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ナヴィス -Navis-  作者: 夕凪 馨
第0章 プロローグ
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プロローグ

 やあ、こんにちは。毎日楽しく過ごしているかい?

……そうかいそうかい、楽しく過ごしているなら、それは結構なことだ。うん、なによりだよ。


 ……ん? 私はそうじゃない?

 毎日同じことの繰り返しで、つまらないって? 

 いつも「何か楽しいことはないか」って、探してばかりいると。

 ほうほう、「俺は毎日がつらい」と。

 「生きるのは、どうしてこんなにつらいのか」って?


 ――そうだよな。

 人によって、全然違うもんな。

 よく言うじゃないか、「この世界はあなたの認識でいかようにも変わる。だから、ポジティブに考えよう」ってさ。


 でもさ、前向きに生きられる人って、それだけで幸運だよな。そりゃ、楽しいさ。世界が明るく見えるってのは。

 でも、つらいことが多いと、どうしてもネガティブになっちまうんだよな。

 ネガティブだから、世界がつらく見えて……つらいから、もっとネガティブになって……。

 そりゃあ、ループだよな。

 「ポジティブに考えられたら、誰も苦労しない」――まさにそのとおり。

 現代は、「つらいな」って言ってる人の方がずっと多い気がするよ。


 ところでさ、「大人」なんて、本当はどこにもいないって知ってた?


 子供のころは、身の回りにいっぱいいたよな。

 両親、先生、近所の誰か――「大人」って、子供とは違う存在に見えてた。

 ちゃんとした経験を積んでて、立派で、正しいことを知っている人たち。

 もちろん、全員がすごいわけじゃないけど、少なくとも一人や二人は、「この人は尊敬できるな」って思える人がいた。


 でも、自分が大人になってみると……あれ? ってなるんだよ。

 いつまでたっても、「ちゃんとした大人」になれる気がしない。

 周りを見れば、自分よりすごい人は山ほどいる。上を見たらきりがないし、かといって下を見て安心するのも違う気がしてくる。


 結局のところ、人ってのはいつまでも『途中』なんだよな。

 いつまでも「なりたい自分」があって、でもそこにはなかなか届かなくて。絶望するか、それとも「そういうものだ」と受け入れて、心穏やかに歩き続けるか。多分、「この世界はあなたの認識でいかようにも変わる」っていうのは、そういうことなんじゃないかな。


 ……何か、掴めたかい?

 ん?よく分からない?


 そうか、それなら――もう少し、具体的な『例え話』をしようか。

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