下ごしらえ20【車窓編】メロディアスを行く足・前編
自室で過去の手記を見返すのもいい。
記録とは未来で情報を振り返るものなのだから。
日記や手帳、アルバムは思い出を。
記憶に付随した感情まで呼び起こしてくれる。
単なる記録だけにとどまらない。
ただ、今回はメロディアスの移動手段について。
人々の交通の移ろいについて振り返るとするか。
サーモニカまでの途中駅は。
トランシープから数えて。
トラウトロンボ、ラウトロボーン、イクラジオ、カラスミーン、ソルルン。
各駅間でそれぞれ距離と時間を要しており。
始発であるトランシープからサーモニカまで半日ほどかかる。
それでもドラゴンなどの幻獣を用いた飛行手段と比較すれば。
格段に鉄道がコストパフォーマンスは優っている。
時間の面でも。
ドラゴンを乗り潰して無理矢理サーモニカまで向かったとしても。
二、三十分早くなるだけ。
山岳鉄道の利便性は一度に乗せられる乗客の人数だけでなく。
往復での各駅での降車や補給、荷下ろし等。
鉄道ならではの面を活かしており。
三十分の時間短縮と比べてもそれを補って余りあるほどの恩恵がある。
交通と物流のインフラが鉄道にはあるのだ。
だからこそ、魔導車の登場は大きい。
鉄道のレールとはまた異なるが。
道路を舗装し魔導車が現在よりも多く走行されるようになれば。
もっと言えば市街地や郊外などの人の居住地域だけでなく。
山や森に海沿いにも道路を拓き。
魔導車専用に橋やトンネルなども用意し。
更には鉄道の様に。
魔導車が優先的に高速で走行できる車線ができれば。
世の中の人や物の動きは更に加速するだろう。
気が早いだろうが。
東西の国々をつなぐ横断鉄道とは別に。
国と国をつなぐ魔導車用の道が出来た時には。
この国の空気はガラリと変わるかもしれない。
法律も時代の流れと共に変わるだろう。
現教皇のエメラ・ステラならば。
既に魔導車を用いた変革を水面下で起こしているだろう。
スパーク・ガルムズ副院長の手記、『メロディアスを行く足』の前半より。
ここまでお読みくださってありがとうございます。
今回は二本立てで次回もスパークの手記となります。
次回更新は5/3の17:00です。




