第二十五話「砂の魔物、光の浸食」
洞窟を進むとさらにモンスターが現れる。 ティルレは何か思案しているようでゴーレムが形をなしていない。
「もう!」
苛立ったようにティルレが頭をかいた。
「かまわないよ。 何度でも納得するまで試してみるといい」
「......わかった」
私とリオネがモンスターを倒していく。
「おかしいです...... ケイどの」
「ああ」
「なにが?」
ティルレがきいた。
「......入り口のほうより奥のほうが砂が多い」
「あっ、ほんとだ」
地面が黄色にみえるくらい砂がおおっている。
「あそこ!!」
砂に埋もれた場所から大きなトカゲのようなものがでてきた。
(あれはサンショウウオか!)
サンショウウオは口から砂を吐き出した。
「かわせ!」
砂は壁を大きく切り裂いた。
「なにあれ!? 壁を切った!」
「多分、圧縮した砂だ! 当たると穴が空くぞ!」
「それなら、私が! ゴーレム!」
石鳥のゴーレムがサンショウウオを貫く。
「やった! えっ!」
穴がすぐ塞がり再び砂をはいた。 私も光球をはなつ、サンショウウオに穴が空くがすぐふさがってしまう。
「これは! 体が砂でできているのか!!」
「どうする!? 攻撃が効かないよ!」
「一旦引きましょう!」
リオネにいわれ、洞窟を戻ろうとすると、地面から砂があつまりもう一体のサンショウウオが通路を塞ぐ。
「挟まれた!」
「ケイどの、私とティルレが押さえている間に対策を!」
リオネがさけぶ。
「わかった!」
(とはいえ、砂の体に攻撃は...... 何とか固められれば攻撃が通るのか。 圧力、熱でとかす。 それほどの熱量、できたとしてもこちらにも被害が及ぶ。 水、だがここには水は......)
ティルレはゴーレムで砂を貫いている。
「よし...... やってみるか光よ!」
私は左右に光球を放つ、モンスターがはじけ、またあつまろうとしている。
「溶けろ」
光球は地面に落ちると、砂に染みるように消えていく。
砂はサンショウウオの姿になるが、動きがぎこちない。
「どうしたんですか? 動きが......」
「ああ、私の光魔法を液体のように溶かして砂に染みこませたから、体がうまく動かせないんだろう」
「そんなことができるの......」
「魔法は形だけじゃなく、性質や動きも操作できる。 ティルレ、もう壊せるはずだ」
「あ、うん、ゴーレム!」
石の鳥は二つの砂のモンスターを粉砕する。 すると再び形が戻ることはなかった。
「戻りませんね」
「おそらく魔力が形をなしていたんだろう。 私の魔力と合わさり、うまく再生できなくなったんじゃないかな」
「なるほど、ここにはもうあの黒い袋はないですね」
天井をみてリオネがいった。
(このモンスターを生んだのか。 そもそも、まだ魔力がそこまでたまってなかったのか......)
「ただ魔力のもとになるモンスターを倒したから、ここからモンスターがあらわれることはないんじゃないか。 一応埋めておいたほうがいいけど」
「ですね」
「それならわたしがやるわ」
洞窟をでるとティルレがゴーレムで穴をふさいだ。
「すまぬなケイどの。 わざわざ我が国の問題まで解決していただいて......」
ザルドラ王が礼をいった。 私たちは城へと招かれていた。
「いいえ、ですが王にお願いが......」
「なんだ。 なんでもいってくれ」
「こちらにピクシーがいますが、彼らと外交関係を、もってほしいのです」
「ふむ、確かにゴブリン族が外交をしているとは聞いていたが、我々でよければかまわぬ。 友好国が多いほど戦火も避けられよう」
「そうですか。 それでリザードマンとの関係は」
「......一時、友好的な雰囲気もでてきたのだが、彼らからの連絡がなくなったのだ」
そういった王の表情が曇る。
「それは、リザードマンの国リストアでなにかが起こっているということですか?」
「......わからぬ。 いま、使者を送って確認に行かせてはいる。 ただ帰りが遅い」
「王よ。 使者が帰りました!」
「よし、通せ」
使者がかなりの傷をおい、部屋にはいってきた。
「どうした!?」
「は、はい。 リストアにはいると、突然襲われ、なんとか逃げ帰ってきました」
「外交の使者を襲ったというのか!」
「......襲ってきたのは、モンスターです」
「なっ!? モンスターが!」
「は、はい。 人々はその場にはいなくてモンスターが無数にうろついておりました。 それに襲われたのでございます......」
「王よ、まずは彼の手当てを」
「そうだな。 よく伝えてくれた。 休め」
「はっ......」
「どうやら大変なことになっているようだ。 我らは軍を再編してからかの国へまいる」
「では私たちが先行してみてきましょう」
「頼めるか」
「はい」
私たちは異変がおこっているリザードマンの国、リストアへと向かった。




