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第四十五話「奪われし宝玉、結ばれし誓い」

「まさか、宝玉が全て奪われるとは......」


 パルケサス王がため息をもらす。


「すみません...... 我が一族から裏切り者がでるとは......」


 ケットシーの長、ジェルクが頭をさげる。


「いや、かなりの種族から裏切りものがでている。 我々の中からも...... もはやケットシーだけではない」


「我らの中にも、もはや裏切りものがでない種族はいないでしょう」


「そうですな。 宝玉を奪われたのも全ての種族の責任...... 気になさいますな」


「そうだ。 今はそんなことを悔いている暇はない! 全てを奪われたということは魔王の復活が始まるということだ!」 


 オークの長、イグラが机を強く叩くと、場が静寂に包まれる。


「......そうですね。 しかしまだ魔王が復活しているわけではない......」


 発言を許されていた私がそういうと、皆の視線があつまる。


「それに、復活したとしてかつて倒すことに成功している。 諦めるのは早いでしょう」

 

 私は続けていった。


「確かに...... かつての人類にできたことが我らにできない道理もない」


 バンパイアの指導者、セリエリスがそういうと皆が一斉にうなづく。


「よし、さっそくこちらの戦えるものたちを把握して戦術と訓練を試行しよう」


「ええ、それに食料の備蓄も必要ですね。 みなさんから蓄えを集め、対策を講じましょう」


 ピクシーの長、セリムもそう応じた。 


 こうして各代表は話を進めていった。



「なんとかまとまったな」


「ええ、さすがに魔王復活が目の前に迫ると、部族の内部のことなど考えていられません。 おそらく反対するものも少ないでしょう」


 人狼のリオネがこたえる。 リオネ、クルス、ザーク、ミフィリムは王たちの集合の命でこの城にきたという。 これからどうするかみんなで話し合う。


「皮肉にも宝玉を奪われたことで逆に結束ができたということだな」


 ミフィリムが腕を組む。


「良かったです。 少しでもいい話題があって...... それでこれからどうされますか先生?」


 クルスがほっとした顔をしていった。


「そうだな。 魔王を復活させるまで魔力の確保が必要らしい。 エジェルガ説明してくれないか」


「ええ、かつてみた文献のひとつに宝玉の記述があり、魔王の魔力を封じ込めたとあります。 おそらく人類との戦いにより魔力はかなり失われたと推測でき、それか満たされないと魔王の復活はないとおもわれます」


 エジェルガは少し早口になりながらも、きちんと説明をすることができた。


(かなり、人前で話すことができるようになった......)


「ならばまだ猶予はあるということだな」

 

 ザークはそうきいてきた。


「もし宝玉の場所を見つけられれば、魔王の復活を阻止できるか、もしくは遅れさせられるかもしれない......」


「エジェルガどの、その場所にあてはあるのだろうか?」


 ガガンが眉をひそめきいた。


「確実とはいえませんが、魔王とかつての人々が戦った場所、昔タルニード国があった【スレイザー砂漠】になにか痕跡かあるかもしれません。 宝玉にどうやって魔力をためるのかわかりませんが、そのような装置などがあるのかも......」


「......あの砂漠に向かうしかないな」


 私がいうと皆少し沈黙した。


「そうですね。 私は先生についていきます!」


 そうクルスがいうと、ガガンとリオネ、ミフィリムはうなづく。


「そこには必ずバラシエがいるはず、俺は俺のために決着をつけねばならない」


「私もハウザーをとめねば、王家の名誉にかけて!」


「......裏切ったリファータは私の友でもあった。 せめて私がその最後を見届けねば......」


 ミフィリムが悲壮な顔をしていう。


「私は戦闘力はありませんが、今まで蓄積したこの知識を役立てたい!」


 エジェルガが、声をあげた。


「俺もついていこう、ケイどのには多大な恩義がある」


 ザークが剣の柄をにぎる。

 

「私もいく!」


 ティルレがいう。


「......だめだ。 そういいたいが、無理してもついてくるだろう。 それなら言うことを聞いて私のそばにいるんだ」


「不満はあるけど、まあわかったわ!」


「おいらもいくよ...... パラルクはおいらが止める」


 パエルクは真剣な顔をした。


「......しかたないな。 わかった。 この八人で向かおう」


 私たちは王たちの許可をえて、先行隊として砂漠にむかうことにした。



 見渡す限り砂しかみえない。 私たちは数日かけ砂漠へときていた。 時おり激しい風が吹き、視界が砂で途切れる。 私たち八人と連絡のためについてきた部隊とで砂漠を歩く。


「砂漠だがザークとミフィリムは大丈夫か」


「かつて我が国で山を越えたあのときの教訓から、水魔法を訓練し周囲から水分をあつめられるようになった。 これで乾燥も問題はない」


「私は樹海から根を一本のばしてここまで繋いでいる」


「確かにアルラウネの樹海もこの近くだったな......」


「私は暑いのは苦手」


「おいらも...... キライだ」

 

 ティルレとパエルクの二人は私のリュックにはいってへたばっていた。


「しかし、この広い砂漠でその痕跡を見つけ出せるかどうか......」


 リオネがそういうと、ガガンが首をふる。


「......もしこの場所にバラシエがいるならば、必ず痕跡を残しておるはず、やつは俺との戦いを望んでいるからな」


 そのガガンの言葉通り、砂の上にあった大きな岩が両断されたあとがあった。


 皆と顔を見合わせうなづく。


 そこから、黒い柱らしきものがたつ場所がみえた。 


(あれか...... とてもいやな魔力を感じる)


 どす黒い魔力が渦巻いていた。 その空は暗雲がたちこめ、私の不安な心を写しているかのようだった。

 

 

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