忘れていたあの事 -2-
場面により主人公名の表示が変わります
地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
いつもは別枠として付き合って貰っていた一ノ瀬がいないという事で、今日の放課後は久しぶりに教師の方で行っている自主練習のお手伝いをすることになり、シャーロットも一緒にグラウンドに出てきた。
「いやー、自分たちでは規格化されたゴーレムを一体ずつしか扱えないから助かるよ」
自主練習を続けることで、先生達の方でも色々と企画してやろうとしていることは解るので、こういう機会なので、今の状態を見せて貰って意見出しなどの協力をしようかなとは思う。
春からはどうなるか解らないけれど、そういう考えがよぎるのなら今の内だ。
今日もゴーレムを作って並べていると、生徒達が集まってきた。
この辺はもう伽里奈がかなり信用されているという証拠だ。
今日は大きめのリザードマンを作ると、なんか気持ち悪いと言われながらも、生徒達はワイワイ騒ぎながら練習が始まった。最近ではゲームでも出てくるような敵モンスターという考えも定着してきて、リアルなゲームでもやっているように気軽に、帰る前にちょっと運動、という感覚で参加してくる生徒も増えた。
短時間ではあるけれど、魔法を使うということを日常として捉えてくれるのが伽里奈の狙いでもあるので、悪くは無い方向に動いている。
「ねえ伽里奈、私も敵を攻撃するっていう事の練習をしたいんだけど」
隣で鎧騎士のゴーレムを作っていたシャーロットが頼んできた。
「珍しいことを言うねー。でもまあ魔術師になるなら避けられないし」
シャーロットは当然攻撃用の魔法も問題なく使用出来るし、一ノ瀬達よりも上位の魔法を習得している。その辺はロンドンの学校で履修していると聞いている。
言われてみると確かに戦闘の経験は無い。以前に一ノ瀬寺院で襲われたことはあったけれど、あの時は伽里奈が追い払って、怪我人がいたのでシャーロットには守りに徹して貰った。
今は学生ということで、天才魔法少女と呼ばれていても、まだ若いからという事で、本格的な戦闘の勉強はそれほどしていない。攻撃魔法はとにかく撃つだけ、習得するだけをやっている。
家の方も、警察や軍との付き合いはあっても、魔術師や幻想獣と戦うことを生業としているわけではないから、家族からも積極的に戦いを教えて貰っていないのだろう。
「アンナマリーも騎士として訓練して、色々なのと戦ってるじゃない? 大学に入るまでに教育分野の準備をするのもいいけど、折角伽里奈とか霞沙羅がいるなら、戦い方を多少は身につけておきたいのよね」
「ん、ん、んー」
「伽里奈だって私くらいの歳で魔物と戦っていたんでしょ?」
変なことを言い出したので周りを見るけれど、みんなゴーレムの破壊に集中している。
戦いを教えるとかはともかく、イギリスに帰ってゴーレムの研究もするのであれば、逆側から見るとどうなるかという考えも必要かもしれない。
「じゃあやってみる?」
大学の方では、就職先として軍人や警察を志望する学生向けに、その準備としての演習を充実させたいという構想もあるそうなので、ここで少し固めのゴーレムの設定を作ってもいいかもしれない。
魔法の威力は当然、大学生であってもシャーロットには到底敵わないワケだけれど、大学生の演習は複数人数でやるだろうから、合計で考えればそれなりの威力となることを想定してもいい。だったら調整役でもやって貰おう。
「じゃあ…」
堅いというイメージで、ゴーレムらしいゴーレム、ブロックの塊のようなローポリ感のある人型のゴーレムを一体作った。
全高は6メートルほど。慣れていなければなかなかの威圧感だ。
「これはこれで強そうね」
「基本はこんな無機質な形だからねー。これは頑丈さを重視してるから、シャーロットも遠慮無く、学校で使える範囲内の魔法で壊してねー。ただ、攻撃を回避する練習のために、雪交じりの風を吹きかけてくるから避けてね」
使用する魔法の威力が大きいので、シャーロットには自主練習場所からは少し離れて貰って、ゴーレムの破壊をやって貰う。
どの程度の耐久力がいいのか等のメモを取りつつ、生徒の練習にも付き合う。
途中には教師からの意見や提案もメモして…、自分は一体何をしているのだろうか、と首をかしげながら、放課後は終わった。
読んで頂きありがとうございます。
評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので
よろしくお願いします。