目覚めた死にたがり姫のためだけの舞台の始まり
あらすじ
目が覚めたティオラ姫。
ガラナスは、ティオラ姫から、恨み言ではない言葉を聞いて、嬉しくて仕方なかった。
そうして考えたセリフをいい、ティオラ姫を11年前と騙して、今まであったこと夢オチや逆行だと思わせるのだった。
『あらすじではない。』
この曲を聴きながら書きました。
とってもいい曲で話書くの捗りました。
動画タイトル:『一人っきりの演目 one person performances(フリーBGM)』
投稿者:フリーBGM雑多チャンネル
動画url:https://m.youtube.com/watch?v=ic0exC3PRUA
「ガロナス?!」
ワシが声をかけるとティオラは、大きく目を開いた。
そして、ワシを見てくれた。猫目の大きな晴天の瞳がワシをうつした。
今までと違う。
ワシは思わず笑みが溢れる。
「貴様、よくも父様を殺したくせに」
ティオラはワシを睨みつけてくる。
「何をいっているのですか、ティオラ様。あなたの父様、我が主人は生きていますよ」
そういうと、ティオラは飛び起きてくれた。
ワシと自分の体を見て驚いていた。
青い瞳が目から溢れるのではないかと心配するくらいだ。
出会った時はティオラ姫は七歳だった。
本来の人間の七歳と変わらない体に義体を作ってそこに意識をうつした。
肩まで切り揃えられた青い髪。
出会った時より幼くなってふっくらとした顔と体。
幼い子供の義体は、本体のわしが触って仕舞えば、壊れてしまいそうだった。
だから、ワシも義体になった。
出会った時の記憶では、サイボーグ化は足しかしていなかった。
未改造の人間とほとんど変わらない姿。
若い青年の姿だ。
ティオラは今まで寝ていて起き上がりもしなかった。
でも起きてくれた。
起きてワシを見てくれた。
「どういうことだ。なぜわたしはここにいるのじゃ」
「だめです。ティオラ様。安静にして、お医者さんに見てもらいましょう。」
考え用意したセリフを口にした。
ワシはベッドにティオラを寝かしつける。
暖かく柔やく作った彼女の義体が今目の前で動いている。
嬉しくて仕方がない。
「ガロナスいま何年」
ティオラが混乱した顔をしながら、ワシに聞いてきた。
想定内の質問だ。
「機械歴2259年ですよ。わたしがあなたの父様を殺すなんてずいぶん悪い夢見ていたんですね。話し方は旧時代のアニメの影響かな」
今ティオラ様の記憶を11年前に騙す。
出会った時と別の並行世界、夢オチ、逆行なんでもいいから11年前に思い込ませる。
ティオラは、ワシのことを探るようにじっと見てきた。
「そんなに、じっと見られるといくら婚約者でも恥ずかしいです」
ワシは義体の頬を赤らめて、ティオラの婚約者であることを伝えた。
「階段から落ちて気を失ったと聞いて、仕事を放り出してきました。」
考えたセリフをティオラに伝えたが、どうやらワシが婚約者であることが衝撃的すぎて頭に入っていないようだ。
彼女ためだけの舞台の始まりだ。
ワシは、覚悟を決めてティオラに笑いかけた。