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これより作戦開始 -3-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 戦いが始まるところだったが、そこに水が差された。


「現地人よ、どういうわけか北の大地で幻想獣とやらが出現したようだぞ」


 これは妻のサポートをしているカナタの父親の声だ。この二人は星間転移の前に、厄災戦を観戦しているだけあってある程度はこの星の事情をわかっている。


「二人の仕業で?」

「違うな。しかし地球人も勝手なモノだな。一方ではこの星を守る戦いをしているというのに、何も知らぬ者が足を引っ張るとは」


 そこに軍からの緊急通信が入った。なんでも千歳市の空軍基地が沈黙した上に、そこから巨大な、災厄戦に出現した最上級クラスの幻想獣レベルの反応が発生したという。


「また宗教か。下らん神を信じる連中がまたこれと同じ事をしようしてんのかよ」

「余計なことをしてくれましたわね」


 確信は無いけれど、カナタは見逃されてしまった函館の少尉が合流した人間の仕業ではないかと予想した。


 しかし一ヶ所とはいえ、厄災戦レベルの幻想獣が出たとなると面倒だ。軍の混乱も生むし、割とフットワークが軽い日本の英雄3人がここに揃っているので、誰が対応するのかという問題がある。


 多様な人員がいる軍なのだから、この三人ほど特別とはいかないながらも、優秀な人材をある程度揃えればどうにかなるだろうが、いいのはこの新宿に揃っているし、その次くらいの人材を今から集めて間に合うのか。


「何の問題もねえよ」


 だが霞沙羅は慌てない。


「こうなりそうなことを気にしていた奴が北海道にいるからな」

「そうか、伽里奈(かりな)君か」


 (さかき)も、ここのところ伽里奈(アリシア)が北海道で起きた厄災戦の事件データや発生源の地図を確認していたのを見ている。


 軍や警察を信用しているとかいないとか、そういうのでは無く、最悪のことを考えていたのだろう。


「おい、新城霞沙羅の命令だ。北海道方面は伽里奈=アーシアが現場に現れたら無条件で通せ。今回は団体で来るだろうが、もれなく全員な」


 霞沙羅が通信に返すと、その意味不明な命令に向こうは混乱した。そんな人物は軍にはいない。


「大佐、何者ですか?」

「リーダーはこの前二子玉川の幻想獣を倒した奴だよ。札幌駐屯地じゃ知らない奴はいない私の右腕だ。実力なら戦場で私の横に立てる奴だ。特徴は男だが女の姿で現れるぞ」


 これは軍上層部だけの真実だったけれど、あの新城大佐の言葉だからと「了解」とだけ言って通信は切れた。


 吉祥院は別の方面への連絡を続けていたけれど、ここからの推薦もあれば素直に通してくれるだろう。


「あの6人と1本なら最上級であっても心配無いでありんすな」


 何となくだけれど、吉祥院はそうなるだろうと考えた。なにせ、星というか世界というか、そういう制限はエリアスのおかげでクリアになったのを見ている。だとすればあの6人は本領を発揮出来る。


「管理人の女神もいるしな」


 そうなると7人と1本になる。もう一人の女神はどうするか解らないけれど、ここは気にせずに任せてしまおう。


「じゃあやるか」


 3人は迷いも無く武器を構える。


「地球人よ、いいのか? あの厄災戦を戦い抜いたのであれば解るだろう?」

「なら問題ねえよ。神にカチコミをかけに行った奴らが現地にいる。幻想獣じゃあ相手にならん」

「そんな事だそうですよ。ではお二方と宇宙のゴミ、今度こそ始めようじゃないですの」


 まあ確かにそうだろうな、とカナタも北海道のことを気にするのをやめた。


   * * *


「北海道はこれより我らのマリネイラ様を奉る者達の国、明星共和国となる。同志となるか抗い散ってゆくか選ぶがいい」


 空軍基地を地面より現れた肉の塊のようなモノが突如襲った。


 金星の虜である三本木(さんぼんぎ)、元少尉が何かやるかも、と道内の軍施設は一応の警戒はしていたけれど、突如千歳市にある空軍基地が襲われた。


 西方面からやって来た、波のような肉の塊に、空軍基地の施設や戦闘機などが徐々に飲み込まれていく。


 任務に就いていた兵隊達は一応の抵抗はしたけれど、まだ記憶に新しい、厄災戦時に現れたイレギュラーな幻想獣としてカテゴライズされえいる、「最上級」を彷彿とさせるその巨体には、残された手持ちの通常兵器では一切の効果が無い。


 空軍基地とは繋がった敷地にある、普段は民間人が多数いる空港を守る為に配属されている魔術師達では人数的にも太刀打ちが出来ず、被害を出しながらも、残念ながら一時撤退を選ぶ他なかった。


 そして山のように積み上がった肉の塊のようで巨大な山のような形をとったな幻想獣は、滑走路に大小様々な幻想獣を大量にばらまき、体に取り込んだ基地の通信設備を利用し、宣戦布告を行った。


「新城霞沙羅がいない今、どれだけの無駄な抵抗をしてくるか楽しみだ。民衆よ、抵抗するならば死あるのみ。大人しく賛同し、我らの国の一部となるがいい」


 その声はまさに三本木であった。

読んで頂きありがとうございます。

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