第二十三話「教師の資格、魔法の証明」
「本当に大丈夫ですか?」
不安そうにセリムは王宮へと共にきた。 会談が開かれるからだ。
「大丈夫...... いったとおりにしてください」
そうなだめて部屋にはいり、席に着かせる。
そこにはデラスク王が座ってとり対面にセリムはすわる。
「そなたがピクシーの王、セリムどのか」
「はい、私がセリムです。 デラスク王」
「単刀直入にいう、そなたたちは国を持たれるつもりか」
「......ええ、人間たちと対等になるためにはしかたないと考えています」
「しかしピクシーはそれほどの力があるとは思えぬ...... 我らが傘下になられたほうが安全なのではないか」
(きた。 予想通り屈服させようとしてくる。 彼らには偏見がある。 こうなることはわかっていた)
「いいえ、我らは戦いは望みませぬが、戦力なら充分にあります。 ご不審ならお見せいたしましょうか)
「よかろう。 見せていただこう」
セリムは空に飛ぶと、目を閉じた。
王宮の床が盛り上がると、白いゴーレムがその場に現れた。
「これは...... しかし、ただの床でできた人形に過ぎませぬな」
私はリオネに目で合図する。
(光よ! 輝き灼けよ!)
「ゴーレムよ」
ゴーレムが両腕をあげると、その上に私が作った光の球体が現れる。 そしてその回りを風が吹いた。
「おお! 光の魔法か!」
「しかも風まで!!」
皆が驚く、その光はまばゆく輝き、高熱を発し風は熱を帯びて荒れ狂う。 周囲の書類などが吹き飛んだ。
「わかった! その熱と風をおさめてくれ!」
王がいうので魔法を解除した。
「これで私たちの力をご理解くださいましたか?」
「ふぅ、ゴーレムに更に魔法を使われるとは、しかも風と光魔法か。 確かに手を結んだほうがよろしいな。 では我らデラスクはそなたたちピクシーの国を承認して外交を結びたい。 よろしいかセリムどの」
「ええ、もちろん」
こうしてなんとかデラスクとピクシーの国【サリード】は認められ外交を樹立した。
「これで、ピクシーたちも安泰ですね」
ビケルさんがそういった。
「そうなんですが、これからが大変ですね」
「ピクシーたちですな」
「はい、一応、戦力になるといいデラスクに国を認めさせましたが、ピクシーたちはゴーレムをつくれるだけ、他の魔法はそれほど強くはない」
「戦力になるように鍛えねばなりませんね」
リオネがうなづく。
「ええ、ビケルさんに許可をえたように、他のピクシーたちに教えるため、選抜したものたちがこちらに来る予定なんだが......」
「なぁに! ゴブリンのくせに、人間の町みたいなのつくってるじゃん!」
騒がしい声がする。
そこには勝ち気そうなピクシーの少女が何人かのピクシーといた。
「ティルレ、ゴブリンのくせにとは失礼だよ」
私がたしなめる。 ティルレはセリムの妹だった。
「ふん、なんで私が勉強なんてしなきゃいけないのよ」
「君のお兄さんからの依頼だ。 君たちに魔法を教えてほしいとね。 そうすれば他のピクシーたちにも君たちが教えられるだろ」
「私は魔法が得意なの!」
「わがままをいわない。 あなたたちの実力がデラスク王国に知られたら圧力で国を取られてしまうか、パルケサス王国に攻められても助けてもらえないわよ」
そうリオネがたしなめた。
「......だから、アニキにいわれてここにきたんでしょ。 わかってるわよ!」
(わかった。 やたらセリムが妹を教えてくれと嘆願していたのは、厄介払いするためか......)
不満げなティルレをなだめつつ、指導することにした。
町から離れた場所でピクシーとゴブリンたちに勉強をおしえる。 ティルレはあくびをしていた。
「ティルレ、ちゃんときいてる」
「聞いてない。 そもそも私は魔法は得意だっていったでしょ。 勉強なんて必要ないわ。 だいたい、あんたに私たちを教える資格があるの?」
「というと......」
「それだけの力があるかってこと。 ゴーレムを倒したって聞いたけど、所詮人でしよ。 あいつらのゴーレムなんて大したことないんだから、私に勝てるっていうの?」
挑発的にティルレは胸を張った。
(力を見せないと、納得はしないな)
「では試してみるかい?」
「ええ!」
私は力を見せるため、外へとむかった。
「じゃあいくわよ! ゴーレム!」
地面が盛り上がり、土のそれは大きな鳥の姿になった。
(鳥!? 人型じゃないのか......)
ゴブリンやピクシーたちがもりあがっている。
「光よ、灼けろ」
鳥に光球をぶつけると弾かれた。 鳥は旋回して上空へとむかう。
(ただの土とはちがうな......)
鳥に光球を数発ぶつけたがびくともせず、そのまま飛行している。
「そんなへなちょこ魔法なんてきかないわよ!」
(土を固めているのか...... いや石にしてる。 ストーンゴーレムってところか。 なるほど自信があるわけだ)
石鳥は空から急降下してきた。
「光よ」
二発の光球をはなった。
「そんなの何発撃ってもきかないっていってるでしょ! かわさないと死ぬわよ!」
「羽ばたき、貫け!」
二発の光球は小さな燕のような姿へと変じ、高速で石の鳥の両翼を貫いた。
「ええっ!?」
ティルレは声をあげる。
翼を撃ちぬかれた石の鳥は飛べなくなり地面へと落ち、くだけ散った。




