ごしらえ27【車窓編】俺にとっての報酬
時間は若干巻き戻り。
グラシャはバレルズと無線でやり取りしていた。
飄々とするバレルズにグラシャは不条理を感じるも。
ひとまず自分の席にもどることにした。
レオナの隣の席だ。
グラシャは自席に戻る最中。
車輌の連結部での。
バレルズとの二度目のやり取りを思い出していた。
『イクラジオまでの各駅にMAILや聖騎士団を配備させた』
『そいつらは列車に乗り込むのか』
『各駅一人ずつ聖騎士団の者を送り込むつもりさ』
『奴らの仲間が途中乗り込む可能性も考慮して、だろうな』
『まあね。といっても、だ』
『犯人が途中下車するかどうか分からない』
『そもそもイクラジオで降りずにサーモニカまで行っちまうかもな』
『だから、イクラジオまでで降りてもらうために一芝居打っておくから』
『何するんだよ』
『それは言えないなあ』
『おちょくってんのか』
『だってグラシャに教えたら犯人にバレちゃうかもしれないし』
『バレルズ』
『怒らない、怒らない』
『犯人が車内で暴れたらどうするんだ』
『そのためのキミと聖騎士団でしょ』
『俺に魔装着なしで犯人とやり合えってか』
『楽勝でしょ、グラシャなら』
『てめえ』
『イクラジオについたらマギスケイル返すから』
『はあ、バロットの堅物に預けたはずだぞ』
『バロット経由で今僕の手元にあるんだ』
『……バロットも最初からグルだったんだな』
『あれ、今ごろ気づいた。だってグラシャが気を許すのバロットとドライゼルの二人だけだし』
『くそ、しばらくMAILの誰も信じねえ』
『まあまあ、そう言わずに。バロットも引き受ける時ノリ気じゃなかったし』
『どいつもこいつも俺で遊びやがって』
『報酬も弾むし後で皆でちゃんと謝るから、ね』
『だったら、後で俺の模擬戦に付き合えよバレルズ』
『マジ』
『マジだ。金以上にてめえをぶちのめすが俺にとっては報酬だ』
『うーん。まあ、いいよ』
『忘れるなよ』
『はいはい。とりあえず列車での旅を楽しんでね』
『ああ、てめえと本気で戦えるのを考えたらこの任務にも俄然やる気が出てきたぜ』
『じゃあ、イクラジオに着くまで僕に無線入れないでね。忙しいから』
バレルズのその一言とともに無線は途絶え。
グラシャもそれに納得し任務に改めて臨んだ。
自分の座席のある旅客車に戻ると。
隣の席の少女が無邪気に風景を眺めているのを目にし。
グラシャはできるだけ昂りを抑えようと努めた。
だが、紫毒の鉄仮面の中から聞こえてくる彼の声は。
「ちょっといいか」
不敵さが漂い。
旅行を楽しんでいた少女をビクつかせるには充分だった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回はグラシャについて解説します。
粗暴な彼ですが元聖騎士団であり。
貧しい少年時代に彼はお金のために酒場で用心棒をしていましたが。
当時の聖騎士団の隊長格の一人に騎士団へとスカウトされます。
その後昇級こそしないものの現場では頼れる切り込み隊長でした。
また騎士団に入隊すると共に魔法を学び才能を開花させていきました。
そんな彼がMAILに移籍した経緯は次回の後書きで記します。
長くなりましたが次回の更新は5/28の17:00です。




