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第三話「文化の壁と冬の訪れ」

「よし!」


 町でモンスターの角や骨などを売り荷車を買うと、何日もかけ往復、骨や使わない皮、角や牙などをギルドに持ち込む。


「いつも、こんなに...... 冒険者登録もされてないのに、どうやって?」


 ギルドの受付嬢は驚いている。


「いや、じゃあ登録しておきます」


「はぁ、ではここの書類に署名をお願いします」


(怪しまれると、困るからな。 何日にも分けて近隣の冒険者ギルドにも売った。 人間のほうがゴブリンたちを敵視しているみたいだし、ここは慎重に行動しよう......)


 登録し冒険者となるとモンスターの部位を持ち込み換金して、多くの食料、家畜、苗、種や肥料、大工道具などを手に入れてゴブリンの集落にもどった。


「タ、タクサン!」


「オオ!」


「すごいの。 あんなものがこのようなものに変わるとは......」


 ビケルさんは驚いている。


「ええ、ゴブリン族に必要のないものでも、人間たちが必要なものを売れば、ここに欲しいものが手に入ります。 こうやって生活を豊かにしましょう」


「ふむ、ケイどの。 我らには人間のことがわからぬ。 すまぬが我らに知識を授けてくださらぬか」


 そうビケルさんが頭を下げる。


「い、いえ、私は大したことはできません。 ですが、ゴブリン族には恩もあり、できうることをお手伝いしたいと思っています」


「おお! ありがとうございます!」


 ビケルさんとゴブリンたちは喜んでいるようだ。


(まさか、こんなことで人に教えを伝えることができるとは...... とはいえ、ゴブリン族にも文化がある。 自分の知ってることが正しいことかどうか、慎重に考えながら伝えねば)


「よし! まずは私がこの世界のことを知らねばならないな」


 私は気持ちを新たにこの世界と向き合うことにした。



 ゴブリン族のことはビケルさんからきく。 


(特に人間と変わらず、催事とかはなく、宗教などもない。 まあ自然とともに生きている部族といったところか...... ただ話したことは理解しているし、道具なども器用に使いこなすため、知能は低いとは思えない)


「特に異文化にたいして拒絶反応はない。 豊かになるために取り込んでも問題なさそうだ。 むしろ問題は......」


 私は町にもどり、ビケルさんからいただいたお金をつかい、いくつかの本を手に入れた。


「これだ」


 その本にはモンスターの事がかかれており、その中のページにゴブリンたちのことがかかれている。 その挿し絵は化け物のようでおどろおどろしい。


「容姿、醜悪にて精神は邪悪、闇の眷族で人を食らう悪鬼...... めちゃめちゃだな。 知らないからって偏見でかいてる」


(彼らには信仰する神もない。 臆病だが、正直で真面目、始めて見た他の種族でも、道を教える善意もある。 ここまであしざまにかかれるとは...... 無知の恥というやつだ)

 

「これは人々に理解してもらうのは難しそうだ......」


 私は本を読みあさり、この世界の情報を仕入れた。


「なるほど......」

  

 最低限のこの世界の情報を手に入れた私は考える。


(どうやら、ここはかなり大変な世界らしいな。 戦争、貧困、モンスターの襲撃、そういえば町にも貧しそうな人々がいる......)


 灰色の空の覆う町をながめながら、暗澹あんたんたる気持ちを抱えた。


  

「ケイどの、おかげで畑の土もよく、釣具などで釣果もあります。 保存食も充分あり、このまま冬を越せそうです」 


 ビケルさんは顔をほころばせた。


「しかし、この家ではかなりの寒さになります。 ゴブリン族は寒さにつよいのですか?」


「いえ、人間よりは少し強いかもしれませんが、常に冬は死ぬものがおります...... ここでは満足な家や服もありませんので」


「やはり服や寝具も必要ですね。 文化的には問題ないですか?」


「はい、特に人の文明を拒絶してはいませぬ」


「それなら、手に入れましょう。 それに家の断熱も考えないと、ただ技術が私にはない。 道具を手に入れるしかないですね」


「しかし、ここに置いてあった売れるものは売ってしまいました。 それほど手に入れられるでしょうか?」


「木材は森の木をきって手に入れるとして、釘などは更に必要ですね」


(確かにここに置いてあった売れそうなものはもう売ってしまった。 残りは医薬品や緊急に必要なときに使いたい。 モンスターが狩れるのもまれだからな)


「とりあえず、考えます」


(とはいったものの。 やることが多いから、どれからやるか。 まず冬の用意か。 どうやら、もうすぐ来るらしい)


 この世界には冬と夏、それとその中間の移行期があるだけらしい。


「接ぎ木などで、木材を釘無しでとめる技術はみたことがあるが、あんなに器用にできるかな。 やはり釘を買うのがいいだろう。 となると、必要なのはお金だ」


(ここはやはり仕事だな......)


 私は冒険者ギルドに立ち寄ることにした。

 



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