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第三十一話「魔王の魂片、十一の鍵」

「誰だ!!」 


 ハウザーたちがカメレオンの声に反応、こちらに向かい武器をかまえる。


「放っていた【エアロカメレオン】がなにかに反応しました!」


 気づかれたので私たちは前にでた。


「あれは! リオネ王女です! ハウザーさま!」


「やはり貴様たちか......」


「風よ! 舞い踊れ!」


 リオネの風が竜巻のようになりモンスターたちを吹き飛ばしていく。


「......ハウザーあなたたちは宝玉でなにをしようとしているの!」


 リオネがそう叫ぶ。


「俺は人狼族がこの世界を統べるために動いているのだ。 お前も王族なら俺たちとこい」


「ふざけないで! そんなことは私たちは望んでいない!」


「......それならば、俺の覇業のための礎となれ。 こいつらと共にな......」


 ハウザーの持っていた水晶が黒く染まり、黒い霧が人狼たちにまとわりつく。


「ハウザーさま! これは!? グアアアァァ!!」


 人狼たちは巨大な狼のようになった。 


「なんてことを!!」


「くくくっ、【ベルフォリア】やはりこんな魔法を仕込んでいたか...... これは尊い犠牲だ。 人狼族がもっとも偉大な種族となるための小さなものだ」


(ベルフォリア...... それが奴らの裏にいるやつか)


「いけ!」


 黒い魔力を纏う巨狼が地面をけりこちらに迫る。


「ケイ、奴らには魔法が効きづらいよ! ゴーレムで溶かして固めるにも数が多い! 一体しかできない!」


「クルス、地面から壁を!」


「はい! 土よ盾となれ!!」


 地面から巨大な壁がでて巨狼を阻む。


(よし、やってみるか)


「光よ! たなびけ!」


 オーロラのようにたなびいた薄い光が部屋に広がっていく。 巨狼のまとう黒い霧に付着すると、それが溶けるように消えていく。


「魔力の霧が!」


「いまだ! みんな魔法を!」


 一斉に魔法を放ち、土煙が部屋全体をおおう、土煙が晴れたときには巨狼たちを地面に倒れていた。



「あわれな......」


 リオネが倒れている巨狼をみていった。


 私たちが巨狼と戦っているうちに、ハウザーはその姿を消していた。


「奥にはいません...... やはり逃げたようですね」 


 確認に向かったクルスがそういった。


「ここの宝玉も取られちゃったみたいね。 ケイ、どうするの?」


 ティルレがため息をついた。


「......種族ごとに宝玉があったのなら、他の亜人種族も持っているかもしれない。 リオネ、話ができそうか亜人種族はいるかな」


「話ですか...... ケットシーならば話ができるかもしれませんが......」


「そうなのか」


「ケットシーは人の世界にすんでるのよ」


 ティルレがいった。


(人間と共存できるなら話をできるか)


「よし、会いに行こう」


 私たちはケットシーにあうために人間の国に向かった。



 デラスクの王都にきていた私たちはケットシーを探すために歩いていた。 ピクシーたちと同盟したためか、ピクシーも町で見かける。


「どうやら、ピクシーたちとうまくやってるみたいだな」


「そうね。 私たちは森のキノコや山菜や薬草なんかを売って、お金を稼いでるの。 けっこう儲かってるみたいだわ」


 そう、ティルレも嬉しそうにいった。


「それで、ケットシーは町にいるということだけど、リオネのように人化するの?」


「いいえ、彼らは人化しません」


「人化しない...... じゃあどうやってここに住んでいるんだ?」


「あれみたいですね」


 リオネがいう、そこには猫が一匹こちらをみていた。


「まさか......」


「ケットシー、私はリオネ。 ザルドラのものです。 長に話を取り次いでいただけませんか」


 そうリオネがいうと、猫は細い路地へとゆっくりはいって行く。


「行きましょう」


 猫について入り組んだ路地を進むと、奥に広場があった。 そこには猫たちが大勢いる。


「なにようかな。 ザルドラの姫よ」


 そう猫の群れから一匹の黒い老猫がでてきた。


「あなたが長ですか?」


「いかにも私は【ジェルク】ケットシーの長だ」


「ジェルクどのは私がザルドラの姫だと知っていたのですか」


「ああ、様々な国や町、どんなところにも私たちはいるからの。 そちらのティルレと人間のケイどのも知っておるよ」


「それならば話は早い。 今、巨大な魔力の宝玉を集めているベルフォリアというものたちがいます。 なにをするのかはわかりませんが、よからぬことを企んでいる様子です。 あなた方は宝玉をお持ちではないのですか?」


 私がそうきくと、耳をピクピクと動かし静かにジェルクはうなづいた。


「......ふむ、ベルフォリアが何者かはわからぬが、なるほど宝玉か。 それはおそらく魔王の魂のかけら【魔王の魂片】《デモンズフラグメント》だな」


「魔王の魂片デモンズフラグメント!?」


「ああ、かつて魔王が倒されたとき、各種族がその魂を分けて手に入れた。 それが魔王の魂片デモンズフラグメントだ......」


「それを集めているということは、魔王をよみがえらせようということですか」


「そんな...... 世界を滅ぼすつもりですか!」


「あり得ないでしょ! そんなことしたら自分だって生きられないのに!」


 リオネとティルレが語気を強める。


「理由はわからぬが...... しかし、それを集めさせてはならない」


「ですね。 それは全部で何個あるのですか?」


「亜人種族それぞれと人間の世界に三つある」


 そうジェルクがいう。


「つまり十一個、もしピクシーが奪われたとするなら、すでに四つ奪われているということか......」


「でも、人間のやつは大丈夫じゃないの?」


 ティルレは楽観的にいった。


「そうともいえぬ......」


「なぜです?」


「人間の世界も不穏な動きがあるのだ。 パルケサス王国がこの国狙っていたことは知っておるな」


「ええ、そのためにピクシーの大森林をおさえようとしていた」


「うむ、かの国ではかなりの数の亜人種族が最近になって入り込んでおる」


「亜人種族が...... この国のようにどこかと手を組んだのですか?」


「バンパイアだ」


(バンパイア...... 吸血鬼の亜人種か。 本にあったな)


「あり得ない! バンパイアは自らの種族こそもっとも優秀だと考える種族主義ですよ!」


「ええそうよ! 他の亜人種族ならともかくバンパイアが人間の手伝いをするなんて......」


 リオネとティルレは二人揃って否定した。


「だが、彼らがパルケサスに大勢いるのをわが眷族がみておる」


「バンパイアが人間に...... 上席にはあり得ないことか。 やはり異変が起こっているな。 それなら調べた方がいいか」


「やめておけ。 パルケサスは軍事国家で市民たちは監視されておる、しかもバンパイアはとても強い。 見つかれば命はない。 かれらは私たちケットシーに任せてもらいたい。 それより、他の亜人種族とつながり宝玉を守ったほうがよい」


 そうジェルクが提案したので、私たちは他の亜人へと連携することにした。

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