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ハーミットなごちそう  作者: 白海レンジロウ
【下ごしらえ2車窓編】
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下ごしらえ23【車窓編】カルマワーム

これはレオナが列車に乗る前の。

その日の朝早くの出来事。

MAILのバレルズは仲間を引き連れ。

イクラジオで任務を開始した。

突然のMAILの来訪にイクラジオの製菓会社の工場長マダダネは。


四十歳、中間管理職、嫁と子供を残して。


いつもより早く出社せざるを得なかった。


「一体なんなんです、あなた達」


「ちょっと社内捜査をね」


マダダネが駆けつけると。


社屋や工場、倉庫など施設内の建物の入り口にMAILや聖騎士団の団員達が既に配備されていた。


困惑するマダダネとは正反対に。


この場を執り仕切るバレルズが彼へと近寄った。


「ここに未承認の大量のドラゴンの卵があると聞いてね。ちょっと調べさせてもらうよ」


「あんたら自分達が何をやっているのかわかっているのか」


いくら捜査といえども。


この会社の責任者のプライドとしてマダダネは。


バレルズ達の暴挙とも言うべき行いに我慢できなかった。


「工場をぶっ壊してでも調べようってのかい」


「ああ、ふうん、なるほど」


「なんだい、なんだい」


「いや、あなたは何も知らないみたいだね」


「はあ、何を言ってんだい」


「もう既に透視魔法で社屋も工場や倉庫も調べがついているんだ」


「だったら、何がしたいんだ。おちょくってんのかい」


「立会人として何も知らない会社の人が欲しくってね」


怒りを顕にするマダダネとは対照的に。


バレルズは飄々とした態度で。


彼の問いに受け応えると。


右手で思い切り自らの真下の地面にガントレットで武装された拳を叩き込んだ。


「パルスインパクト」


バレルズのガントレットから磁気が迸る。


工場の敷地内に青白く光る磁界のサーキットが浮かび上がる。


「ちなみにあなたはここの責任者?」


「工場長だよ」


「だったら、ここの真下に秘密の地下室があるのをご存知かな」


「地下室だと」


「そろそろかな」


磁気がバチバチと炸裂音を鳴らしている中で。


社屋であるオフィスへと続く。


正門から伸びる一本道の。


広い社内の敷地の下から。


磁界の響きとは異なる鳴動がバレルズ達の耳に入ってくる。


拳を地につけたままバレルズは更に語り出す。


「二週間ほど前、この工場の元従業員から情報があった」


「情報だって」


ふと、マダダネは。


それと同じ時期に連絡が取れなくなった従業員の顔を思い出した。


「清掃中に荷物をどかしたところ人が通れるほどの穴を見つけたらしくてね」


ゴ、ゴゴゴゴ、ゴゴゴゴ、と地下からの鳴動は大きくなっていく。


それにも関わらずバレルズは落ち着いた様子で。


拳を地に突き立て続けながら。


異変に怯え出すマダダネへと経緯を語っていく。


「興味本位で穴の奥へと進むと一月前に入ってきたアルバイトの女の子と老人に……」


鳴動は限界を超え。


ついに地震を思わせるほどの揺れとなり。


その震源の正体が地表へと姿を現した。


「大量のドラゴンらしき卵とカルマワームの頭部を見たってね」


巨大な肉食の虫がバレルズ達へと敵意を向ける。


大きなハサミを持つ硬い殻で覆われた甲虫。


カルマワームは十数メートルもある巨躯であり。


簡単に動物や小さな幻獣すらも丸呑みにしてしまう。


凶暴な肉食虫だ。


「とりあえずあなたは他の団員さんのところまで頑張って逃げてくれる」


「あんたは?」


「あのデカブツを倒すんだよ。もちろん一人で」


ターゲットを捉えると。


バレルズはようやく拳を地面から離し。


臨戦体制へと入った。

現在の本筋とはまた逸れてしまいますが。

今作では書かれていなかった戦闘があります。

もともとファンタジー世界の中の食事というコンセプトをもとに。

スタートしたので、こうして前日譚で書くとは思いませんでした。

ではでは、次回の更新ですが5/2の17:00の予定です

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