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忘れかけていた男 -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 カナタから話しを聞いて、急ぎでぴーち達を尋問し、警察に渡ったリストからも三本木(さんぼんぎ)少尉のもう一つの名前が発見された。


 三本木少尉のことを、いずれは自分の後任に、と買っていた山縣(やまがた)中佐には悪いけれど、今日の件もあるから、これから始まる軍内部にいる金星の虜の調査に早速含めることになった。


 そもそも辞めたいという意思を示し始めた事の真意も確認しないといけない。


 最近の動向を察知して逃げようとしたのか、新たな事件の幕開けか。


 早速、少尉が住んでいる函館の警察と連携するという。


「これが終わって、また連中の事件が起きても私は行かないぜ」


 問題となった改造サーベルの出所が霞沙羅も知っている、剣士の間でも信用ある工房だったのでというのもあるし、カナタに言われた「公務員は身内に甘い」という気持ちは確かにあって、本当にあの時の対応が悔やまれる。指摘の通り、まさか軍の身内があんなことを、という思いは確かにあった。


 だから違っていて欲しいと、擁護できる理由を探してしまった。


「それはワタシにも非はあるでござる」


 吉祥院もあの時の処分の仕方に異論は無かったので、同じ立場だ。


 まさが軍の人間が、という思い込みは良くない。どうしてそう思ってしまったのか。元はと言えばカナタの悪役ムーブのせいでもあるけれど、妖刀的な魔装具のせいでその悪役の存在が頭をよぎったのも悪かった。


 それでもこれからは、よほど大きな事件が起きない限りは、基本的には警察の案件になるだろう。


 伽里奈(アリシア)のおかげで入手出来た組織のリストで、今は金星の虜の逮捕に全国の警察が動いているから、危険人物の逮捕となれば、後はもう任せるしかない。


 軍とは違う組織の人間が捜査にあたるというのなら、三本木に対して妙な情がわくような事は無く、冷静に捜査をしてくれるだろう。


「大きな作戦の前だというのに、面倒事が生まれたな。それであの連中は何だったんだ?」


 こんな時だけれど、この横須賀基地に霞沙羅と吉祥院と榊の3人でいるということに懐かしさを感じてしまう。


「さすがに星堕(セイダ)(ケン)討伐に関わるような人間に金星の虜が混ざっているような事は無いようでごんす。横須賀にワタシら3人がここのところ毎日いる事に気がついた連中が、他の事にかまけている所を狙ってしまおう、というのがきっかけでありんす」

「まあそう考えると、連中がどこかで事件を起こそうとしているという推測も捨てられんな」


 この星堕(セイダ)(ケン)討伐に関して、他の地域からも能力の高い人材が集められているので、各地が若干手薄になっている感じがある。特に札幌周辺なんかは。


 しかもそれが金星の虜にバレているという状態だ。


「そこの所はまだ聞けていないざんす」


 ただ判明するのは時間の問題だろう。ひょっとすると「安らぎの園」のように情報が細分化されている可能性もあるが。


「だとすると少尉の件はそこに繋がるだろうな」

「何かが起きるという考えをしておいた方がいいだろうか。出だしは失敗はしたようだが」


 もし、何かの奇跡が起きて、霞沙羅達3人をどうにか出来ていたのなら、すぐにでも後ろに控える本来の作戦が開始されたのだろうか。


「まあ警察に任せようぜ」

「さすがに今回は霞沙羅に同意でありんす」


 軍の内部は多少混乱はあるだろうが、紛れ込んだ金星の虜はここで粛正するしか無い。


 それはともかく、霞沙羅がやる事は星堕(セイダ)(ケン)の破壊だから、今はその準備に集中させて貰うとしよう。


   * * *


 三本木が限りなくクロだという容疑が固まったために、函館の地元警察がその住居を訪れた。


 ただ残念なことに、三本木の自宅は断捨離生活でもしていたのか、というくらいに最低限の生活用品しか残されていなかった。


 本も雑誌もろくに無く、電化製品も小さな冷蔵庫と電子レンジがあるだけで、普段の生活を推測できるような物は何も無い。もしくはずっと前から急にいなくなれるようにしていたのかもしれない。


 「安らぎの園」崩壊以降からの、軍の動向から身の危険を察知したのか、それとも誰かから連絡があって逃亡したのか解らないが、連絡もつかない。


 札幌駐屯地で自分が起こした事件からも、何食わぬ顔で逃げおおせたくらいなので、今から追うのはなかなか至難の業だろう。


 ただとりあえず、目撃者情報や駅や町中のカメラ、鉄道やバスなどからの情報を集めることになった


 これとは別に、挙動不審な動きをした、観光客を装った金星の虜が2名ほど、函館駅で捕まった。


 三本木は決まった組織に属してはいないという情報があるけれど、彼らが北海道に来たことに何か関連性が無いかと調査をしつつ、警戒レベルを上げた。


 それ以外にも、入手したリストを利用した、全国的な捜査でも、踏み込んだ先の人間が姿を消しているという事例もある。


 関東での軍事行動も、中身はともかく何かを実行するという話は漏れているであろう事もほぼ確定状態なので、警察側での大規模な捜査に移行することになった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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