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ハーミットなごちそう  作者: 白海レンジロウ
【下ごしらえ2車窓編】
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下ごしらえ31【車窓編】雪中に潜む思惑

もうすぐラウトロボーンに列車が着こうとする中で。

グラシャはジェシカとのコンタクトで。

今回のターゲットをどう仕留めようか算段を立てていた。

まどろみの中のレオナの隣で。

『間も無くラウトロボーン。ラウトロボーン』


車内のアナウンスを聞き下車の準備をする乗客もいる中でレオナは眠りに落ちていた。


そんな彼女の様子を見てグラシャは安心していた。


もしも騒動が起きてもこれならこの子は喚きはしないだろう、と。


グラシャはそう思ってすぐに周囲を見渡し。


他に乗客もいるしなんの被害も出ないように努めないと、と気を引き締めた。


針葉樹林が雪を纏い。


椿の花が天然の白いドレスを纏って咲き誇っている。


そんな景色に囲まれてトラウトロンボと同じ規模の小さな駅がレールの先にあった。


『ラウトロボーン。ラウトロボーン。お降りの方は忘れ物にご注意を』


針葉樹林の細く濃い緑。


更には椿の赤の彩り。


温泉も湧く保養地、ラウトロボーン。


癒しと休息を求める人々が降車していく。


温泉を目当てにした者もいるので降りる人数もトラウトロンボよりも多い。


五分ほど列車は停まり。


降りていく者、乗り込む者の両者を。


しっかり見定めると。


車掌は発車の合図を送った。


『出発します。次の目的地はイクラジオ。イクラジオ』


アナウンスの後、ほどなくして列車は出発した。


駅を後にし。


温泉の湯気が立ち上るラウトロボーンの地が遠ざかっていく。


そうして、前の停車駅が見えなくなり。


針葉樹林や椿のコントラストもなくってしまい。


何分も何十分も経つと。


凍てついた河川や湖が乗客に。


寒冬の厳しさを教えてくれるようになり。


乗員の操作により窓は完全に閉め切られ。


客側からは開けられなくなり。


暖房が作動し車内は温もりに包まれた。


そんな頃合で再び車内販売の添乗員が。


レオナ達のいる車両に訪れた。


「車内販売です。ラウトロボーンのスパイラルカメリアのジャムタルトはいかがです」


前回とは逆にレオナとグラシャの後ろから販売員は乗客達に声をかけた。


今回訪れた販売員は前回のトラウトロンボを発った時とはまた別の女性だ。


穏やかに目を細めたおばさんだった。


「はっ」


販売員の声に真っ先に反応したのは老紳士のブンドールだった。


額に汗を滲ませて販売員の女性を見つめている。


「何かお求めですか」


「いや、なにも」


「そうですか。失礼しました」


対岸の席からそれを見ていたグラシャだけが。


販売員の正体が変装したジェシカだと知っている。


そして、何十分も前に彼女と交わしたやり取りで。


事件の共犯者をMAILが既にトラトロンボで身柄を確保し、更に首謀者まで突き止めたことをグラシャは伝えられた。


バレルズが予告したイベントとは彼の妹のジェシカが自分の前に姿を現す。


それだけだとグラシャは思ったが。


運が良かったと言うべきか。


事件の首謀者らしき男が。


自席の近くにいたことにグラシャは勘付き。


できるだけ、丁寧に獲物を仕留める算段を始めた。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

次回の更新は6/25の17:00の予定です。

今回先にあっさり更新日をお伝えしたのは二つ報告事項があるためです。

一つが集英社WEB小説大賞への公募について活動報告を更新しておりますので。

そちらもお目通しいただければ幸いです。

二つ目がお気づきになられた方もいるかもしれませんが章設定を行いましたので。

各話を項目毎により分かりやすくしました。

それでは次回またお会いしましょう。

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