第二十八話「不死を砕く泥、三国の絆」
水路をすすむとモンスターがわらわらとでてくる。
「くっ! 多い!」
「ああザークどの、だが上ほどではないです」
リオネたちがいうように進めないほどの数ではなかった。
「かなり進んだが......」
「ああ、だがこの先にいる。 前に戦士団がここにきたとき、そこでみたらしい。 ただ不死だったため引きかえしたそうだ」
ザークはそう地図をみながらいう。
「なんか、あそこだけ青く光ってないか」
水路の上を飛んでいたティルレがいうように、目の前の空間が青く光っていた。
そこは大きな部屋になっており、奥になにかが浮かんでいる。
「あれだ! アンデッドジェリーフィッシュ!」
その青い大きなクラゲの体がしぼむと触手を鋭く伸ばしてきた。 かわすと後ろの壁に穴が空いた。
「かなりの威力だ! あの触手は受けずにかわすんだ!」
無数の触手を放ち貫こうと放たれてくる。
「風よきりさけ!!」
リオネが風を放つとクラゲはバラバラになった。 しかしすぐくっついてもとの姿に戻る。
「やはり効きません!」
再び触手を槍のように伸ばしてくる。
(液体の体か。 それを圧縮して触手を伸ばしてくる...... やはり)
「ど、どうするのよ! あんなの!」
ティルレは動揺している。
「ティルレ。 あの門にしたようにクラゲを固めるんだ」
「えっ!? わかったけど」
ティルレは石鳥のゴーレムを出してクラゲに近づけさせる。
「溶けろ!」
クラゲに当たるとゴーレムを溶かした。
ゴーレムにぶつかられて穴が空いたクラゲがもとに戻ろうとする。
「いまだ!」
「固まれ!」
溶けた石のゴーレムが固まる。 するとクラゲがそのまま固まり地面に落ちてくだけた。
「あっ! クラゲが! どういうことだ」
ザークが驚いている。
「ああ、あのクラゲの魔力とティルレの魔力と混ざった。 それでうまく再生できないんだろう」
「それでもとの液体に戻れなくなったの。 あの砂のオオサンショウウオと同じか」
そうティルレが落ちたクラゲをみている。
「なるほど、不死は無敵ではないとはこの事ですか......」
リオネは納得するようにうなづく。
「ああ、だから女王も私たちにこの水路の対処を頼んだ」
「なら女王も最初からそういってくれればいいのに」
ティルレは不満げにほほを膨らませた。
「多分、私と同じで確信はなかったんだ。 ただ逃げ帰ったとき、私たちの誇りを守るために、ああおっしゃったんだろう」
「ありがとうございました」
そう女王は礼をいった。 私たちは水路のモンスターを排して避難経路を確保し、城のものたちを無事、丘の中腹へと逃がした。
「あれは......」
向こうから一団が土煙をあげてこちらに向かってきていた。
「あれは、我が国の騎士団です! ここです!」
リオネが声をあげ呼んだ。 それは人狼族の騎馬隊だった。
その場所の先頭はザルドラ王で、合図を送るとこちらに気づき向かってきた。
「すまぬケイどの、遅れた。 国境にモンスターが層のようにいたのでな」
「進行を阻むために、モンスターを配置したのかもしれません。 ザルドラ王、こちらはエルシェン女王です」
「これは女王、ザルドラのガルギアと申す」
「ええ、ガルギア王、わざわざ兵を派遣していただきありがとうございます」
そう女王は応じひとたび会談がもうけられた。
「......なるほど、あの宝玉を狙って」
今までのいきさつをザルドラ王にはなすと、そう答えた。
「それは人狼族にもあったのですね」
「ああ、確かに先祖代々うけついだものだ。 とはいえいわくなどはわからぬが...... だがさきの騒動でなくなっていた。 まさかハウザーか。 ただ今はこの国からモンスターを排するのがさきだろう」
「......しかし、この数はいかんともしがたく」
女王はそう眉をひそめる。
「ええ、我ら精鋭とはいえこの数では、ですので援軍を要請しておいた」
「援軍」
「あっ! あれは」
そこには空と地上から集団がやってくる。 ひとつはゴブリン族、もうひとつはピクシー族だった。
「ゴブリン、ピクシーに援軍を要請した。 この数ならばモンスターの掃討も可能だ。 しかし、モンスターの出所を潰さねばならん」
「それならばダンジョンの場所をお教えします。 あの場所より生まれでているはず......」
ザルドラ王に女王が応じた。
「すまぬがケイどの頼めるか」
「ええ、私たちがそこを叩きます」
「お願いします。 ザーク頼みますよ」
「はっ!」
私たちはモンスターの出現をとめるため、出所となるダンジョンへと向かうことにした。




