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久しぶりに変わったことが無い日常 -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 アンナマリーがエバンス家を代表して鎮魂の儀に出席するので、実家の屋敷に色々と物品を取りに来た。


 アリシアはアンナマリーを屋敷に届けると、実家に寄った。今度はなんのメニューを紹介するのか、その話をしに。


「冷凍リンゴは売れてるんだねー」

「どう作るのか解っていても、ウチにしか出来ないからな。シンプルでいいデザートだと人気だよ」

「季節によって、果物を変えていいからねー」

「ワインの件もそうなんだが、自分の魔術が店の役に立ったと嫁が喜んでてなあ」


 魔法を使って冷やすという技を使っているので、他の店では真似が出来ないから、最近ではテイクアウト希望のお客さんも来るようになった。


「鶏の唐揚げはそれっぽいのを作る店も出てきたがな」


 今日も父親は唐揚げの準備をしている。


 まあ唐揚げについては、日々料理を作っている人が食べてみれば、なんとなく作り方も解るだろう。


「卵は?」

「焼き方が解らないらしい」


 日本流の卵焼きの焼き方として、薄く焼いて巻いて層にしている。オムレツとは明確に違うのでどうしてもあの形にならない。


「今度教えて貰うとすればメイン料理がいいんだよな」


 唐揚げはメイン料理なのだが、残念な事に文化の違いがあるからサイドメニュー扱いになってしまう。値段的に麺料理が適当かと思うので、モートレルの騎士団で定着したものでも持ってくるのがいいかもしれない。


「そうだねー」

「ところでお前、王宮に出入りしてるなら知ってるか? 王女様が妙な鳥のぬいぐるみを持っているのを」

「孫達があれが欲しいって言うんだよ。ペンギンとか言うらしいんだ。少し前から町中で話題になっているんだが、作ろうにも見たことも無い生き物だからなあ」

「だって王女様のあれ、ボクが作ってあげたんだけど」

「な、お前か」

「向こうの世界でアンナマリーが気に入っちゃって、お茶会で王女様に話をしたら欲しいって言われて。なんか随分気に入られちゃってるみたい」


 この前も見たけれど、城の外にお出かけする時にも持って出てくるから、それが市民の目にとまって話題になっている模様。やはり王女がかわいがっているぬいぐるみなんていうのは、注目を集めてしまう。


 ペンギンの名称については、貴族経由というよりも王宮勤めの人間が家族に話をして、それが広まっていったというのが真相だ。


「あらどうしたの?」


 裏で親が、謎めいた息子の生活を色々聞くために連れて行かれていたエリアスがお店の方に出てきた。


 また余計なことを訊いてなければいいんだけど。


「ペンギンがラスタルで人気になっちゃってるみたい」

「解らないでも、ないけど」


 ちょうどお店の外を通った子供がなんか袋みたいなぬいぐるみをうれしそうに抱えていた。


「わぁ…」


 親か何かが、見よう見まねで作ったのだろう。くちばしが付いていた。アレはペンギンだ。


「本当にあんな生き物がいるのか?」

「こっちにもいるんだよね?」

「地球のと模様は違うけど何種類かいるわよ」

「いるって」


 エリアスはいると言うけれど、だったらどういうのがいるのか今度見に行こうかな、と思う。


「じゃあお前はすぐに作れるのか?」

「作ったのが家にあるけど、何個?」

「そうか、とりあえず3個だな」

「そうなの、じゃあシスティー、悪いけどボクの部屋からペンギンのぬいぐるみを3つ取ってくれる?」


 そう言ってから、王女様が持っているぬいぐるみに比べると、そんなに大きいわけではないぬいぐるみが3個、テーブルの上に送られてきた。


「はい」


 王女に渡したのは等身大のジェンツーペンギンだから70センチくらい。これは20センチくらいの、潰れた感じのデフォルメ版。


 そっくりなのを渡すと目立って盗難にあったりしそうだから、造形が崩れていた方がいいかもしれない。


 それでも実物を知っているアリシアが作ったので、今の袋みたいなのとは次元が違う。


「おお、こんな感じだな」

「いいのか、貰って」

「いつも通り趣味で作ってるから」


 上の兄が裏にいた子供を呼ぶと、2人の子供は喜んでペンギンを受け取った。


 残りの1つは下の兄の子供用だ。お店に牛乳を届けに来るようだから、その時にでも渡して貰えばいい。


「ペンギンさんだ!」

「かわいい!」


 こちらもあまりのかわいらしさにすぐにスリスリし始めた。小さいとかそういうのは問題ない。あの王女様と同じペンギンがここにあるだけでいい。


「ペンギンさんて何を食べるの?」

「ペンギンは、オ…、魚だね」


 オキアミと言いそうになったけれど、説明がめんどくさいのでわかりやすい魚にしておいた。魚も食べるのだからそれでいい。


「太いけど飛ぶの?」

「飛べないよ。鴨さんもやってるけど、海の中を泳いでお魚さんを食べるんだよ」

「すごーい」


 ペンギンの知らない情報を聞いて、子供達はキャッキャと騒いでは、ぬいぐるみを持って裏に戻っていった。


「家の外には持って行かないようにしてね」

「そうするよ」


 まあこの家の子供はアリシアの甥と姪だから、下手に手を出せないだろうけれど。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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