第二十一話「小さな国の声、大きな国へ」
ピクシーの集落にはいると、周囲の木々から羽のはえた小人がこちらをうかがっている。
「人間だ......」
「人狼もいる......」
「さっきゴーレムを倒されたよ......」
「嘘! 攻めてきたの!?」
口々に不安を口にしている。
「君たちに危害を加えるつもりはない。 話がしたい長はいるかな?」
「何でしょうか?」
一人のピクシーの青年が前に飛んできた。 気弱そうだが、なんとか平静をたも保っているようにみえた。
「あなたがピクシーの長か」
「はい、私は【セリム】と申します。 あなた方はここになんのご用でしょうか」
「私はケイ、そしてこちらがリオネ。 人間の二つの国がここを奪おうとしているのは知っているのですか?」
「はい、今までも何度かこの森にはいろうとしてゴーレムで追い返しました」
「しかし、それはいつまでも可能なわけではないですよね」
「......それは、確かにあなた方がはいってきていますから、とはいえ我々はきたものを追いかえす以外は手の打ちようがありません......」
不安そうな顔をしてセリムはいう。
「そこで提案です。 ここを国として認めさせれば彼らも入らないと思います」
「国として...... ですが、彼らは私たちのことなど眼中にありません。 モンスターなどと同一視しているのですから」
「ええ、ですから彼らに人種として認めさせる必要がある。 彼らはここを相手の国に戦略上とられることを恐れている。 ここにあなたたちの国ができれば、彼らは戦いを収めるでしょう」
「......なぜ、人間のあなたが私たちにそんなことを。 どこまで信じていいか......」
いぶかしげにそうセリムはいった。
(いきなり人間にそんなことをいわれても信じられないか。 ただ正直に答えるしかない)
「私は無駄な戦いをとめたいのです。 人間として仲間の者たちが、彼らがあなたたちを攻撃する蛮行も......」
「このケイどのはゴブリン族を助け、我ら人狼族も助けてくださいました」
「ゴブリンに...... 人狼も」
「どうするの?」
「セリム......」
「このままだとボクたちこの森から逃げないといけないよ」
他のピクシーたちがセリムにそういった。
「......では、何か策でもあるのですか? 我らは魔法は使えますが、戦力は乏しい」
「ええ、そのためには彼らと会談を持たないといけない。 私がその場をなんとかもうけましょう。 任せてもらえますか?」
「............」
しばらくセリムが沈黙すると、他のピクシーたちをみてうなづく。
「わかりました。 この森と私たちを尊重してくれるあなたを信じて託します」
「ありがとう」
私たちは彼らに約束をして、森をあとにした。
「ですが、どうされるおつもりですか? 彼らと会談など、簡単にはいきませんよ」
リオネはそう聞いた。
「そうだね。 私の立場を使おうと思う」
「立場ですか?」
「ああ、私は一応冒険者になっているんだ」
「ええ、それはゴブリンたちと仕事をされていますから......」
「まあ、まずは冒険者ギルドに向かおう」
不思議そうな顔をしているリオネを促して私たちは町へと戻った。
「ケイさま。 久しぶりですね!」
そう受付嬢は笑顔で迎えてくれた。 町に戻った私たちは冒険者ギルドにいた。
「そうですね。 それで少し話があるんだけど......」
「なんでしょう?」
「また国からの大きな仕事はあるかな?」
「ええ、受けられるおつもりですか! いつもは頼まれても断るのに」
「ああ、一番重要なものを頼めるかな」
「はい、それなら......」
仕事を受け、依頼主のもとへとむかう。
「これは...... なるほど、冒険者として国の上のものに繋がるのですね」
「ああ、仕事をかなりこなして信頼をえたからね。 国からの依頼もある。 今までは、無駄に目立つのは危険があるので断っていたけど、今は利用しよう......」
私たちの前に王宮がみえてきた。
「ふむ、そなたが有名なケイどのか。 冒険者の中でも特に凄腕だとは聞き及ぶ」
そう話す恰幅のよい老人は【タークサス】大臣だ。 今回の依頼人としてギルドから紹介を受けた。
「はい、タークサスさま」
「しかし、急に仕事を受ける気になったのか。 今までは断りつづけていたであろう?」
「すみません。 私は一人で採取を主として受けていたので、あまり強いモンスターの討伐は受けられなかった。 失敗するわけにはいきませんから...... ですが、今回はこのリオネと知り合い、国の仕事を受けられるようになったのです」
「ふむぅ...... そうか。 確かにソロの冒険者だとは聞いておる」
そう私とリオネをみる。
「それで、この仕事を受けてくれるのだな」
「はい、鉱山に住み着いたモンスターの討伐ですね。 ですが、兵士を向かわせないのはやはり隣国のことですか?」
「うむ、パルケサスが不穏な動きをしているのでな。 あまり兵士は動かせぬ」
「わかりました。 速やかに向かいましょう」
私たちは王宮をあとにした。




