これからもやどりぎ館で -2-
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地球 :アリシア
アシルステラ :アリシア
あれだけ巨大だった星堕の剣は、潰してしまった廃墟や建物の残骸という痕跡を残して何も無くなってしまった。
これを軍はどう発表するのかは解らないけれど、その辺は霞沙羅が関与することでは無いが、恐らく幻想獣の変種として処理するのだろうと予想される。幻想獣も残骸が残ることは無いのだから辻褄は合う。
結局、長いこと旧新宿を中心に貯まっていたマリネイラの魔力は、まだ残ってはいるにせよ、以前のように危険すぎて軍ですら近寄れないような状態では無くなってしまっているから、その元凶を倒したということにしても矛盾は無いと思われる。
「とはいえしばらくは状況を観測する必要があるで候」
これで周辺も含めて、マリネイラの魔力が増える事が無ければ、旧23区の調査が始まり、何年かかるか解らないけれど、安全な場所から瓦礫の撤去が始まるだろう。
「終わってみれば実に楽しい時間だったな」
3つの星の英雄達が手を組んで、一つの強敵に挑む。まだ出会ってからそんなに経っていないのもいるのに、よくもここまで上手く出来たモノだと、榊はあの短い時間の事を反芻するように思い出した。
本当によく全員揃ったものだ。
「アリシア君は星雫の剣の扱いが巧かったでやんすな」
即興でも2本の星雫の剣を見事に操っていた。本人だってその上に乗っているというのに振り落とされないで、あれだけの攻撃が出来る度胸もかなりのもの。魔女戦争の時にはきっと飛び回っていたのだろう。
「たまには私にも空霜を貸せよ」
星雫の剣達も普段はあんまり活躍する機会が無いので、2本が地球にある間ならたまに練習をさせてもいいかもしれない。
「ふむ、場合によっては霞沙羅が使うのも良いかな」
「純凪さんはどうするんだ?」
「とりあえず軍に戻って報告をしてからやどりぎ館に帰るとしよう。一応協力者だしな」
「もう一方の協力者は帰ってしまったがな」
カナタ達は母親の腕を持って、さっさとヤマノワタイに帰ってしまった。
壮大な親子喧嘩に巻き込まれてしまったけれど、なんとか無事に終わった。
「アリシア君は明日からしばらくは大変な事になるんじゃろうな。とはいえ、軍の不始末の後処理をしてくれたわけだから、何がしかの理由をつけて異星人の話は誤魔化すでありんす」
異星人というか異世界人というか。
テレビでもネットでも、いい映像が撮れたから北海道の話題で持ちきりとなっている。時代が時代だけに広い地域で見られてしまっているので、こういうのを落ち着かせるのは時間がかかることだろう。
あとはまあ、魔術関係者からは結構しつこく、各国からの質問も来るだろう。あの場にいた張本人達も色々と確認したい事があるのだから、部外者となればそれ以上の事を求めたくなる。こういうのは前回の厄災戦でもあったから、時間をかけてレポートなりをあげて黙らせていくしかない。
「最後に私に合わせてくれたからな。私の右腕って事で押し通してやるか」
他の連中は、まあ引き続き傭兵とでもするか。
「随分と暴れ回ってくれたもんだな」
榊もちらっとネットで見たけれど、アシルステラの英雄ということがよく解る程の殲滅力を見せている。札幌に襲来した幻想獣は三百体以上と言われているけれど、その半分以上、というか3分の2はアリシア達が倒してしまっている。これだけやれば爽快だ。
「落ち着いたらゆっくり見るか」
連中が何をしたのかは見たい。自分たちにとっても役に立つだろう。
ネットだからアーカイブが残るだろうし、テレビ局に言えば映像を貰えるだろう、というか、恐らくなにがしかの番組に出なければならないだろうから、先に情報を仕入れておかないといけない。
軍も持っているだろうから、貰うとしよう。
戦いが終わった事もあって軍の車両も、霞沙羅達を迎えにやってきた。
上空をまたヘリが飛び回っているけれど、これは警戒と確認用。ただ、ここまでマリネイラの魔力が無くなってしまえば、幻想獣の発生は無いといえる。
後は専門家に任せて、自分たちも一旦軍本部に帰るとして、今後の対応方法を指示して貰うとしよう。
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