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ハーミットなごちそう  作者: 白海レンジロウ
【下ごしらえ2車窓編】
27/59

下ごしらえ18【車窓編】隣に座られて

旅を楽しもうとしていたレオナの前に。

駅で会ったMAILの男が現れる。

粗暴さを隠さない彼にレオナは内心怯えていた。

とりあえずイクラジオに着くまでは自由だ。


景色でも楽しもう。


ウキウキとレオナは車窓からの景観を眺めた。


「ふふ、いい眺め」


鉄道は山を順調に登っており。


下には雪化粧された白い山肌と。


山の麓に位置する自分の住むトランシープの街並みも広がっていた。


(なんだか、地図を広げているみたい)


日常ではお目にかかれない光景にレオナは見惚れていた。


まさに旅行を満喫している最中で。


「俺の席は、お嬢ちゃんの隣か」


背後から紫の鉄仮面の男の声が聞こえ。


レオナはビクついた。


「あなたは駅にいたMAILの人、ここでなにを」


「なあに、ちょっと自分の席を確認しに来ただけさ」


そう言うと鉄仮面の男は自分の切符をレオナへと見せた。


切符には彼女の隣の座席番号が記載されており。


先ほどまでの浮かれた表情から一転。


気まずそうにレオナは顔を上げた。


なにも悪いことをしていないのにも関わらず。


問い詰められていると錯覚してしまうほどの圧迫感が。


紫の鉄仮面から発せられていた。


(MAILだけど、なんか怖い人が隣になっちゃったなあ)


レオナがMAILの者を見かけるのは今日が初めてではない。


自宅と職場を往復しているときに街中で目にする機会はある。


それでも彼女の知る限りは。


役職では一番下に位置する。


なにも塗装されていない鉄仮面を身につけた鎧騎士か。


下級騎士を指示する赤、青、緑など。


カラフルな鉄仮面のコマンダークラスの者だが。


少なくとも仮面と同じ色の鎧を纏っており。


尋問の手荒さなどは噂されるものの。


任務中、パトロールしているだろう彼らの佇まいは。


物静かで真面目である。


だからこそ、自分の記憶の中のイメージとは真逆の毒々しい色をした紫の鉄仮面。


鎧も纏っておらずラフな格好で。


恐らく任務中であろうが。


イラつきや圧迫感を隠さず。


悪人よりもなにをするのか分からない雰囲気の。


目の前のMAILの男が。


レオナには恐怖でしかなかった。


「まあ、俺は車内をうろついているから、気にすんな」


「ええ、ええ」


「俺の名前はグラシャ。お互い良い旅にしようぜ」


「は、はあ」


グラシャは仮面の下で不敵に笑っているだろう。


まるでならず者に絡まれたような気さえして。


MAIL、自分たちの平和を守ってくれる存在のはずなのに。


むしろ、そういう役割だからこそ。


異端なグラシャがレオナには不気味でたまらなかった。


「よっと」


切符をズボンのポケットにしまうとグラシャは。


自身の鉄仮面にある透視魔法のボタンを押すと。


車内を見渡した。


客の荷物を確認するためだ。


しかしながら、目当ての品は。


大量の野良ドラゴンの卵に相当するであろう。


荷の類はなかった。


「こりゃ運転室や機関室まで行くはめになりそうだな」


鉄仮面越しにため息をつくとグラシャは。


レオナと自分の席を放置して。


前の車両へと進んでいった。


足取りも騎士というよりも。


ならず者なグラシャの荒々しさに。


車内にいたレオナ以外の乗客もまた騒ついてた。


客の動揺は。


グラシャが先の車両にいった後でも。


しばらく収まらず。


自分達の旅行きの不安に抱かずにはいられなかった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

やはりと言うべきか。

下ごしらえ編長くなってしまいました。

それでもお付き合い下さる読者の皆様には感謝するばかりです。

本当にありがとうございます。

さて、GWということで。

5/7まで連投していきます。

そのため、次回の更新は明日5/1の17:00となります。

ぜひ、ご覧いただければありがたいです。

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