表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

微睡む牙古鳥の随筆

なろうと願い、書いて読む

 (ところ)が変われば規則(きまり)も違うもので、類似するサービスの各々においても、細かな差異が存在するものである。

 もちろん、何かを書く時の決まりというものは、読み手にとっての関心事ではない。小説における振仮名(ルビ)の振り方も、読む側にとっては


「ああ、なんかありますよね。あの、上に出てる小さい文字」


 くらいの、それがどうして振られているのか……は、難読であったり、近年では本来の意図とは異なる意味を重ねるために用いられたり、全く理解できないというほどの不明さではない、ものが多いだろう。

 ただ、意図に関しては著者次第なので、予測不可能な場合はある。そもそも何も考えていない、何となくそうした、みたいな事だってあるだろう。少なくとも、私はある。


 ……じゃ、なくて。そういう意味(こと)ではなく、つまりはそれが「()()()()()()()実現されている」のか、については、多くの人はそこまで興味はない、という話である。



 そんなわけで、読者層に興味があるとは思えないが、インターネットブラウザ上における、当該技術の取り扱いについて触れる。たぶん、興味ある人は説明されるまでもなく、何となくは知っているだろう。つまりこれは、生まれながらにして、意義のない文章。悲しいね。


 そもそも、インターネット上で閲覧されているコンテンツの多く(※)は、HTMLと呼ばれる言語で記述された文書である。ハイパーテキスト修飾(マークアップ)言語(ランゲージ)を意味する略語だ。

 ところで、知らん人は


「そもそもハイパーテキストってなんだよ。烏滸(おこ)がましいとか思わないのか」


 と言いそうな気がするが、記憶によれば、ハイパーテキストというのは元々「他の文書(ドキュメント)関連(リンク)を張れるもの」という定義だったはずだ。要するに、見た目が華美だからハイパーテキストなのではなく、他の文書に導線が張られているからハイパーテキストなのである。

 そのリンク先は、必ずしも別のページだけではない。それこそ、写真であったり、動画であったり、多種多様な「もの」を文書に紐付けて、良い感じに見せるための基礎概念。これが、俗にWEBページと呼ばれるものの正体……HTMLファイルという文書である。


 それで、インターネット小説というものも、基本的には(※)主にHTML形式の返却値(レスポンス)として返され、これを受け取った側の端末にて描画(表示)される。

 書いている側からすれば当たり前のことではあるが、ここで書かれているインターネット小説は、別にHTML形式の文字列として記述されているわけではない。もし酔狂にも興味があるのであれば(※)、「HTMLタグ」などのキーワードで検索してみると良い。本題には関係ないので、ここでは説明はしない。ざっくりとだけ言うなら、タグの記述は割と面倒臭いのである。


 なので、大抵のCMS(※)においては、ユーザーが投稿するコンテンツの中で、HTMLタグの記述は一切行われないか、または限定的にのみ利用されている。じゃあどうやってこれを実現しているのかというと、冒頭に書いたように、そのCMSの中において、定められた記法(ルール)に従い記載された内容が、最終的にHTML形式の文字列に置き換えられて表示されているのである。


 有名な(?)ところでいえば、Markdownという記法がある。これは、マークアップという単語に(たぶん)由来する、軽量なプレーンテキストから修飾するための記法だ。こういったものを利用すると、非常に単純なテキストの記述を行いながら、記述された節が意味的にどのように扱われるのか、というのを明確に取り扱うことができ、業務実施の効率が上がる。場合もある。


 結局のところ、どんな価値観も共有されていなければ、そこに意味が伴うことはない。

 独り善がりは良くない、あると思います。



 そろそろ本題に入るわけだが、ここ『小説家になろう』の記法と、よそ『カクヨム』の記法は、似通っている部分もあれば、違う部分もある。

 なんで統一されてないんだよ、と思う人もいるであろう。だが、それは利用者側の都合である。もちろん、利用者の都合に寄り添うのが良いサービスだ、と言いたい気持ちも分からなくはない。それでも、出来ることは限られているものだ。時間とか、能力とか、費用とか、他、色々(エト・セトラ)


 我々はしばしば、この世に存在する万象に対し、そこに理想的(イデアル)な一意の正解がある、と極自然(ナチュラル)に思い込んでいる。現実は、そうではない。色んな試みは、同時並行的に生じる。たとえ動機が完全に同じであったとしても、それぞれが同じ理屈で動いているわけではない。定められたこと、というのは場によって違う。

 各国の宗教の教義に差があるのと同じだ。目指すところは概ね類似しているので、統一するほうがきっと良いのだろう。だが、()()()()()()()()()()。各サービスの記法の統一が進まないというのも、程度の違いこそあれ、本質的には概ね変わらない。正しさに拘泥する限り、間違っているのは常に相手だからだ。取り入れるのはともかく、譲歩する理由はどこにもない。

 収斂(しゅうれん)進化により、似通ってはいくのだろう。それでも、別物である限り、同一になることは、まずない。多分。


 それでも、どうせなら両方のサービスに同じコンテンツを投稿したい、という人も当然いる。私はそうでもないが(※)、これを実現する場合に、記法の違いによる「こんなはずではなかったのに」という誤記が生じる場合がある。なので、その辺りの差異に関してまとめておく。


----


(もしかしたら変わるかも知れんので:西暦2023年6月6日時点の情報)


『小説家になろう』の記法の特徴

 ・ルビを任意に振る際の記述は|斯様な記述《こういうかんじ》

 ・傍点は文字に対する「・」をルビとして振る形で再現されている

 ・ルビを振る時の括弧が《》に限定されない 例示(こういうの)も有効


『カクヨム』の記法の特徴

 ・傍点が《《こんな形の記述》》でも書ける(なろうの傍点とは実現方法が異なる)

 ・ルビの記法は同じものが使える

 ・ルビを振る時の括弧は《》に限定されるらしい

 ・サービス内のツールで丸括弧()を二重山括弧《》に変換できる(使ったことないけど)


----


 このあたりの情報を把握しておくと、両方のサービスに対してコンテンツを投稿する際に留意すべき部分がわかる。つまるところ、大雑把に言えば


 ・ルビを振る時の括弧は、『カクヨム』に合わせて《》に統一(変換がいらなくなる)

 ・傍点はこだわりがなければ『小説家になろう』のパワープレイ解決を採用

 ・傍点にこだわりがあるなら『小説家になろう』の方に置く時には変換、または《《そういう強調記述》》と言い張る


 こういう感じになる。



 結局のところ、人の想いや願いに誤りなどないのではあるが、それでも何かを作る時に、厳密や明確に意図が伴わないところでは、規則は守っておくほうが良い。何故かというと、秩序のないところにおいては、違和感が目立たないからだ。


 最悪の言い方をすると、規則を最初から一切守るつもりのない文章は、「その程度の熱量で書かれた、こだわりのないもの」と見なされる場合があるのである。そう思わない人も、当然いるとは思うが、文章記述の程度というものは、記述の品質にもやはり依存はしている。

 逆に言えば、そこに描写されている内容に対して、文章の記述に求められる品質は左右される、とも言えるかもしれない。ただ、それはあくまでも原則としては文章表現の重厚さ(または軽薄さ)に対する調整の話であって、「書き方が変」であるのは、意味がないなら、単純に失点であると思う。


 重要なのは、描かれる内容の方だ、というのはわかるし、前提である。故にこそ、どうでもいい部分に失点があるのは忍びない。読んでもらえれば面白いのに、それが理由で機会を損失するのは、あまりにも悲しいから。



 ということを、まあ別に読まれているわけでもない人が言うのでした。

 みんな、ちゃんと読まれていて凄いなあ。

改めて確認したところ、『カクヨム』の傍点は<em>タグによる強調表示扱いで実現されているみたいですね。『小説家になろう』の方でもそんな感じにならないかなぁ。ならんか。


※コンテンツの多さ:占めるデータサイズの話ではない(HTMLは基本的にはプレーンテキストなので、データサイズで考えるとメディア系コンテンツよりは小さく収まることが多い)


※基本的には:縦書きPDF形式での表示がサポートされていたりもするので、必ずしもHTMLとは限らない


※酔狂にも興味が:仮に興味があるなら、その辺の知識は、この随筆よりも先に予め知っている人が大半だと思う


※CMS:コンテンツ管理(マネジメント)システムの略称


※小説の並列配置:同じものを別のところに置くと誤字訂正とかの管理が面倒臭いので、しません

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ