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大きな戦いが終わって -5-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 お風呂あがりにジェイダンからいきなり礼を言われたアンナマリーは戸惑っていたけれど、そういえば自分の父親がここに来た時もシャーロットに同じような事を言ってたから、おあいこか、と受け取っておいた。


 アンナマリーは貴族のお嬢様らしく、丁寧に挨拶をしていた。


 それが終わると女子2人はシャーロットの部屋に行ってしまい、やがて霞沙羅と榊が帰ってくると、ジェイダンは逮捕されたキャメル傭兵団とアイザックの今後についての話を始めた。


 夕飯の準備をしているので伽里奈(アリシア)はその輪には入ってはいないけれど、今後の取り扱いについては自分は関係ないから仕方がない。


 ただジェイダンがロンドンに帰る際には現場でどういう魔法を使用したのか、今後の参考までに一度聞きたいと言われて、ジェイダンは子供にお土産として頼まれていたコンビニスイーツを買ってから、自宅に帰っていった。


「{戦意高揚(せんいこうよう)}はさすがに使えないと思うぜ」


 自白用の薬と違って、意識がはっきりしているから会話内容は明瞭だし、終わったあとの後遺症は全く無いという特徴は人道的には歓迎されるものだ。霞沙羅(かさら)も面白い魔法だとは思っている。


 ただ、性能は高いけれど、相手をハメるには使い手を選びすぎるので、広く採用される事は無いだろう。


 ただまあ、知らない魔術師として気になるところではあるから、研究用に教えておいてもいいかもしれない。


「それでどうなるんです?」

「アイザックは日本には被害を出していないから、今回の件の取り調べが終われば早々にイギリスに送還されるだろうな」

「傭兵団は、日本にも多少は被害が出ているから、あと少し取り調べをしてから、祖国のフランスに戻されるらしいぞ」


捕まえておこうにも両方そろってあきる野の施設破りに関係しているから、あんまり日本に置いておきたくないというのが本音だと、榊が知り合いから聞いた話だ。


 今は大阪にある、兄弟的な施設に送られているけれど、「安らぎの園」の残党がいるかいないかはともかく、これまで盗んできた魔工具の調査については、専門の部署がある地元に戻した方がいいだろうと判断したようだ。


「今回の金星接近はあの連中のせいで一大イベントになっちまったが、まあこれで終わりだ。妙な後処理はまだあるが、軍の仕事はここまでだな」


 戦い終わって、やっと酒が飲めるから、霞沙羅はビールを飲んでいる。


 とはいえ、まだ明日も民放局でのテレビ出演があったりするから我慢して、今晩はこれ一本だけ。


 なんとも歯がゆいものである。


「そろそろこういう役目を辞めさせてほしいんだがなあ」

「また戦績を重ねてしまったからな。しばらくは無理じゃないのか?」


 英雄が3人そろって今回の「安らぎの園」の件の中心人物なのは間違いない。


 課程はあるけれど、一般大衆にとってはやはり最後の、巨大幻想獣の撃破はインパクトが大きい。


 実際にリアルタイムで大衆の目にさらされたのは二子玉川の方だけれど、映像にしたら反応がいいのは上野の方だ。


 それをまた、厄災戦終結から6年ぶりにこの3人がそろって表に出てきたのだから、しばらくはこの話題で持ちきりになりそうだ。


 国民の間ではまだまだ厄災戦の記憶が残っているというのに、今回はあれだけの事件を、大きな被害も無しに終わらせたのだから。


「イギリスでも報道されたし、ネットで私も見たけど、すごいわよね。フタゴタマガワとかいう場所の話も。日本にはまだあんなのが隠れていたのね、女子3人組なのよね? 霞沙羅の知り合いなんでしょ? どんな人なの?」


 シャーロットも試験が終わってのんびりしていた時期だったのでネットで色々と動画やら記事を見たものだ。


「いるだろ、ここに」


 霞沙羅が指で指さしたのは勿論、伽里奈とエリアスとシスティー。


「…。えーっ!」

「いや、あのさ、私が働いているモートレルを救った3人だぜ。反逆神レラの眷属も倒したくらいだ。フォーネさんは今回手を出していないようだが、あれくらい出来るだろ」

「その魔天龍様ががあそこに配置させたんだよ」

「あの程度の羽虫ごときに我が出るまでもないからのう」


 出てこられたらあの大きな手で一握りどころか、指先一つで小バエでも潰すようにぺしゃんこだ。


「小さく写ってたけどあんなに強かったの?」

「シャロはあれだけウチの英雄アリシア様に魔法を教えて貰っておきながら、本気を見たことが無かったか」


 前々から霞沙羅と互角とか言っていたけれど、少し前の横浜や一ノ瀬寺院である程度の戦闘は見せて貰っている程度ではあんまり解っていない。確かに魔術の方は信頼していたけれど、地球人としてはやっぱり厄災戦を終わらせた霞沙羅と、異世界の英雄ではイメージに乖離があるし、二人の見た目には差がありすぎてあんまり実感が無かった。


「エリアスは?」

「エリアスは、ウチの世界にあった古代神聖王国とかいう宗教国家の巫女だぜ。町一つ分の洗脳された人間を簡単に解除できるレベルだ」

「エリアスの力はあんまり攻撃的じゃなくて、こっちでは使わないから」

「伽里奈に止められているのよ」


 システィーは…、星雫(せいだ)(けん)と聞いているからそれは納得いく。


「改めて、すごい館だったのね」

「3人の正体については軍上層部にしか報告していない。だから誰にも言うなよ」

「わかったわよ」


 そんな事を言われるとシャーロットの伽里奈(アリシア)を見る目が変わった。


 ネットの映像では数十体の幻想獣をものの数分で全滅させたというし、あんな大きな幻想獣が倒れるほどの攻撃も出来る戦闘力を持っている人間なのだ。


 ならまだまだ学ぶことは多い。


 滞在の延長を決めて良かった。


 そろそろ本来の目的である、自分専用の杖の受け取りをしなければならないけれど、これから何を教えて貰おうか、今晩は時差調整で夜更かしするから、その間に考えていこうと思った。 

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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