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彼方から襲来したモノ -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 伽里奈(アリシア)は非常に複雑な気持ちで水瀬カナタ達をやどりぎ館に迎える事になった。


 あのワグナール帝国を生む原因になった王者の錫杖の制作者ではないにせよ、それを使ってモートレル占領事件に手を貸したり、ザクスン王国での魔族の件、それと今林三兄弟に売った魔工具の件がある。


 霞沙羅関連はそっちに任せるとして、なぜこんなのをフィーネが放置していたのかも不満だ。確かに世界をリセットするような事をするのもいるわけで、神様なんてのは個々の人間の事情も気にするワケではないから、こんなものだろうけれど。


 とはいえこの3人がいないとこの日本に甚大な被害が及ぶというし、目の前に広がる事態はなかなかに複雑だ。


 今のところ、邪龍神ネルフィナの本物からはさすがに逃げられないと解っているので、3人はおとなしく純凪夫婦と話をしている。


 勿論カナタの方から接触して来たのだから、ここで逃げる気は無いけれど、今後の話の鍵を握っているのはフィーネだろう。


 ただこれまで散々悪事をして来た割には、水瀬カナタは、同じ国民の顔見知りだとしても、純凪アリサに対しては敬意を払っているし、対するモガミも必要以上に責める事も無く、星堕の剣についての相談に乗っている。


 それが不気味というかなんというか…、やはり同じ存在に被害を受けた同郷なだけに、事態の重さが解っているのだろう。


「知り合いなんですか?」

「親しいというほどはないが、16年前に終わった、第9次堕星戦乱では彼女にはかなり助力をして貰ったからね」

「色々とよくない噂のある水瀬の家だけれど、持っている鍛冶の技術だけは確かだから。あの時はかなり強力な装備も用意して貰ったり、本家ももちろんだけれど、彼女は後に世界最高の魔術師と言われるだけの活躍はしたのよ」


 水瀬カナタの調査をして貰った時に純凪(じゅんな)さんが必要以上に騒がなかったのは、本来の意味でも悪人では無いどころか、ヤマノワタイでの戦いの功労者だったからなのだ。


 16年前の戦いが終わって、純凪(じゅんな)さんはこのやどりぎ館に来て、去年まで管理人をしてという流れだけれど、じゃあこの水瀬カナタはいくつの人間なのだろうか。


「前にも話をしたと思うけど、この子は6歳で大学の卒業資格を得たから」

「今は26歳ですの」


 現在30代半ばの純凪(じゅんな)夫婦が参加した戦乱というのは1年程度は続いたそうだから、その時のカナタは9歳から10歳と、まさかの一桁台の子供が世界を揺るがす戦いに活躍していたのかと思うと、驚いてしまう。


 それはあの吉祥院でさえ魔術をキャンセルできないのも解る。


「こっちの2人は?」

「アオイは私が見つけてきた魔術の弟子のようなモノで、ソウヤは押しかけ弟子のようなモノですの。私は魔術師で鍛冶屋で剣士で拳士で神学者ですからね。生業の関係上、何でも屋ですのよ」

「なんですかそれ?」

「あらゆる分野の人間に武器を作る関係上、お客の事を知っておかなければなりませんから。魔術でも剣術でも徒手空拳でも、大体の技術と知識を身につけていますの」


「霞沙羅ちゃんも同じように器用なところがあるけれど、ここの一族は本家も含めて極端なのよ」


 魔術師であっても、体を使った戦闘も得意。その全てが極まっているから、アリサと魔術談義が出来るし、モガミと互角に拳を合わせることも出来てしまう。それが水瀬家の人間だ。


「私はカナタからは剣と魔法を教わってるのよ」


 舟形(ふなかた)アオイは助手。高度な鍛冶は出来ないけれど、製造中の魔装具などの試験などを担当している。


「僕は忍び系統の技術の習得だよ。ここ何代かで一族が怠けちゃってね、その再興を目指しているというわけ」


 沼倉(ぬまくら)ソウヤはアオイとは別の観点で製造物の試験を行っている。


「詳しい自己紹介は新城霞沙羅が来てからにしましょう」


 そこからしばらくして、霞沙羅達3人がやどりぎ館にやって来た。


 狙撃された観測機から脱出した5人は、一応検査のために病院に行き、霞沙羅達は岩の事を簡単に説明をしてから、「協力者の話しを聞いて資料をまとめる」として軍を離れてやって来た。


「それで、話をして貰おうじゃねえか」


 霞沙羅はあからさまに不満そうに席に座った。


 折角金星騒動も終わったのに、というわけではなく、散々迷惑を被った側として、これまでの行動に納得いく説明をして貰わないと、という話だ。


 それと、これはもうどうでもいい事だけれど、この世界において重大な話しをされた事も確認したい。


 話のフォローのためにフィーネもやってきた。


「では我が家のこれまでの話をしましょう」


 150年前に水瀬の家が買った山には、ヤマノワタイにあっていつしか放棄された「館」の廃墟があったこと。


 その廃墟は幾つかの、現役時代の記憶として残されていた幾つかの場所への転移が出来たため、ご先祖は魔術等の技術習得のために、行き来を始めた事。


 先祖の中には行った先で研究と称して悪事を働く人もいた事。


「ヤマノワタイでも匿名で悪事を働いていた曾曾お婆様がある事に気がついたんですね。各地の魔術には共通部分がある事と、なぜかどこに行っても言語が同じ事に」


 カナタに言われて、あれ、そういえば、と伽里奈(アリシア)達もようやく気がついた。異世界人だと言っていたにもかかわらず、お互いに同じ言葉を使っている事をこれまで気にした事が無かった。


「そこからですね、先祖達は行った先の見た目や別物の魔術から異世界だと思っていたのですが、なぜ共通部分があるのか。これは異世界では無いのではないか、と。それを確信とするために、他の場所でも他の場所の魔術を使えるように細工をしまして、最終的にはどの場所でも使用出来る魔術があるのだろうと仮定して、代々の人間はそれを追い求めて旅をしてきましたの」

「フィーネさんはこの世界の事を全部知っていると考えていいんだね?」


 この中でも付き合いの長い純凪さんも別に責める気は無いけれど、単に事実だけははっきりしておきたい。


「何もかも知っておる。我は作る側の神であるぞ。それとこやつらもな」


 それはシスティーと空霜(くうそう)。フィーネの言葉に2人とも頷いている。


「星の海を旅する使命を与えられておる。名は明かさぬが、とある神が作ったものじゃからな」

「エリアスはこういうの知らないの?」

「私は全然、何も」

「作り物の女神はあの星の管理だけやっておればよい、と情報を与えられておらぬのであろう。まずはこの女の話しを聞こうではないか」


 この事件の話しを聞いているのだから、世界がどうこうよりも、なぜこんな事になっているかが重要だ。とりあえずはカナタに続きを話して貰うことにする。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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