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ハーミットなごちそう  作者: 白海レンジロウ
【下ごしらえ2車窓編】
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下ごしらえ41【車窓編】悪魔の大針が決める勝敗

頭部だけになっても巨大な氷雪の怪物は攻撃をやめなかった。

不意に敵からの一撃をくらってしまったグラシャだが。

気を引き締め、バロットと共に敵の完全撃破を目指す。

油断大敵。


雪のドラゴンは頭部だけになりながらもグラシャとバロットに襲いかかってきた。


「うおおっと」


鼻先から伸びた角がグラシャへと命中し、敵からの強襲に体勢が崩れその身が宙より落下していく。


『グラシャ』


念波通信でバロットが呼びかけるも返事がない。


幸い粉砕する雪塊もないため、急ぎ落下するグラシャへとバロットは飛んでいった。


「大丈夫か」


「ああ、なんとか」


地上に激突する直前でバロットはグラシャの身を抱き寄せて仲間の墜落を食い止めた。


念波でなく肉声で互いに無事を確かめ合うと二人はジャベリンの背に乗り再び空へと舞い上がった。


バロットに助けられた直後のグラシャの両翼や鋏や針などの武装は縮小していたが、仲間の呼びかけに応じると元々のサイズまで大きさを取り戻した。


「無茶するな」


「すまねえ、だがもう大丈夫だ」


戦闘体勢に戻ったグラシャはジャベリンの背から降り自らの翼を羽ばたかせた。


「オオオオオアアアアーー」


両腕を失い嘆く氷雪のドラゴンは荒ぶっており、怪物は進軍しイクラジオの町まで踏み出そうとしていた。


『一気にカタをつける。バロット俺の後ろでショックウェーブDを何発も頼む』


『正気か』


『もちろんだ。とにかくやれ』


『分かった。絶対に死ぬなよ』


『当たり前だ』


氷雪の怪物の侵攻を阻止すべく、二人は怪物の眼前まで飛んでいった。


『やれバロット』


『ああ』


グラシャの後方、バロットはジャベリンに指示してショックウェーブDを放たせた。


翼竜の咆哮と羽ばたきがグラシャに当たるも。


それは追い風となり、気流に身を任せ。


悪魔は右手の針を前方に突き出したまま敵へと突っ込んでいった。


「オオオオオオオオオオオオオオオオオオーー」


「しゃあああああああ」


大きく口を開いた氷雪のドラゴンはグラシャを圧殺しようと試みるもそれは叶わなかった。


追い風を受けた悪魔の大針は雪の怪物を内部より崩壊させていく。


加えて常に放たれ続けているショックウェーブDにより。


崩れ去った怪物の残骸も空中で分解されて、地上に降り注ぐ脅威ではなくなり。


イクラジオを彩る雪花として舞い落ちていく。


「さあて、これで決めてやるぜ」


頭部が無くなった故か巨大な雪の怪物の歩は止まった。


グラシャはというと頭部があった箇所の真上で大針を下へと向けていた。


『一応確認いいか。バロット』


『分かっている、ブギーがいる位置だろ』


バロットは仮面の左耳のスイッチを押し、透視魔法にて強力な魔力の源を探った。


ターゲットをすぐにバロットは捉える。


『人間でいう心臓の位置、要するにそのまま真っ直ぐ突っ込め』


『よっしゃ、分かったぜ』


バロットの通信を受けてグラシャは右手の大針を突き立てたまま上空から一気に降下した。


「おらああああ」


急降下による勢いでグラシャは雪の怪物の内部へと突っ込んでいった。


「ショックウェーブE」


仲間が怪物の内部に入ったのを確認すると後処理を考えバロットは予め三重のインパルスを前方に向けて放ち続けた。


「うらあああ」


仮面の下で叫び続けるグラシャは大量の雪をかき分け、怪物の内部を突き進み続け、遂に目的の位置まで到達する。


ガッーー。


大針が硬い物質と衝突する鈍い音が聞こえてきたのが先だった。


耳と鎧越しの衝撃の次に目視でグラシャはターゲットを捕捉した。


「見つけたぜえ」


周囲の雪とは不釣り合いな黒い塊が悪魔の大針の先端とぶつかっている。


黒い塊は雪とは異なり鉄以上の硬さだろう。


怪物の腕を簡単に崩し去った時とは違い、安易に砕けてはいない。


「この野郎ぉがあああ」


自分の魔力を右手の大針へと集中させて得物の硬度を高めていく。


それに伴いグラシャの右手からは紫色の魔力のオーラが渦巻き、螺旋状に溢れ出している。


「いい加減にしろ」


極限まで魔力により硬化させられた悪魔の大針による一突き。


それは初めこそ対象になんの傷もつけてはいなかったが。


徐々に、それでいて確実に、黒い塊へと押し込まれていき、遂には大針は黒い塊へと突き刺さり亀裂を入れた。


「っだっしゃあ」


手応えを感じるとグラシャは一旦大針を塊から抜いて右手を振り上げた。


そして、塊の内部を傷つけぬように。


手甲に相当する大針の腹で黒い塊に決定打を与えた。


「おらあ」


悪魔の鉄槌は亀裂の入った箇所から一気に黒い塊を崩していき、その内部にいたワイヤーが巻き付かれたままのブギーの姿を露わにした。


「おらよ」


グラシャの鎧から生えた悪魔の尻尾の先端にある鎌が黒い魔力の塊の破片を切り裂きつつ。


尾の部分がブギーへと巻き付きワイヤーと合わせて敵を二重に拘束する。


「おらよ」


ターゲットの捕縛を確認すると。


怪物の内部に侵入時よりも勢いを落としながら大針を真下に向け地上へと降下していった。


ボンっーー。


雪の怪物の左足からグラシャはブギーと共に飛び出してきた。


バロットのショックウェーブEに当たらぬよう。


低空飛行で怪物の残骸から距離を置き、残骸から離れた地点で着地した。


『対象を再度捕縛した。戦意はーー』


着地後、グラシャはバロットに念波で通信を入れるとすぐにブギーの様子を確認した。


「……」


ブギーは力なくうなだれており。


体中から黒い魔力が湯気のように放出されていたが、それも十秒ほどで収まり。


同時にドサリとそのまま前のめりに倒れ込んだ。


今回は魔力のオーラも現れず。


グラシャも直接ブギーの表情を見て、完全に相手が気絶しているまで状態を確認した。


『こいつはもう相手しなくていい。それよりデカブツだ』


ブギーが再度暴走する懸念はないが、現在それ以上の脅威がある。


先ほどまでブギーが操っていた巨大な怪物の残骸が崩壊しようとしているのだ。


それは雪崩がイクラジオの町を襲うのと変わらないことを意味する。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

今回はドライゼルについてです。

生粋のお調子者の彼は幼い頃に。

聖騎士団の団長になると周囲に言い続け。

オープンスクールを卒業後に入団試験を受けますが、結果は不合格。

だったら、MAILで団長になるぞと。

ノリと勢いで首都メロディアントのMAIL本部にいきますが。

門前払いされます。

しかし、この程度では彼は諦めませんでした。

聖騎士団と異なり、一度ダメなら入団不可というわけでもないため。

彼は自分を三年間磨き直し再度MAILの門を叩き。

ようやく入団できました。

さて、次の更新は7/11の17:00になります。

お楽しみを。

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