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429/525

あとはぶっ潰すのみ -2-

場面により主人公名の表示が変わります

  地球      :伽里奈

  アシルステラ :アリシア

 旧23区内の上野周辺には、魔術師協会の協力で、仮面の男を含む40人の「安らぎの園」メンバーの目的を阻止するために、兵隊と魔術師、それに寺院庁から神官が空間転移術で数回に分けて送り込まれた。


 例の新型感知器も持たせて、幻想獣にも備えさせている。近年ではなかなか無い大規模な作戦が開始された。


 そして上空からも航空機でのサポートも行っている。


 さすが旧23区だけあって、活動開始から早々に幼態と成長態の幻想獣は多少なりとも邪魔をしてきているので、各個撃破しながら、現場では捜索にあたっている。


 現地の情報は何人かが身につけているカメラでしっかりとモニターされている。


 場所が場所だけに、旧23区のそれなりに奥の方にあっても、マリネイラの魔力による通信の邪魔はそれほど入っていない。現地との通信は良好といえる。


「上野周辺は地下鉄が集まってるな」


 その辺は警戒しているけれど、いかんせん過去の戦闘によって入り口の多くが潰されているし、長年メンテナンスをしていないトンネルの中がどうなっているのか解らない。


 ここの限らず軟弱な地盤に通したトンネルなどはとっくに水没しているだろう。


 ただ、地上は大きな通りも瓦礫まみれで、建物の崩壊によって小道や脇道は所々が閉鎖状態でとても通りにくい。


 上野近辺までは、旧23区が閉鎖されてからずっと、軍もあまり足を踏み入れていないので、想像以上に廃墟化が進んでいて、道路の所々には穴があったりで安全に進めるような道は無く、現地に送り込んだ人員も自由に進むことが出来ない。


「アリシア君の感知器でも、眠っている幻想獣は探し出せぬでござるよ」


 別の、音波系の探知機で地下に眠る遺物を探知する事は出来る。それと併用して、目的の幻想獣も探さないといけない。


「ほんに面倒だのう」


 非常事態に備えて空霜(空霜)も来ている。


 目的は上野公園周辺という情報だったので、そこを調べさせている一団もいるが、長年放置したせいで、エリア内はほぼ森となってしまっている。


 それに急な話だったというのもあって、事前準備も出来ずにやっているから、かなり不利だ。


「しかし、あの感知器が手に入ったのは良いタイミングだったな」


 今回の作戦を率いているのは徳佐(とくさ)准将という人だ。


 軍人の中でも実力のある魔術師であり、協会の位としてはB級19位となかなか高い。


 なのでこういう幻想獣の絡んだ大事件になると指揮者として出てくる。


吉祥院(きっしょういん)中佐の尽力で、それなりに数を揃えることも出来たようだしな」


 現在十数個しかないけれど、それをこの作戦に全部投入しているので、一応間に合ってはいる。


 魔工具は工場のラインで生産出来る電化製品ではないから、製作に時間がかかってしまうのは仕方が無い。


 何としても阻止してほしいものだけれど、あの邪龍神様は「後ろのことは気にするな」と口にしたので、霞沙羅(かさら)達3人だけは大事になるんだろうなと考えている。それもあって霞沙羅達はとにかく、送られてくる現地の状況を頭に入れようとする。


 厄災戦の前や戦時中には来たことのある上野周辺だけれど、放置された時間の経過もあって、もはや見る影もない。


 現地で戦闘行為を行う際の足場をどうするのか、それが重要だ。


   * * *


 伽里奈(アリシア)達は溝の口駅前にやって来た。


 エリアスはセーターとスカートの上にコートという普通の服装をしているけれど、システィーはメイド服のままやって来た。


 そしてアリシアは髪をポニーテールにして、伊達メガネをして、黒のシックなドレスという姿。足下はニーハイの黒ブーツと黒ずくめで、フィーネに白を着なよ、と言った張本人とは思えない姿だ。


 とても目立つ2人がいるけれど、ここは人の多い駅前。普通の人だけでなく、パフォーマーや弾き語り等の色んなファッションの人がいるから、どこかのイベント帰りか? と誤魔化されている。


「ちょっと早かったかな?」


 軍の作戦中だから霞沙羅達に連絡を取るわけにもいかないので、事が起こるのをしばらく待つしかないだろう。


「吾妻社長のマンションの場所って知ってるの?」

「大体この辺りっていう場所は解ってるわよ。パパさんと娘さんの居場所は…、見つけたわ。今は家にいるようね」


 さすが女神というところか。アシルステラの全てを見ていただけあって、PCの画面で1回か2回かしか見ていない人物の場所を見事に特定した。


「エリアスは2人の周辺を守っててねー」

「貴方と2人で…、システィーもいるけど、こういうことをやる日が来るとは思わなかったわ」

「まあボクらは管理人だし。何ていうか、こんな所まで来ちゃって、ちょっと業務の範囲を逸脱してるみたいだけど」

「そんな事はありませんよ。霞沙羅さんと榊さんのバックアップですから、管理人の仕事です」

「フィーネが言いだしたことだから、運営として問題は無いのよ」


 霞沙羅達のバックアップと言うよりも、吾妻社長一家の為に動いている感じはするけれど、フィーネが行けというのであれば、それだけの事態が起こるという事。


 そうなると霞沙羅達の士気にも関わるから、管理人として、住民のお手伝いと言ってもいいのだ。


 どうしてもタイムラグのある警報システムもまだ動いていないけれど、旧23区周辺地域に警戒警報が出たままになっている。


 一部の事情は伏せられているけれど、「安らぎの園」関連への対応のせいだ。


 一応この状況を気にしている人はいるようだけれど、関東では珍しく、今日は幻想獣の出現が止まっているから、慌てている人はいない。


 それがまた何かの前兆にも思える。


「エリアスの為でもあるし、事態が動くのを待つしかないかなー」


 何か温かい飲み物でも買って、三人は状況が動く時を待つことにした。

読んで頂きありがとうございます。

評価とか感想とかブックマークとかいただけましたら、私はもっと頑張れますので

よろしくお願いします。

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