久しぶりに変わったことが無い日常 -3-
場面により主人公名の表示が変わります
地球 :伽里奈
アシルステラ :アリシア
実家での用を済ませたエリアスはイベント準備のために小樽に帰っていき、王都ラスタルに残ったアリシアは魔法学院に向かった。
今日はまた記録盤の機能についての説明会がある。
教育関係者の間で人気のこの説明会は、今回ようやく任意の位置に飛ばす小型ディスプレイ機能の話だ。
先日はこれの為の出力アップを経て、賢者達から一番「使いたい」と要望のあった機能だからその期待も大きい。タウ達も会場となる部屋でアリシアを待ち構えていた。
「まずはこれが解説書です」
結局まだ何が原因で学院の設備と連動できなくなっているか解っていない。
とはいえ追加機能は残っているので、いずれ解るだろう。
アリシアが書類を配ると、タウ達は「ようやくか」と言いつつ、さっさと中身を読み始めた。
この機能は、大学や協会の会議で説明することが多い吉祥院も多用しているというから、解らないでもない。
アリシアはこれまであんまり使う機会は無かったけれど、多分今後使う事が増えるだろう。小樽校での今後の立場はまだ解っていないけれど、このまま学生生活というのはダメだろうなとは思っているから地球版の方も調整もぼちぼち始めた方がいい。
日本ではとうとう魔術師ランクでB級の座に足を踏み入れてしまったので、「師」として教職の免許も無しに附属高校どころか、大学でも授業が出来てしまうようになってしまった。今のままだとクラスメイト達がどう思うのかは解らないけれど、着実に実績を積んでいるのでどっちに転ぶのか解らない。
それにこっちでは魔道士なんだし、英雄として学院で何か講義を受け持てとか言われているし、誰よりも実戦を知っているから王宮も騎士団や魔術士団の養成に手を貸して欲しいようなそぶりがある。
この前ヒルダが何を言ったか解らないけれど、わざわざ呼び出されていたのはそれの布石のような気がする。
いくらなんでも国王に子爵として迎えられた人間が、知り合いが治めている土地であるからといって、いつまでもモートレルだけ優遇しているのはズルいだろう。
「まあいいや、説明を始めます」
「アーちゃん、少し前に私が見たのと画面の数が少ないように思えるんだガ」
「これの更に拡張機能があるんだけど、それを使うには追加で増幅器がいるんだよ」
「そういえば何かに乗せてたナ」
「なのでこれもまだ途中の話なのー」
今後2年もここにいるから、クラウディアもこの話に参加してもらっている。
記録盤は国によって多少仕様が違うけれど、基本的にはほぼ同じ物だ。
それもあってクラウディアはリバヒルの学院で使っている記録盤を持ってきているけれど、初っぱなから話についてこれていない。
「クラウディアのは改造しないの?」
「出来るのカ?」
「中の作りを改めて見せて貰ってからかなー。それよりもリバヒルにこの技術をあげていいの?」
「その為の技術交流なのだぞ。そのかわりクラウディア殿には、リバヒル流の教育や設備を教えて貰うのだ」
アリシアは知らないけれど、もう既にお互いの学院でどういう教育を行っているのかの意見交換はやっているし、施設や機材についてもヒアリングしている。
これからは校内の制度や書籍なども聞いていく。もうすでに技術交換は始まっているからデバイスの追加機能を秘密にする事は無く、オープンにするのだ。
「そうなんですか? それなら今度その記録盤を見せてね」
「ええ、多分改造しないと講義に支障が出るでしょうし」
「じゃあ今度ね。とりあえずこういう機能が付くってだけでも、今日は覚えていってね」
今現状の記録盤では、小さめの教室の範囲内で最大でも15個程度の小型ディスプレイを任意の場所に設置できる、ともう一度その機能をつかいつつ説明を始めれば教育者としては魅力的な機能で、やっぱりクラウディアもこの機能が欲しい、と言い出した。
クラウディアの受け持つ講義は初心者向けではなく、上位者向けの専門性のある内容なので、参加人数はそう多くないし、講義に使う部屋も小さめ。
という事であれば、この小型のディスプレイ機能を使うにはもってこいの環境だ。
「アリシア君、そこはキミが設計してくれれば私の方で改造をしておこう」
実機の改造するとなるといつ来るのか解らないアリシアよりも、常に学院にいる設備担当者の方が時間的にもいいだろう。彼もこれまでの追加機能を拡張していっている実績があるから、慣れてきているだろうから技術的に問題は無い。
「そうですか、じゃあそれはお願いします」
クラウディア向けにこれまで追加してきた機能の説明もすると、まるで別物となっていてかなり興奮していた。これは早く動いてあげた方がいいだろう。
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