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大きな戦いが終わって -1-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 「安らぎの園」が起こした事件の処理がひとまず落ち着いた数日後、軍が国民に向けた記者会見の場を設けた。


 急な開催ではあったけれど、各報道機関へは内々でこれがある事を伝えていたので、それぞれある程度の枠を空けて待っていたりする。


 それはネットでの配信も同様だ。


 厄災戦終結後に国内最大級の警報が旧23区を囲む自治体に出されるという近年希に見る規模だったため、各方面からも詳細の発表が期待されていたけれど、案外早く実行される事になった。


 時間は平日の午後になってしまったけれど、これだけの事件だからいい教材になるぞ、と魔術師養成機関へは所属の学生達に見せるようにと通達が行われ、国立小樽魔術大学やその付属校でも、予定されていた講義や授業が中止され、この記者会見を視聴するという特別授業となった。


 スマホでもいいし、テレビでもいいし、学校に設置されているPCでもいいし、大きなスクリーンを設置した部屋も作られたりと、教師達は対応で大変だったけれど。


 それぞれの生徒の自由なスタイルでいいからと、伽里奈(アリシア)のいる1年E組も思い思いの方法で会見を視聴することになった。


 会見現場の中心人物は、あの作戦を指揮した徳佐(とくさ)准将だ。


 霞沙羅(かさら)吉祥院(きっしょういん)と比べてはいけないけれど、彼だって高い成績で横浜大を卒業した、魔術師協会でも高いランクにいる立派な魔術師なのだ。


 その横にはもちろん霞沙羅と吉祥院、(さかき)の3名もいて、あとは上野の現場に出て行った隊の隊長が数名、寺院庁からの代表者、それと「安らぎの園」やその関連者とアイザックの逮捕に尽力した警察関係者も並んでいる。


「新城大佐がこういうところにいると、やっぱ小樽校もすげえんだなーって思うよ」


 週に一日くらいしかいないけれど、霞沙羅は小樽校の敷地にいるので、こんな国の中心にいる人がいる学校にいるというのが、生徒には時々信じられなくなる。


 そういえば前回、関東でちょっと幻想獣の出現が多かった日に行われた会見では、自分もあそこにいたなあと、伽里奈(アリシア)は思い出した。


 考えれば、あれが事件のスタート地点だった。


 今日はもう事件は終わったからと、伽里奈(アリシア)に会場にいろとの話は来なかった。ただ、まだ何かがある事を警戒して、現場の警戒はしているのだろう。でももう必要ない。


 会見の方は軍の広報部だという司会者からの出席者の紹介が終わり、説明が始まった。


 まずは始まりから終わりまでの道筋だ。


 欧米から人形遣いのアイザックが「安らぎの園」に招かれて来たところから説明が始まり、小樽校の事件で捕まったキャメル傭兵団の脱走に一役買い、連中の魔工具制作用に横浜校の宝物を盗み出す事を企てた。


 組織は窃盗のメンバーを確保し、事前にそのことを察知した吉祥院が迎え撃ち、傭兵団は再び捕まったけれど、残念な事に一部の宝物は「安らぎの園」の手に落ちてしまう。


 アイザックは吉祥院の魔工具により追跡を受けて、その後捕まり、「安らぎの園」メンバーも確保されていくが、完成していた魔工具により仮面の男こと「カワホリ」と呼ばれる男と選抜された信者が、理想の園を作るために幻想獣と融合したが、それを霞沙羅達3人が撃破したこと。


 「安らぎの園」の資金源となっていた企業は特定され、ついでに彼らの協力者も逮捕されたことで、他の金星の虜集団の捜査も開始されたことが告げられた。


 この課程をどう評価するかは難しいけれど、「安らぎの園」の行動に対しては適度の妨害をしているし、しっかりと追いついたことだけは確かだ。


 そうでなければ、幻想獣2体を止めることが遅れ、首都圏は大きな被害を被っただろう。


 そこからは映像も流れ始めた。


 仮面の男達を捜索する光景も編集されて放送された。


 幻想獣との戦いだけでなく、これまで人間視点で撮られた上野周辺を見ることがなかったので、その荒廃ぶりが多くの国民に知らされることとなってしまったが、まるで人類が滅んだ後のような風景に、衝撃を受ける生徒もいた。


 二子玉川の件は、遠景ながらも中継装置があったので戦闘の様子は日本全土にリアルタイムに流されたけれど、場所のせいで中継設備のなかった上野の映像は今回初めてメディアに乗った。


 シンプルすぎて派手さはないけれど、それが余計に不気味な白い幻想獣の姿。二子玉川の幻想獣よりも一回り大きなその巨体に立ち向かう霞沙羅達の姿は、他の人間では近寄る事が難しいのでそう大きくは映らないけれど、星雫(せいだ)(けん)である空霜(くうそう)と連携して、巧みにダメージを与え、その攻撃を封じていく。


 一応、撮影用のドローンを、高めのビルの残骸に着陸させて撮っていたようだ。


「こんなのとやるのか…」


 人間とのサイズ差がありすぎて、感覚がバグってしまいそうだ。


 今回の金星の接近を小樽校の生徒として…、魔術師の卵として体験した中瀬達クラスメイトは一様に、いつかこういうのと巡り会うのかも、とちょっと震えた。


 それを日本の英雄3人は、圧倒的な体格差をモノともせずに、終始有利な状態で戦い抜いた。


 映像は幻想獣を撃破したところで終わった。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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