったね…。
「よしっ!ドーラ、頑張ろう!」イラフ君は全力でさっきの話をなかったことにしようとしていた。
「…………。」リンが結界を破ってすぐ"そいつ"は姿を現した。
「な、何で…アズマ様が倒したはずじゃ…。」リンは明らかに混乱していた。
「あぁ、確かに殺したはず……。」
混乱するのも無理はない。なんせ俺も頭が追いついていない…。
今、目の前にいたのは……
西の勇者プリムラ・ヘスペロスだった。




