これからもやどりぎ館で -1-
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地球 :アリシア
アシルステラ :アリシア
新宿での戦いが終わって、アリシア達はさっさとやどりぎ館に帰って来た。
今日の所は霞沙羅達に任せるしか無いから、あんまり人前をウロウロしない方がいい。どこから撮影をしているか解らないからだ。
「いやー、楽しかったですねえ、マスター。あの相手の体に突入する感覚。今日は最高でしたよ」
午前9時頃始まった星堕の剣討伐の戦いに端を発した、日本の危機ともいえる戦いが終わってみると、気がつけば午後2時になっていた。
今日は朝からずっと大暴れが出来たシスティーは喜んでくれた様子だ。
「喜んでくれたんならいいんだけど」
「あの場から逃げるようにこっちに来たんだが、残った先生達の方はいいのか?」
「霞沙羅さんは軍の人だから。そもそも正式な軍の作戦でやってたんだから、後の事は慣れてるでしょ」
霞沙羅達3人は事後処理にも慣れている。…のだが、暴れすぎたアリシア達ご一行様がどのように扱われるのかは、この後の軍の決定を待つしか無い。
多分しばらくは大変だろう。まあ軍事機密ということで押し通すのかもしれない。
そんな事よりも
「お腹がすいたわねえ」
ヒルダの言うとおり、お菓子を食べて出て来たのはいいけれど、さすがにお腹が空く時間になっている。
「しょうがない、余って冷凍してるのを使うしかないかなー」
通常ストックしてある食材もあるけれど、時間短縮も考えて、相変わらず在庫として冷凍庫に保存してある、日常の調理から出た余剰品を放出すればなんとでもなるだろう。
冷凍品とはいってもあんまり長期間も保存できるというわけではないので、ここいらでドンと放出しておいた方がいい。
「じゃあ皆は、料理が出来る前に適当に過ごしてて」
冷凍品を利用しても、この人数分を作るにはちょっと時間がかかる。
5人には温泉に行くなり、その辺に転がって貰うなりして貰った。
「小娘よ、ぬかるでないぞ」
フィーネに連れられてアンナマリーとシャーロットは先に帰って来ていたけれど、エリアスが避難させた吾妻社長達は、少し前にフィーネが事務所に戻してくれていた。
「忘れていたわ」
「さすがにこの英雄共と鉢合わせさせるわけにはいかん」
「なんかあったんだね。フィーネさんありがとうございます。アンナマリーとシャーロットの事も」
「ふん、礼ならば夕飯で返すがよい」
「はーい。ところで2人は?」
「部屋でネット配信に出演しておる」
「なんで?」
「ロンドンの方でも此度の事件は話題になっておってのう」
父親と祖父が出演していたテレビ番組が盛り上がりを見せていて、サブチャンネルに移動しながらも続いていて、そこに現地にいたホールストン家の娘として、先程から飛び入り参加しているそうだ。
アンナマリーは画面に映らないように、シャーロットの横から話の補足をしているとか。
「私が出てますよ!」
かと思いきや、システィーがテレビをつけて、札幌と千歳の戦いを追う番組を見始めた。
「お、なんだこれは、オレ達がいるじゃないか」
「テレビってやつですよ。この世界にある業者が私たちの戦いを映してたんですよね」
アシルステラ勢は何だか解らないけれど、とにかく自分達の戦いを記録していたのがいる、と理解して、番組を見始めた。
さすがに星雫の剣としてのシスティーは大きいからハッキリと映るし、混乱を抑える為に「星雫の剣」という事が軍から正式に発表されているので、堂々と放送している。
新宿の方の映像はまだ軍からの提供が出来ていないので、その代わりに札幌の事件の方が全国放送番組になってしまっている。
地方で起きた事件としても、かなり大きな事件だったから、系列局から映像を貰ってそれを現地キャスターにも出て貰って放送しているといった具合。
「私ってこんな動きをしているのね」
ライアは重力関係なく、ビルの壁面を足場として走り回っていて、コメンテーターからも驚かれている。
「アーちゃん、これはどうにかしてフラム王国に持っていけるのかカ?」
「残せるよ。システィーが録画を始めてるよ」
テレビに接続してあるレコーダーでシスティーは番組を録画し始めた。しかも複数の同時録画が出来る機種だ。
「記録盤に移動出来るよ。再生専用機も作ってあるよ」
以前にアンナマリーに渡して、王妃主催のお茶会に持っていった再生専用の記録盤は、先日一応の完成を見ている。まだ学院の記録盤には記憶媒体のスロットは追加していないから、しばらくはこれで渡すしかない状態。
「もうどうでもいいや」
ネットでも流れているとかなんとか。だからそっちのも持っていこうと思えば出来る。
それにしても自分の姿もかなり多めに映っている。これは明日からの生活に影響が出るレベルだ。
ただ、フィーネとエリアスの姿だけは、なんとなくモヤモヤしている。
知らない人が見たら、もっと解像度の低いモヤモヤ映像になっていることだろう。そして人はその事に気がつく事も無くスルーしてしまう。それが神の力。自分達にも掛けて欲しいところだけれど、辻褄が合わなくなるとかなんとか。
神はもとより人間社会ではイレギュラーな存在なのだとかで、女神様達はちゃっかりしているものだ。
とにかくドレスと鎧姿のままでは鍛冶ができないので、服を着替えて料理を作る事にした。
明日からはどうなるのか、それは忘れることにして、今はただ心静かに管理人業務に戻るのだ。
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