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第二十四話「砂の洞窟、自由な魔法」

 自信のあった石鳥のストーンゴーレムを倒したことで、ティルレは言うことを少しは聞くようになった。


「はやく、魔法を教えなさいよ!」


 ティルレはそう騒いでいる。


(まあ、話は聞くようになったからいいか)


「ケイどの......」


 授業中にリオネがやってきた。 その表情からあまりよい話ではなさそうだ。


「クルス、後を頼む」


「はい、わかりました」


 授業の補佐をしていたクルスに頼んだ。



「実は......」


 言い出しづらそうにリオネが切り出した。


「ザルドラの復興時、ダンジョンが見つかりまして...... 我々ではどうにもならず、ケイどのにお力をお貸ししていただきたいのです」


「ダンジョンか...... それは前にはなかったのか」


「ええ、おそらくデススネイルが出現してから現れたものだと推察しております」


「......まあ、授業はクルスに任せて、とりあえず我々だけで、確認しにいくか」


「よろしいのですか!」


「ああ、ただゴブリンの精鋭はピクシーたちのところに協力しているから、二人だけになるけど......」


「私がいくわ!」


 見ると、いつの間にか部屋にティルレがいた。


「ティルレ授業は?」


「私はあんたの授業をうけるの。 魔法を教えてくれるんでしょ!」


「しかし」


(確かにクルスはつれていけない。 ティルレはかなり魔法が使える...... だが精神的にもまだ幼い。 危険すぎる...... しかし、あの魔法は有用だ。 私が守ればいいか)


「わかった。 ついてきてくれ、ただ危険だぞ」


「誰にいってるの」


 自信満々でティルレが胸を張った。



「それでダンジョンは?」


「ええ、ここから東にある砂漠地帯に接している地域です」


 リオネが馬車を操りそういった。


「砂漠のとなりか...... もともと乾燥している地域なのか」


「いえ、元々は緑豊かだったらしいです。 ですが、降雨が少なくなり、砂漠地帯が広がってしまって侵食しているのです」


「雨がふらないのか...... 理由はそれだけ?」


「かつてそこでは魔王との戦いがあったそうです」


「魔王...... か。 本で読んだけどそのときは人間と亜人種族も協力してたんだよね」 


「ええ、より強力な敵があらわれてたので仕方なくというところでしょう」


「敵の敵は味方か。 そもそも魔王はなんなんだ? 人? モンスター」


「わかりません。 歴史上、突然あらわれ、モンスターを操り人や亜人種族を蹂躙していたとだけ聞いています」


(ただ蹂躙するだけ...... 理由があるはずだけど、魔王か。 強いモンスターの別称のようなものかもな)


「砂漠はふえるの?」 


 ティルレが肩におりきいてきた。


「ああ、気候が変化したり、地下水がかれたり、放牧しずぎたり、木々を斬り倒しすぎたりすると土地が劣化して砂漠になる」


「ふーん、でも魔法でなんとかならないの? 水をだすとか、雨をふらせるとか」


「保水力のある土地じゃないと無理だろうな。 それを担うのが豊かな土と木々や草花だから、そういえば木の魔法はみたことがないな」


「おばばさまにいうには植物は生きているからということです。 アルラウネという亜人種族は操ることはできるみたいですが......」


「生きているものはつくれないのか? モンスターは生まれるのに」


「確かに...... 不思議だね」

 

 ティルレも首をかしげている。


(それならモンスターは生物ではない...... そもそも、なんでモンスターは人を襲うんだ)


「あっ! みえてきました。 あそこです」


 リオネがいうほうには洞窟があり、向こう側は陽炎がたち揺らめく砂漠のようだった。



「洞窟にも砂がはいってる」


 飛びながらティルレはいう。


 確かに足元の砂がジャリジャリと鳴った。


「空気も乾燥している...... ここらも砂漠化するのか」


「ええ、向こう側には木々がなくなっていました。 いずれザルドラが砂漠に飲み込まれるかもしれません」


 不安そうにリオネがいう。


「まあ、どちらにせよ、このダンジョンがあるかぎり対策もとれない。 先にモンスターを倒して減らせば、ここもダンジョンではなくなるかもしれないな。 ただまずは確認して報告だ」


「ケイ! モンスターだ! 多分ホワイトリザード!」


 向こうから白いトカゲが無数に来る。


「私が! ゴーレム!」


 ティルレがいうと、地面から生まれた石鳥がトカゲたちを弾き飛ばす。


「すごい!」


 リオネがそういうと、ティルレは満足げだ。


「まぁね」


(確かにティルレのゴーレムはかなりの速度と固さだ。 でも......)


「ティルレ、君のゴーレムはなぜ石の鳥なんだ?」


「えっ? 鳥は早くて石だと固いからよ」


 そう当たり前のようにいう。


「そうだ。 でもそれは普通の鳥や石だろう? 君の使っているのは魔法だ。 もう少し自由な発想で使ってみると新しい発見があるかもしれないよ」


「自由な......」


(この世界の人たちも常識にとらわれているな。 魔法は意思の具現化、それなら使い方も自由にできる...... 私もよく考えてみよう。新たな発見があるかもしれない)


 そう考えながら奥へと進む。



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