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窃盗事件の顛末と今後の方針 -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

その翌日、伽里奈(アリシア)は放課後に中瀬と早藤を呼んで、自分の事情を説明した。


「ごめんね」


 2人とも伽里奈(アリシア)がやたらと魔術に詳しいことは知っている。けれど実は魔法が使えることと、大学卒業資格持ちで、正規の魔術師である事にはさすがに驚いていた。


「う、うん、ビックリした」

「軍事機密というのなら、仕方ない」


 伽里奈(アリシア)と付き合いが出来てから2年とちょっとになる。


 実は魔法が使えました、しかも軍事機密で内緒にしていましたと言われて2人は複雑だ。あの霞沙羅(かさら)の知り合いとは言えさすがにエリートすぎる。


 けれど伽里奈が2人をバカにするようなことは一度も無かったし、魔力適応が判明して附属高校魔法術科に入るという夢を持った2人に熱心に協力してくれて今がある。


 それに入学後も座学だけでなく、実際の実技にも口を出してくれて、2人は中々の成績を維持できている事には感謝しかない。


「それで魔法術科に来てどうするんだ?」

「イギリスから有名な家の女の子が留学で来るんだ。その子に付き添うことになってるの」

「やっぱりA組なの?」

「ううん、組までは聞いてないけど、A組でも教える事が無いから、こだわってないって話も聞いてる。イギリスも優秀な魔術師を一人でも多く育てたいから、それで日本の授業も参考にして教育論のレポートを書くんだって」

「ひょっとして俺らのクラスの可能性もあるのか?」

「可能性はあるよ」


 むしろA組は彼らのプライドを考慮して考えていないと聞いているし、普通の授業を参考にしたいとシャーロットからも言われている。


 そう考えると、伽里奈(アリシア)の顔見知りがいるE組の方が受け入れ体制が整っていると思われている。


「じゃあ、今後は伽里奈に気軽に話を聞けるって事なのか?」

「え、まあそうなんだけど」

「よし、ならこれまで以上に色々教えてくれるなら許してやる」

「もし違うクラスでもよ。他のクラスの子に肩入れしすぎないでね」

「う、うん、ごめんね」


元々中瀬と早藤は、伽里奈も一緒に魔法術科で、と思っていた。魔術的な知識が自分達よりもずっと上だったのは解っているから、嬉しいといえば嬉しい。だから編入のことを事前に言ってくれて良かったと思っている。


「料理の授業はどうするんだ?」

「そのままやるつもりだよ。A組の藤井さんも取ってるから別に変じゃないでしょ?」

「そうね。デザートも伽里奈のおかげで毎回出るようになったし」

「デザートの話?」

「男でもデザートがあるかないかはでかいんだぜ。担当がお前の班じゃない時のがっかり具合は無いぜ」

「そうそう、そういうこと」

「じゃあ今後もよろしくね」


編入にあたって伽里奈(アリシア)の中で一番の問題部分が何とか解決した。この世界での初めての友人だから、受け入れてくれて本当に嬉しい。


それであれば、シャーロットとは別に、アシルステラでの参考になるだろうから、この2人にはもうワンランク上の協力をしていきたいと思う。


これまでの付き合いで、色々と思うところはあるのだ。それが解決すれば向こうにも持って行けるだろう。


  * * *


 それから数日後、大学警備室の主催で、関係者に対して今回の事件についての報告が行われた。


 警察からも情報を貰い、事件についての纏めと、被害状況、それと今後の警備について話しておかなければならない、という事で関係者が招集された。


「何でボクも呼ばれるの?」


 帰りのホームルームで、担当教師から大学のとある部屋に行けと言われたので、何となく怪しいなと思いながらも部屋に入ると、警備を担当した警察官も含めた、警備関係者の会議に参加させられてしまった。


「伽里奈君、何やったか解ってるでしょ?」


 藤井が会議資料を手渡してくれた。


 座席は生徒は生徒で固まっている。


「だってー」


 館の清掃とか夕飯とかあるのに、このところ面倒事ばかりだ。あんな鐘なんかを持ち込んでくれたせいでいい迷惑だ。


 シャーロットの件もあるから、結局魔法術科に関わる事にはなるのだけれど、順序を追って巻き込まれに行ったのとでは、心構えというか準備が出来ないので、不満も言いたくなる。


 そもそも学生の警備室への参加は、その生徒の家だったり所属している組織との契約が主なので、今後の伽里奈には関係が無いし、下宿の管理があるから関わるつもりはない。


「伽里奈アーシア、ちょっと黙ってなさい」

「はーい」


 藤井を挟んだ向こう側にいる一ノ瀬にも文句を言われてしまった。仕方が無いから黙っていようと思う伽里奈だった。


「では資料を見て欲しい」


 警備室の責任者からの説明が始まった。


 先日の襲撃は、以前から声明があった鐘の強奪が目的である事が確定した。


 捕まえた4人は、キャメル傭兵団と名乗る、世界を股に掛けた窃盗団であった。ただ、この窃盗団は以前より傭兵団を名乗っており、いつも窃盗事件の首謀者では無く、窃盗の肩代わりをする事で知られている。


 そしてこの傭兵団は、間にいるブローカーから依頼を受けており、本来の依頼者については聞かされておらず、そこはまだ不明となっているそうだ。


 警察としての目下の方針としては、このブローカーを捕まえるところであるという。


 それとは別に、今回の窃盗事件のために武器を供給した人物がいることも判明しているが、それとも直接関わっていないそうだ。


 依頼主と協力者と実行者が直接繋がっていないというのが、なかなか小賢しいところだ。


 世界規模で窃盗を繰り返してきたこともあり、それを追っている他の国々からも今回の捕縛については早々に問い合わせがあり、道警としても国際的な案件として関係各国と協力して、今回も含めた窃盗事件を解明していく方針だそうだ。


 そして、問題となった聖法器「鐘」については


「鐘は、新城大佐からの情報では、妖怪、いや幻想獣の力を取り込んだ素材として、何らかの道具を作る予定で製造された、とある」


 窃盗の目的は鐘を奪取することで、それをコレクションしたり、自ら加工したりというわけではなく、いつも通りブローカに引き渡すところまでである。


「大量にばらまかれた幻想獣と、魔法術科と大学に現れた2名は、宝物庫に向かった本命への足止めで、最初から適当な所で逃げる予定であったことと、鐘を直接奪いに行った2名と転移先でおちあい、鐘を持ち去る流れであった」


 回収された4人分の差し歯から判明した転移先は小樽市郊外にある廃屋で、そこには逃走用の車両が用意されていたとのこと。


 夜間に実行しなかったのは、研究時以外は鐘は守りが強固な宝物庫に保管されてしまうので、奪取自体が困難だった為だそうだ。


 研究棟自体の結界は、研究者達の出入りも行われることから、日中はそこまで強固では無い。警察や個人エージェントの警護はあったけれど、最大の問題であった霞沙羅が大学にいない日を狙ったのだが、運が悪いことに、なぜかいてしまったことから、今回の失敗に繋がってしまった。


 学校側の被害は建物と木や植え込みなどの破損を始め、教職員や警備が十数名負傷。生徒は警備協力者が数名、建物の破片や逃げる最中に転んだりの軽傷が二十数名だそうだ。


 怪我人は全て治癒魔法で治療を施したが、念のため病院での治療は受け、一部はまだ入院中との事。


「新城大佐が持ち込んだ小型探知機のおかげで初動が早く、定期的に行っている避難訓練が功を奏した」


 あの鏡は本当に警備室に置いたと言っていた。色々と中途半端な性能だけど、大学構内に絞れば効果はあったようなので、作った甲斐があってよかった。


「問題の鐘については、確認の結果、吸収された幻想獣はいなくなり、刻まれている術式には欠陥が見つかった為、これ以上置いておいても危険だと判断された。教授達からも研究は終わったとの了解を得たので、溶かした後に、ただの銅として再利用することになった」


 鐘の素材自体は何の変哲も無い、純粋な銅だというので、霞沙羅の知り合いからのアドバイスに従うそうだ。


 警備システムについては、現状不備は無いものの、今回の侵入経路を調べ、防犯カメラを追加設置する事と、高校と中学のキャンパスにも結界装置の設置を行う方針だという。


 それと警備担当については、今一度各人のスキルや力量を確認した上、今後の対応を検討することと、緊急対応用の武器についても再考の余地がある事で、報告会は終了した。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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