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あとはぶっ潰すのみ -4-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

「ようやくまともな戦闘を見ることが出来ましたが、何度もミスった事もあって、シールの弱点が解ってしまっているようですわね。さすが新城霞沙羅というところですかね?」


 カナタ達も旧23区に入り、今日も新宿の周りに仕掛けを埋めている最中。


 そんなカナタは上野に意識を飛ばして、状況を視ている。


「まあでも、性能としては悪くないわね」


 アオイは魔工具を使っている。


「見ての通り使い方次第ですわね。事前知識無しであったり。大した知能も無い存在を相手にするのであれば使う意味はありますの」

「やはり特別で無い者が貼れば、こんなモノか」


 ソウヤはアオイと同じ魔工具で見ているけれど、最初はパワーアップして威勢の良かったシールを貼った人間達は段々とバテ始めている。


 達人の経験をコピーして戦闘力を上げるのは良いけれど、達人級の動きを要求してくるから、貼った人間がその達人との乖離があればあるほど無理がたたって肉体の方が保たない。


 だからストッパー機能がそろそろ発動して、シールの効果は終了する。


「設定した行動データまで読み取ったのですね。そこまで解っているなら話もしやすいですわね」


 シールでブーストした15人は、結局、追跡してきた兵達にロクな手傷を負わせることすら出来ずに時間切れとなって、無理な負担が一気に押し寄せてぶっ倒れた。


 本番ではやり方を考えなければならない。


「さて本命はどこまで行きましたでしょうかね」


 仮面の男達は果たして目的地にたどり着けただろうか。魔工具の反応から場所は把握しているけれど、正確な目的地は解っていない。ただ、今はもう予想は出来ている。


「せいぜい旧23区の一角でも掃除をしてくださいな」


   * * *


 旧東京23区が封鎖されてから時間が経った不忍池はまだ池のままの姿を残してはいるけれど、手入れをしていないボウボウに茂った周辺の木々や雑草は仮面の男達の姿を上手く隠してくれた。


「我々は運が良かった」


 どういうわけか、軍は15人もの陽動に気を取られること無く、自分達を探すべく上空を軍のヘリが飛び回る中、それでも仮面達は粘り強く時間をかけながら移動を続け、目的の場所にたどり着くことが出来た。


 目的の幻想獣はこの不忍池にいる。


 完成態ではあるのだが、その力を生かすためには人間の知識が欲しいという彼の願いを叶えて、かつ自分達の目的を果たす為に融合を果たす時が来た。


「予定より人数は減ってしまったが、約束通り我々を捧げよう」


 仮面の男は不忍池に、その中にいる幻想獣に話しかける。


 自分を含め、同志の中でも選りすぐった40人の内の25人だ。


教戒(きょうかい)(さかずき)よ、我々で杯を満たせ。そして救世の主よ、我々を口にせよ」


 教戒の杯が周囲に漂うマリネイラの力を吸収して作動した。


 教戒の杯が光り輝き、それを掲げていた仮面の男とその周りにいた24人の同志達が光りに飲み込まれていき、赤い液体となって、その中を満たした。


 そうすると不忍池の中から大きな腕が伸びてきて、小さな杯を手に取り、続いて現れた上半身にあった口が液体を飲んだ。


「その願い、しかと聞いたぞ」


   * * *


「そんなところにあったのか」


 なんて無造作なところに潜んでいたのかと全員が思った。


 しかし何年も誰も入らない場所だから、ある意味どこでも、空から見えない位置ならどこでもいいワケだ。


 池の中なんか、余程水が綺麗でなければ底は見えない。元々そんなに透明度が高いわけでもない綺麗とはいえない池だったから、水中なんか見えない。そういう意識もあった。


 しかも幻想獣は休息状態とあっては、感知器にも引っかからない。


 だが今となっては様々な感知器に魔力の集中が観測された。


 不忍池のある一点にマリネイラ系の魔力が、周囲の、上野を中心とした一帯の空間から集まっていく。


 どの反応を見ても完成態だ。それもかなりの大物。あの時には弱まっていた鐘の幻想獣とは違う。


「じゃあ行くか」


 強大な力を持つ幻想獣が姿を現し、騒然となる司令室を横目に、霞沙羅達は自分の装備品の確認をして、立ち上がった。


「思えば、この前のは肩透かしでやんしたなあ」


 神奈川の奥地で解体した、寺院庁が隠していた幻想獣は、分割してパーツ不足という事もあって大した事が無かった。全員一発ずつではお遊びだ。


 先日の討伐で出てきた完成態も、体は大きいけれどたいしたことは無かった。


「あいつらとの修行は無駄ではなかったな」


 伽里奈(アリシア)の元冒険者仲間達はとても強かった。そこで得た経験をようやく発揮出来るのか、と榊は笑みを浮かべた。


「周囲から退避するように。ウチがおるからな」


 星雫の剣である巨体にとって、ヘリなどの航空機がうろつかれては邪魔だ。


 徳佐(とくさ)准将は上野公園周辺から離れるよう、各オペレーターに現場へ連絡をさせた。


 それでも3人と1本の戦闘の邪魔にならないように下げさせるだけで、要請があればいつでも援護が出来るように待機したままだ。


 何が起きるか解らない。


「じゃあ行ってくるぜ」

「すまん」

「さっき言ったこと、忘れるなよ准将」


 伽里奈(アリシア)達のことだ。


 それだけ言うと、霞沙羅達は上野公園に空間転移を行った。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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